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【WEB版】追放魔術師のその後 ~なんか、婚約破棄されて、追い出されたので、つらい貴族生活をやめて遠い異国の開拓村でのんびり生活することにしました~  作者: 砂糖 多労
なんか、帰ってきたっぽい

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特産品を作ろう!パートⅡ⑥

「なんの話をしてるの?」


 アリアとリノが部屋に入ってくる。


 二人の手にはさっき採集した魔狂キノコと真黒ゴケがある。

 おそらく俺たちが工房を使っていたから二階で発光弾(仮)を作ってくれていたんだろう。


 ちょっと悪いことをしたかもしれない。

 ミーリアが一緒にいなかったのは調合でも絶対に暴走するとわかっていたからかな。


「そろそろジーゲさんがくる時期なので、その相談を」

「え? 次にジーゲさんが来るまでに防犯グッズを作るのは無理だぞ!?」


 リノはミーリアの話を聞いてギョッとした顔をする。


 この雰囲気から行くと調合はあまりうまく行っていないのだろう。

 ジーゲさんが来ると聞いて、ぎょっとした顔をしたのはそこまでに完成しなければいけないと思ったからか。


 そんなの無理に決まってるだろ。


「安心しろ。売る方じゃなくて買う方の相談だよ。やっぱり、うまく行ってないのか?」


 俺がそういうと、アリアはあからさまにほっと胸をなでおろした。


「そうね。発光はすごいからミーリアのやろうとしていることはできなくはないと思うけど、うまく混ざらないのよね」

「あ、光るには光ったんだ」


 魔狂キノコと真黒ゴケを混ぜ合わせると光るというのも、ミーリアの仮説だったからほんとに光るかはわからなかった。

 だが、二人の様子を見ると光るには光ったようだ。


 手に持っている瓶の中に入っている液体がそれなのかもしれない。

 真ん中できれいに上下に分かれている。

 上の黒いのが真黒ゴケで下の紫色のが魔狂キノコだろう。


 水と油みたいなんだけど、どっちも水に溶かしてるんだよな?

 なんで混ざらないんだ?


 いや、ちがうか。

 リノの錬成鍋で素材を液体に変化させたのか。

 確かそんなこともできたはずだ。


 俺は成功したことないけど。


「うん。こんな感じ」


 アリアが手に持った瓶を理科の実験で試験管を回すように振る。


 俺に発光する様子を見せようと思ったのだろう。

 アリアが瓶を振っていると、中の黒い液体と紫の液体が混ざっていく。


 直後、瓶はものすごい光を発した。


「うわ! 目、目が」

「あ。ごめん!」


 瓶を観察していた俺はその発光を直視してしまった。

 慌てて目を閉じたが、瞼の裏に瓶の輪郭がくっきりと残っている。


 痛みはほとんどなかったのでそっぽを向いて目を開けてみるが、目がちかちかする感じがある。

 これは確かに目くらましにはちょうどいいかもしれない。


 アリアは手で瓶を覆う。

 瓶の光はアリアの手を透過して見えている。


 どうやら、二つの液体は次第に分離していくらしく、光はだんだん収まっていく。

 完全に光が収まったころ、アリアが手をどけると再び黒と紫の二つの液体に分離していた。

 心なしか黒い液体の色が薄くなった気がするのは真黒ゴケが消費されたからか?


「音は鳴らないんだな」

「音?」

「あ」


 失敗した。


 前世で光を発する爆弾といえばスタングレネードというイメージだった。

 すさまじい閃光で目をつぶし、大きな音で耳をつぶす。


 ドラマとかで出てくるってだけで、実際にスタングレネードなんて見たことないけど。


 だから、思わず口に出してしまった。

 今こんなことを言えば、ミーリアが絶対に興味を示す。


 実際、ミーリアは俺の方を興味深げな顔で見ているし。

 そして、アリアたちの視線が痛い。


「あー。なんか、敵を怯ませると言えば光と音で怯ませるイメージだったからさ。いや、光だけでも十分に敵をひるませられると思うぞ?」


 せめてもの抵抗に今ので十分だと主張してみるが、ミーリアの瞳の輝きは失われなかった。


「それです!」


 あー。

 やっぱりだめだったか。


「何か足りないと思っていたんです。そうです。音も一緒に鳴らせばよかったんですよ! 確か吸音草が音を蓄えてくれたはずです! これは売れる! 探しにいきましょう!」


 ミーリアはそう言って家から出ていく。

 俺たちは黙ってその背中を見送った。


「行っちゃった」

「レーイーンー」

「……やっぱり俺のせいだよな」


 アリアが恨めしげな声を出す。

 今回のはどう考えても俺のせいだ。


 一番被害を受けるキーリはあっけに取られて声も出ない様子だ。

 リノとアリアが簡単に混ぜられないか試してくれていたが、それができないと分かった以上、それをするのはキーリの仕事になる。


 今までは魔狂キノコと真黒ゴケの二つだったのが、吸音草も合わせて三つになったから実質労力1.5倍だ。

 あの液体を作る作業もあるわけだからそれ以上か。


「レインー。何してるんですかー。行きますよー」


 外でミーリアが呼んでいる。

 跳ね橋も下ろしていく準備は万全らしい。


 あぁなると誰にも止められないんだよな。

 俺はアリアたちのほうをちらりと見るが、付いてきてくれる人はいなさそうだ。

 まあ、当然か。


「行ってくる」

「いって、らっしゃい」


 スイだけが俺を手を振って見送ってくれた。

 明日も夜に一話投稿する予定です。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 至近な対面でスタングラネード弾使うと 自分もやられちゃいますよ(^_^;) あれは部屋の中に投げ込むものです [一言] スタングラネード弾の威力は正しいんですけど 個人的(ラノベ的)…
[一言] いや、やばいだろ 音だと手元で間違って発動させたら使用者も被害受けるじゃん 夜間に使うのが主体なんだろうから、光だけで十分じゃん……
[一言] ミーリア、普通にマッドサイエンティスト気質なのでは?
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