第5話
ここは対策本部の一室。
KITTに設置した防犯カメラの映像を、
数人で閲覧している。
「今のところ、特に異常は見受けられませんね。」
「・・・そうだな。しかし、この膨大なデータの中に、
乗客が消えたという証拠があるはずなんだ。」
「乗客が降りるところに、映像を絞りましょう。」
「・・・? おや、これは?」
「・・・いやカメラの故障かな。」
「どうしたんですか?」
「見落としたのかもしれません。もう一度確認してみます。」
全員が注視する。
・・・・・・・・・・・・
運転手「いらっしゃいませ。どちらへ行かれますか?」
乗客「・・・・スカイタワー・・・」
運転手「はい、かしこまりました。」
運転手「キット、スカイタワーまで」
KITT「目的地をスカイタワーに設定しました。」
・・・・・・・・・・・・
「カメラの故障かな。乗客の声がし、運転手やKITTも、
通常通り対応していますよね?しかし何も写っていない。」
「カメラの死角になっているのかもしれません。」
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ほどなくして、スカイタワーに到着したようだ。
KITT「スカイタワーに到着しました。」
運転手「お客さん、到着しましたよ。」
・・・・返事がない。
運転手「お客さん? 支払いは、そこにあるBOXに
現金を入れるか、カードをかざしてくださいね。」
・・・・
KITT「目的地を専用乗り場へ設定しました。」
そして、映像の中のKITTは、何事もなかったかのように、
専用乗り場へ走り出した。
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「ここだ・・・」
「・・・・今、ドアが開いてないのに、KITTは
乗客が降りたと認識したな。」
全員に戦慄が走った。
この時点までは、運転手の狂言と疑うものも
多く存在したのだ。
カメラの調子が悪かったようだが、実際映像を
目の当たりにすると、信じないというわけにもいかない。
「くそっ、よりによってカメラの故障とは!」
「写ってなかったですか・・・しかし、この一週間で、
3件起こっている。まだ映像があるはずです。」
一人が運転手に質問する。
「この時のことを覚えているか?」
「私は全く目が見えませんからね。
消える乗客の特徴だなと思っただけで、他は何も。」
「そうか・・・では、手分けして次の映像を探そう。」
全員が作業に戻る。
そして、1時間ほどした後に、1人が声を上げる。
「スカイタワーを指定する乗客が乗り込みました!」
全員が一斉に画面の前に集まった。