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①
稲光が走る、黒雲の空
鬱蒼とした小高い丘の上に洋館が建っていた。
....____あぁ、今宵も雷鳴が煩い...
雷鳴に邪魔されて悲鳴が聴こえない...._____
室内は荒らされ
足下には、散乱した洋服や書物が乱雑に置かれていて
壁もドアもギシギシと音が鳴っている。
だが、その音も降りしきる雨の音にかき消される。
気だるい雰囲気を醸し出す男性が、椅子に腰掛けていた。
「出ろ、実験体01」
手に鞭を持った初老の男性が言う。
「今日は客人が来る」
それだけ告げる初老の男性
もう長年の付き合いで、初老の男性の言葉の端を読み取れば
それは、粗相がないようにもてなせと言うことだ。
命令され静かに立ち上がると、踝に実験体01と焼き印の痕。
立ち上がる男性の手首と足首に鎖が巻かれている。
静かに手首を持ち上げると初老の男性は、鍵を出し鎖の錠を外す。
ふー、とため息をつきながら拘束されていた手首と足首を動かす。
ここで2度目の雷鳴が鳴り響く。