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①
耳を澄ませばさざ波が聴こえてくる
瞳を開けばコバルトブルーの海
砂浜を歩けば私の足に波が撫でてさらっていく
今は冬だから、ブーツを脱いでなんて...なんて
寒いからできないわねと思ってしまう。
私の周りには誰も居ない...。
この肌に冷たく撫でて去る風も、壮大な砂浜も
潮の匂いがついた髪の毛も
私の眼下に広がるコバルトブルーも
今は私だけのもの。
私ひとりだけのもの....。
コバルトブルーの色
あの人の瞳の色もコバルトブルーだった
想い出すのは、あの人の肌の熱。
星空を二人して見上げれば
柔らかな風が頬を撫でる
そうこの海は、私から彼を奪ったの
やけに美しく見えるのは、あの人が
彼がそこにいるという錯覚からか
やけに冷たく感じるのは
私が一人だからなのか
泣かない。と決めたのに...
まだ涙が枯れてないのは
彼が、あの人が私の心の中で生きているから
さざ波が私の心をくすぐる
コバルトブルーの海が私を誘う
あの人の瞳のように吸い込まれていきそう