探索の前に
ゆっくりゆっくりと物語が進んでいきます。
他の人間達との遭遇にはまだもう少し掛かります。
期待してくれている人には申し訳無いです。
もし良ければ、感想や評価など、お願い致します。
蛙肉を食った次の日、俺は薄暗い洞窟で目を冷ました。アイテムボックスにしまっておいた焼き蛙肉を齧り、洞窟の外に出る。森からは鳥の鳴き声が聞こえ、朝の弱冠涼しい風が俺の頬を撫でる。
俺は軽く柔軟をした後、ステータスを確認した。
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種族:「人間」
性別:男
名前:なし
年齢:7
LV:3
HP:120/120
MP:80/80
筋力:75
物理耐久:45
魔法耐久:35
敏捷:50
体力 :55
魔力出力:30
スキル
「アイテムボックス」
「ステータス偽装」
「ステータス回覧」
「魔石吸食」
ーー《エルフロッグの舌》
「剣術lv1」
「短剣術lv1」
「体術lv2」
「斧術lv1」
「槌術lv1」
「火魔法lv1」
「水魔法lv1」
「土魔法lv1」
「風魔法lv1」
「雷魔法lv1」
「光魔法lv1」
「闇魔法lv1」
「治癒魔法lv3」
「魔力精密操作lv3」
「魔力感知lv1」
「魔力視認lv1」
「痛覚耐性lv1」
[称号]
なし
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ふむ、ステータスが少し上がっている。
おそらくこれがエルフロッグの魔石によるステータス補正だろう。
俺は取り敢えず、昨日から試したいと思っていた新しい能力、《エルフロッグの舌》発動させる。
すると、MPが削れる感覚と共に口の中に違和感。
ソレを吐き出すようにしてみると、昨日見たエルフロッグの舌が俺の口から放たれ、近くの木を少しへこませた。
「おお、面白いな」
出すのも仕舞うのも自由自在。
おまけに魔力も纏わせることも出来た。
威力もそこそこある。
どうやら発現させる時には魔力を消耗させるようで、MPを25程持ってかれた。
解除するまで魔力消費が無いことを考えると、コスパも良い方だろう。しかも攻撃出来る体の部位が1つ増えるのは大きい。
さて、ステータスの確認をしたところで、今後の方針を決めよう。
今後は、あの洞窟から円を描くようにして探索していく。いつかは森から出られるだろうし、人にだって会えるかもしれない。それに食糧の供給、アイテムの補給も兼ねている。今は蛙肉があるが、あと2、3日で切れてしまうだろう。早いところ食糧を探さなければならない。
「でもまあ、その前にやることもあるか。」
拠点の改築と、先日見つけたアイテムの調合などである。特にポーション系は作っておきたい。自分の身に何があるかわからないし。
ということで、まずはアイテムの調合を始めることにす。
先ずは土魔法でボウルと先が丸い棒を作る。
《土魔法スキルのレベルが上昇しました》
そしたらボウルにハリポネ草を入れて棒で擂り潰していく。
それが終わったら、今度は土魔法で目の細かいざるを作って、ゴミを落とす。
《土魔法スキルのレベルが上昇しました》
取り敢えず、コップ一杯分の汁が取れた。
「これで終わりなのか?」
俺はステータスを覗いてみる。
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ハリポネ草の汁:ハリポネ草を潰して、ゴミを濾した汁。ポーションの素材になる。
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ありゃ、まだポーションじゃないのか。
どうすりゃ良いのさ。
俺は水魔法で少し水を加えてみたり、かき混ぜてみたり、火で暖めたり氷で冷やしたりしてみるが、何も起こらない。
《氷魔法スキルを獲得しました》
だが、魔力を流してみた瞬間、液体が光った。光は微弱なものであったが、薄暗い洞窟の中では良く見えた。
《錬金魔法スキルを獲得しました》
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ポーションの原液:ポーションの原液。薄めて使う。
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おお、出来た。どうやら錬金魔法とかいうのが必要だったらしい。
俺は同じようにして、マルニー草からコップ一杯分だけ原液を作ってみた。
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マナポーションの原液:マナポーションの原液。薄めて使う。
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純度は………まあ、網目が少し細かい程度のざるで濾しただけだから仕様がない。確かにまだ色々細かいのが浮いているしね。
まだまだ素材はあるけど、それは追々調合していくことにして、入れ物が必要だな。
俺は火魔法と土魔法を同時発動し、壺のような形にしていく。
《火魔法スキルのレベルが上昇しました》
《魔法多重発動スキルを獲得しました》
《複合魔法スキルを獲得しました》
簡単な陶器が出来た。
俺はそれをもう一個作り、壺に合う蓋を用意してそれに合う蓋も作る。
取り敢えずのところはこの壺に原液を貯めていくことにする。
さらに俺は、土と火の複合魔法で試験管のようなものを作り、そこにポーションを入れていく。そして最後に口のところに土魔法で薄く膜を張って、ポーション容器の完成だ。これで非常時は膜のところを指で押して破って中身を飲み込めばよい。これを回復薬魔力回復薬共に数本ずつ作っておく。
取り敢えずアイテムの補給はこれで終わりにして、続いて拠点の改築をすることにした。
両の先に魔力を纏わせて、光魔法で光球を側に浮かべて明かりにしながら引っ掻くようにして洞窟を斜め下に掘り進めていく。
《掘削スキルを獲得しました》
大体10M程掘り進めた後、今度は直径15M、高さ3M位の部屋を作っていく。
《掘削スキルのレベルが上昇しました》
《掘削スキルのレベルが上昇しました》
《掘削スキルのレベルが上昇しました》
掘削スキルのお陰でサクサク作業は進み、3時間程で完成した。俺は疲労のため息をついた後、最後の仕上げとばかりに土魔法で壁を崩れないように固めた。
作業の完了直後、俺は魔力切れを起こしてぶっ倒れた。
「MP全く気にしてなかったわ………」
少し気絶した後目を覚ますと、すっかり夜になってしまっていた。
俺は蛙肉を食べた後、洞窟内でポーション作りをし、残りの魔力を使い土魔法で椅子と机を作ってその日は寝た。
次の朝、俺は俺は腹ごしらえを済ませ、洞窟の前に立っていた。
この先には、どんなモンスターがいて、どんなアイテムがあるがあるのだろうか。少しばかりこの環境に慣れてしまったせいか、静かな森を前にして、不安よりも好奇心が勝り口許がにやけてしまう。
「さて、まだ見たことの無いものを見に行こうか。」
俺は森へ歩みを進めた。