表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の盟友  作者: 藤里
5/5

五話 盟友

本当にお久しぶりです。この話で完結です。

そんなある日、事件は起こった。

とある何でもないはずの日、俺たちが午前中に授業を受けている時だった。

ガラッ

そんな音がして教室の後ろの扉が開いた。


「緊急招集、緊急招集!辺境近くで魔物が三か所同時に大量発生!大型魔物も混じっている模様。竜騎士が足りないため、近くの村の避難誘導および警護の応援を要請されました!」


一瞬、クラスがシ――ンと静まり返る。

ワンテンポ遅れて、ガタン、と椅子が倒れる音がした。バッと他の生徒が俺の方を向く。そう、倒れた椅子は、俺が勢いよく立ち上がった勢いでできたものだった。だが、そんなものは気にせずに俺は叫ぶ。


「辺境の村ってどこですか?まさか・・・」


「ハイユ、エリエ、そしてレブサ。」


レブサ・・・・・俺の村だ。俺はすぐに駆け出す。後ろで他の生徒が動き出した音がするが、それは俺にとって、膜を隔てた向こう側の世界のように思えていた。


「ルイス!」


後ろから先生の声がする。


「竜のもとへ行って無理にでも契約しろ、そうでないとお前の家族は助けられない。」


思わずビクンと肩がはねた。俺は一つ呼吸をして、そして腹をくくった。


「はい。」


俺は先生に叫ぶように返事を返し、全力で走る。先生も俺の後ろを追いかけていた。


俺が竜舎に駆け込むと、俺の竜はわかっていたかのように前に立った。


「竜・・・・、俺の村が魔物に襲われた。俺は家族を助けたい。今すぐにでも駆けつけたい。俺と、契約してくれ。」


竜は、ただ静かに俺を見ていた。


「わかってる。俺だって、お前と主従関係になるのは嫌だ。友達なんだから当たり前だ。だから、俺お前とは主従関係は結ばない。・・・・・誓うよ。契約しても、お前に命令なんかしない。ずっと友達でいる。だから、友達として俺と契約してくれ!俺と一緒に戦ってくれ!」


俺がそう叫んだ瞬間、俺と竜の周りを囲むように魔法陣が現れた。陣に目を走らせると、自然と文字が頭の中に入ってくる。


‘盟友の儀’


そんな言葉が俺の中に浮かび上がった。・・・・そうだ、どうして忘れていたんだろう。ヒントはあったじゃないか。じいちゃんはいつも俺に話してくれていた。


________太古の昔、人と竜は盟友であった。手を携え、背を預け合い大切なものを守るため

    に戦うその姿を見て、人々は彼らを竜騎士と呼んだ・・・


自然と言葉が口からこぼれる。


「我、竜騎士として戦うことを望む。我、盟友となりて汝と共に空をかけ、戦うことを誓う。」


竜が嬉しそうに鳴く。俺は剣で指先を切り、竜に差し出した。竜がそれを舐めとった瞬間、魔法陣が一層強く輝く。魔法陣が消え去るころにはそれと同じ模様が俺の手の甲に、竜のうろこと同じ白銀で描かれていた。


‘それが契約の証だよ。’


頭の中に声が響く。


「・・・お前、話せるのか?」


‘契約者とはね。・・・もう、待ちくたびれたよ。いつまでたっても契約してくれないんだもん。’


「ははっ」


乾いた声が漏れた。竜はきっとずっと前から俺の相棒になる覚悟を決めてくれていたに違いない。


「ごめんな、竜。全然気づかなくて、すっかり遅くなっちまった。」


‘許すよ、ルイス。知らなかったんだもんね。あ、それよりもさー僕の名前!僕、アレキサンダーっていうんだ。アレクって呼んでよ。ルイスいっつも竜ってばっかでさ、僕ずっと名前呼んで欲しかったんだー。’


「わかった。これからよろしくな、アレク。」


俺が声に出してそう呼ぶと、アレクは嬉しそうに俺の頬をなめた。


「ルイス、契約はどうなった?」


そこへ先生が駆け込んでくる。


「あ、先生。契約は成りました。従属の儀ではなくて、盟友の儀、というそうですが・・・この契約はおそらく人間と竜が対等のようで。あとアレク・・・竜と話ができるようになりました。」


「盟友の儀・・・竜と話が・・・それは多分、本来の竜との契約だな。伝説の竜騎士様と同じだ。竜を人工飼育するうちに効率を重視しすぎて、契約の儀まで変わってしまったのか。うん、おめでとう、ルイス。」


「ありがとうございます。」


俺は初めて先生に頭を下げてお礼を言った。っと後ろからアレクに小突かれる。


‘ねえ、ルイス急がなくていいの?ルイスの村が大変なんでしょ?’


あ。俺はようやく思い出して、一気に青ざめる。やばい、急がないと。間に合わないかん知れない。


‘大丈夫だよ。だって僕と一緒に行くんだもん。僕、他の騎士の竜より三倍ははやくつけるよ。’


「アレク、一緒に行ってくれるのか?」


‘何言ってるの、当たり前だよ。だって困ってたら助けてあげるのが友達でしょ!’


アレクがしゃがんで俺に乗りやすい体勢になる。


「ありがとう」


先生が倉庫から鞍を持ってきてくれた。


「先生も、ありがとうございます。」


「ああ、行ってこい。俺も後から追いかける。まあ、お前の竜には追い付けんだろうがな。」


俺は軽く頭を下げて、アレクに乗った。間髪を入れずに飛び立つ。

・・・・・・・ああ、飛んでいる。やっと、アレクと一緒に空を飛んでいる。

自然とこぼれた涙は一瞬で風に吹き飛ばされた。


‘急ぐよルイス!しっかりつかまって!’


「ああ、頼んだアレク。」


竜と竜騎士は一瞬にして空へと消えていった。






◇◇◇◇◇◇◇






伝説の竜騎士の再来と呼ばれた竜騎士ルイスと、その盟友である騎竜アレクの物語はここに始まる。 


処女作です。読みにくいところ多々あったとは思いますが、ここまで読んで下さってありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ