超短編シリーズ2
【第二話】親友
僕には物心つく頃から親友がいた
僕が三歳になった誕生日にやってきた猫の小太郎だ
雑種で性格は臆病、いつも物陰に隠れてばかりでなかなか姿を表さない
けれど僕が昔から泣いていたり、悲しそうな顔をしているといつも寄り添ってきて人の顔見て
「にゃー」と鳴いてすぐ背中によじ登ってくる
兄弟がいない僕には小太郎が兄弟の様な存在だった
けれど僕が高校生になる頃、もうお爺さんぐらいの年齢であろう小太郎は行方不明になった
僕は半べそを浮かべながら一晩中探した、何十匹とゆう猫を確認しても小太郎は見付からない
それから十日後
家の玄関から『ガリガリ』とゆう音がする、不思議に思いドアを開ける
そこには小太郎が座り込んでいた
そう、小太郎がいた…血だらけの…
すぐに動物病院に運び、獣医さんから話を聞いた
「この猫ちゃんは凄いですね、車に跳ねられた傷だと思いますけど普通の猫だったらもう帰ってきませんよ?それだけこの猫ちゃんは家に帰りたかったんでしょうね、家が大好きなんでしょう」
僕は泣いた、獣医さんから聞いたその話を聞いて、横目に映る小太郎が悲しげな眼をしながら僕を見て弱々しく鳴く姿を僕はツラくて、悲しくて、でもちゃんと帰ってきてくれた事が嬉しくて
けれど獣医さんは悲しい現実を僕に突き付ける
「ただ、残念ながらこの猫ちゃんの体力はもうほとんどありません、年齢が年齢ですから、ですので最後まで見捨てずちゃんと可愛がってあげて下さいね」
怪我の治療をし、自宅療養とゆう事で僕は小太郎を連れて帰ってきた
それから数日、僕は学校以外では常に小太郎の看病をしていた
そしてある日、疲れて寝てしまった僕はうつ伏せで床に倒れる様に寝てしまった
すると背中に何か重さを感じる、寝惚けてる頭の中に声が響く
『にゃーにゃー』
小太郎だ!小太郎が元気になったんだ
そう思い、目を覚まし、背中にいる小太郎を抱き抱えた
しかし、そこには元気な小太郎とは違い、もう動かない小太郎がいた…
どこを見ても動こうとする部分がない
僕はもう動かなくなった兄弟…
いや…親友を抱き抱え、庭にお墓を作り、埋葬した
あれから数年、今でも小太郎が背中で呟いた鳴き声が頭に響く
あれは『ありがとう』と言ってくれたのかな?って