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②
私は深いため息をついた。
自分の好奇心によって、予想とは違った結果に。
興味が薄れまた地上に、あの自由な青空へ戻ろうと羽根をはためかせた刹那...
少年の狂ったとも言うのか、それとも歓喜と言うべきなのか
そんな声が私の背後から聞こえてきた。
そうその声は、私にとって恐怖だった。
「その翼を寄越せ!!!」
少年の地から這いずるようなその声は
私のこの白い翼がある故の妬みなのか?
大空に羽ばたける嫉妬か
私には、分かるはずもない....。
気づいていた時にはもう...
私があの自由な空へ、飛び回ることはできないと言うことだけだった。
私には、翼がある。
だが、少年には長い腕があった。
私の必死な抵抗も空しく呆気なほどあっさりと捕らわれた。
私は捕らわれた時、仰ぎ見て空へ想いを馳せる。
尊き空、自由な空
あぁ、もう私は自分の翼で飛び回ることができないのかと思うと
人間で言う"涙"が出るのだな。
空で言うなら"雨"
私で言うなら何になる?
私は自分のことを知らない。
この素晴らしき大空も、私を捕らえた少年も
私の声は何ひとつとして届かない。
END