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三題噺「雲」「息」「人工の高校」

作者: 小鳥紗子

Twitterの三題噺をやってみて、試しに書いて、ほっとくのが惜しくてこちらに置かせていただくことを思いつきました。

うさぎの耳みたいな形をしたあの雲が、私の上を通り過ぎたら言う、と決めて深呼吸した。

彼はまっすぐ私を見ている。正確には、私が手にしたパンフレットだ。



「そこ、行くの?」

「まだ分かんない」



エコロジーとか省エネといった謳い文句が飛び交うこのご時世、進路を決めるときに「CO2の排出量削減優良校」や「環境保全認定校」なんて冠がついたクリーンな学校を好む生徒が、私たちの周りには圧倒的に多かった。大学進学もそういう高校の生徒が有利だともっぱらの噂で、まぁ噂に過ぎないよねと言い合いながら、私の友人はみんなそこを目指していた。だから、私が今持っているようなパンフレットの高校は、通称「人工の高校」と呼ばれて避けられた。鉄筋コンクリートの3階建。緑ゼロ。自然ゼロ。けど私には、学費のゼロが少ないことが何より重要だ。


中庭は暑い。

9月の蒸し暑さは、四方を囲む朝顔の壁でどうにかなるものではない。

前髪をかきあげる。

「暑いね」

彼も真似して額をかいた。



うなづいて、気まずさを誤魔化そうと空に目をやる。

壁に囲まれた小さく四角い空はどこまでも濃いブルーだ。うさぎの耳は、どこにもない。


私は息を吸う。吐くのは、空気以外のものがいい。



初めてアップします。まだこちらのお作法も存じませんのでお手柔らかにお願いします。

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