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②
火で炙るこの梁の十字架より先に逃れれば私の勝ち。
私の自由だ。
そう思った、けれど時は残酷だ。
十字架に括り付けられた私の身体はびくともしない。
縄が手首に絡まりついて、太く頑丈な縄は
簡単になどほどけやしない。
必死に足掻いた。
女に産まれた私は、自分が酷く惨めに思えた。
こんな時代に産まれ
女に産まれただけで
この有り様だ。
渇いた笑いが出てくる。
涙はとうに枯れた。
笑いながら死んでいった私を
焔に焼かれながら笑い声をあげた私を
肉が焦げ臭い、それでも無様に逃れようと必死に抵抗した私を見て
吊し上げた人間どもは、私を魔女と最後まで貶した。