表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/54

39 覚凄

「お前ら……アヤに手を出すな!」


「出すに決まってんだろ。男の“気力を削げ”ってんなら、そいつの女をやっちまうのが手っ取り早いんだからな!」


 兵士の一人が、薄笑いを浮かべたままヴォルテに言い放つ。

 黒い瞳の青年は、繋がれた腕の鎖を引き千切ろうと身をよじりながら叫んだ。


「やめろ……やめろォ!」

「チッ、うるせぇな!」


 舌打ちの直後、男の拳がヴォルテの頬を打ち、ブーツの爪先が鳩尾に沈められる。

 呻き声と血反吐を吐き出すヴォルテを見て、今度はアヤが悲鳴を上げた。


「おい、始めてるぜ!」


 兵士の一人が手袋を片方外し、アヤの口にねじ込みながら言った。


「へへ、早いモン勝ちだからな」

「ちぇっ、さっさと済ませろよ?」


 あられもない姿の想い人は、泣き叫ぶことすら許されず、美しい碧眼から涙が溢れる。


 白く豊かな曲線を描く肢体に下卑た欲望が向けられた。

 一人は胸を捏ね回し、下半身を撫で回し。一人は片方の太腿を抱えんで、強引に脚を開かせる。

 そして、正面に立った男がズボンのベルトを緩めた。


 獣のような男そのものを目の当たりにしたアヤの顔が、恐怖に染まり――――


 ぶち、と『何か』の緒が切れた。

 ヴォルテの中の、どこかで切れた。


 否――『何か』のピースが嵌まったのだろう。

 ヴォルテの瞳が渦を巻き、中心に烈しい光を宿した。



「ファァァァァァァザァァァァァァァァァ!!」 



 そのとき、彼の脳裏には。

 昂ぶりきった感情におよそ不釣合いな、冷徹で機械的な言霊コードが浮かび上がった。


<<起動思念テレパス――送信。目標を抹殺せよ!>>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ