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新しいナーロッパ様式 ~アフターコロナ時代にラノベの世代交代は起こるのでしょうか~

作者: 橘かをる

 先日、近未来の社会を描いた映画『ザ・サークル』を見たのですが、人々の生活様式が古くさく見えて興ざめしました。

 SNS企業が小型カメラやドローン、スマートウォッチを駆使して社会を便利にするものの、プライバシーが失われていくという世界観です。数年先に実現されてもおかしくない。

 でも彼らはマスクをしていないし、職場環境や会社イベントの描写は「三密」しまくり、それはもう今後はあり得ない生活様式なのです。おそらく。


 これは私のような趣味で小説を書いている者にも他人事ではないように思えます。

 例えば、ここ数年はいいでしょうが、遅くとも十年経てば学園ものは書けなくなる。新しい生活様式での学生生活を経験していないので、きっとどこかでポロが出ます。現役の学生さんから見れば、おっさんが書いてくることが描写の隅々に滲み出て、作品に入り込めなくなるのではないかと思うのです。スマホ登場以上の影響がある。


 では異世界転生ものを書けば良いのでしょうか? これが私には見えません。

 異世界でもマスクを着用するのでしょうか、しないのでしょうか。ギルドの酒場はソーシャルディスタンスを保っているのでしょうか、いないのでしょうか。敵を斬りつけて血しぶきを浴びたら、放っておくのでしょうか、すぐ魔法やアイテムで洗浄するのでしょうか。

 異世界なので好きなように世界観を設定すればいいでしょう。

 しかし、それが読者にとって受け入れられるのか、生理的な嫌悪を感じさせる描写になるのかが見えないのです。

 その作品がこれから何年後に読まれるのか、読者がどの世代なのかによっても異なるのでしょう。人々が完全にアフターコロナ育ちに入れ替わるまで、世代間格差が続くのかもしれません。ビフォーコロナ育ちの創作者は、ビフォーコロナ育ちの視聴者と心中すればいいだけなのかも。


 私は今年の正月に、現代を舞台にした作品を投稿しました。主人公は格闘技道場で修行をして、世界各地を旅します。――そんなたわいもない行動描写ですら、すでに荒唐無稽なものになってしまいました。歴史物は別として、多くの作品で似たようなことが起こるのだと思います。

 ラノベにも一大変革が起こるのかもしれませんね。

 既存の名作、人気作がとても古びて見えるようになる。「唾を飛ばして語り合う」、そんなシーンが「グロ」と受け止められるようになるのです。「ニヤリと口もとが歪んだ」、そんな表現が「透視能力者かよ」と突っ込まれるようになるのです。

 すでに名声を獲得した作家さまも、安穏としてはいられない状況なのではないでしょうか。身につけている感覚が、時代遅れになったのです。

 下剋上の時が来る!?

 ……しかし従来でも、六十過ぎのおっさんがJKの心情を歌詞にしたためてヒット曲を連発していますね。こういう永年トップを張っていらっしゃる方々は情報を収集しまくって、新時代にもすぐに適応してしまうのでしょう。そんなに甘くはないように思えてきました。別に私は作家デビューを目指しているわけではありませんが。


 まあ、このような今後の創作のあり方を考える前に、リアルな生活を何とかしなければなりません。

 とほほ。

 まずは生き抜きたいと思います。


 了



 お読みいただき、ありがとうございました。

(投稿後に二度加筆修正を行っています)

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― 新着の感想 ―
[一言] これ突き詰めるとなろう作品が古典文学みたいに解説や現代語訳が必要になる日がくるってことなのだろうと思う。そこまで生き残る作品があるのかな? 時が過ぎれば文学史の授業でなろう小説を扱う日はく…
[一言] 多分ゆっくりと変化して行くと思う。 ナーロッパ自体がファンタジー系小説を読んでもらうために出てきた変化のひとつだと考えています。 20年以上昔になります。ネットがまだ未発達で今で言うラノベ…
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