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我が人生  作者: 下水管
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地上へ

残酷な描写があります。

「う………。」


降り注ぐ木漏れ日と、頬を撫でる微風。


そして俺を取り囲む木々。


「…………。ここは………。」


体の筋肉が固まってるせいで体が動かない。


体を小刻みに動かして、少しずつ、少しずつ、体をほぐしていく。


自分の体を見ると、黒い無地の半袖シャツに、膝の半ば迄くらいのこれまた黒いズボンをはいており、足には草鞋のような物を履いていた。


取り敢えず、手足が動くようになってきたところで、自分のステータスを見ることにする。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

種族:「人間」

性別:男

名前:

年齢:7


LV:1

HP:40/40

MP:20/20


筋力:25

物理耐久:15

魔法耐久:10

敏捷:15

体力:20

魔力出力:5


スキル

「アイテムボックス」

「ステータス偽装」

「ステータス回覧」

「魔石吸食」

「剣術lv1」

「短剣術lv1」

「体術lv1」

「斧術lv1」

「槌術lv1」



[称号]

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ありゃ?神力と神力出力が消えてる。


やっぱりあれは神様の力的なものだったのかねえ。

ホイホイ使ってたけど。


そういえば名前無いのね。どうしよう。

う〜ん………。まあ、後で考えるか。


年齢は7歳か。確かに自分の体を見ると小さくなっている。


HPは生命力、MPは保有魔力残量、筋力と耐久と敏捷はいいとして、体力はスタミナ、魔力出力は一度に出せる魔力の総量ってところか。


スキルは……色々あるけど…。

初めはアイテムボックス。

これは定番ではなかろうか。

試しに近くの石を持って、《アイテムボックス》と念じながら《収納》とさらに念じてみると、石が消えて、《アイテムボックス》に石が収納されたのが感覚的にわかった。便利すぎる。因みに引き出すのもしっかり出来た。


ステータス偽装は……相手から見た時に、文字通りステータスを偽装するんだろうか。ここら辺は要検証か。


ステータス回覧は……これスキルだったのね。それにしても、これはすごいスキルではなかろうか。

何でも詳細見れるんだから。


他の○術というのは読んで字の如くだが、問題は最後。


魔石吸食ってなんだよ。

てか魔石って何?


と、そこまで考えて思い付いた。

ステータス回覧で、この詳細を見れるのではないだろうか。


まあ、取り敢えずやるだけやってみよう。ステータス回覧を発動している状態で、さらに魔石吸収の文字に意識を向ける。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

魔石吸食:モンスターの持つ魔石のみ吸収可能。

魔石を吸収することにより、そのモンスターの生前持っていたスキルや、特徴的な体の部位を発現させることが出来る。

発現させた部位の強さは、自分のLVとステータスに依存する。

発現にはMPを必要とし、解除に関しては自由自在。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



え………これヤバイんじゃあ………。


だってモンスターの体を自分の一部に発現させられるんでしょ?

これ発現させたままもしも人間とかにあったら化物と勘違いされるよなあ………。魔石は魔物を倒せば手に入るのだろうか。まあ、これも要検証だな。


というか、魔物、やっぱりいるんだね。

ずっとスルーしてたけど、魔法もあるみたいだし。前世の小説知識が役に立てばいいけど………。




っとそろそろ体も動くようになったみたいだし、周辺を探索してみようかな。

仰向けになっていた体をぐいっと起こして、深呼吸。


「よし、行こうか。」


といっても周りには木ばかりで、何もない。何処かの森のようで、道なんてものも無い。

取り敢えず適当に、起き上がった方向に向けて、歩を進めてみることにした。





木々に挟まれた、道なき道を進んでいく。


もうかれこれ15分は直進している筈だが、相変わらず何もない。行けども行けども見えてくるのは木、木、木、木、木…………。


それに足も疲れてきた。

ここは森で、人の通ったことの無いような道を、七歳の、しかも慣れない体で獣道を歩き続けているのだ。これで後1時間も歩けば、酷い筋肉痛になってしまうだろう。


「……ちょっと休憩するか。」


側にあった木に背を預けて座り込んで足を伸ばす。

木の葉の間から見える太陽を遮る雲はなく、快晴の空を爛々と照らしていた。

遠慮の無い日の光が少し恨めしい。


「このまま何もないとそのまま餓死しかねないなあ………。」

いや、と頭を振ってその考えを追い払う。まだ十数分しか歩いていないのだ。暗い見通しをするにはまだ早計だろう。

よっこらせ、と腰を上げてまた俺は歩き始めた。




それからまた10分程歩いただろうか。

俺は地面に足跡を発見した。


「足跡は人間に似てはいるが………。」

足の大きさは俺より少し小さいくらい。

五本の指に土踏まずを挟んで踵。外見だけならば人間の物と考えて遜色無いのだろうが………。

「でも裸足ってのはおかしいよなあ………。」

足跡にはくっきりと五本の指と踵の踪がある。つまり、裸足なのだ。

「どうしようかねえ………。」

この足跡を辿ってみるべきか、無視するべきか。


俺は少し悩み、辿ることにした。

人間にしろ、それ以外の何かにしろ、ここに暮らす生物の行く先は食糧のある場所の可能性もある。

足跡は人間か、もしくは足跡から見てそれに準ずる生物であるならば、人間と似た器官を体内に持つ可能性は高い、ならば食えるものもあるかもな………と考えていると腹が鳴った。

そういえば起きてから何も食べていない。日が暮れる前に、といそいそと俺は歩き出した。



歩き始めて30分程。どこまで続くんだと嫌気が差してきた俺だったが、途中から足跡が複数になっており、何かの声を聞いた気がして足を止めた。


「(なんだ……?)」

よく注意して聞いていると、人間と言うには少し無理があるような声ーーーいや、鳴き声というべきかーーーが聞こえてきた。


何か言葉を話しているような気もしないでもないが、遠すぎてよく聞こえない。

少し近づいてみるか………と考えつつ、地面を見ると、沢山ある足跡のうち一つが、目の前の木々の一つに繋がっている。

俺は側にあった石を持って、そろそろと木の上に視線を上げていく。


途中から別れた枝の一つの上に、木葉に身を隠すようにしてヤツはいた。


大きさは80cm程だろうか。

緑色の皮膚に、少しだけ尖った耳。

細長い目に鍵鼻の意地悪そうな顔、そんな頭を乗せ、腰に大きな葉っぱを巻いただけの格好をした矮躯。


その姿は、本で見た通りのものだった。

「(ゴブリン………?)」


反射的にステータスを見る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ランク1

種族:「ゴブリン」

性別:オス

名前:なし


LV:3

HP:50/50

MP:0/0


筋力:20

物理耐久:15

魔法耐久 :5

敏捷:15

体力 :20

魔力出力:0


スキル

「遠視lv1」


[称号]

なし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「(どうしようか…。)」

相手はまだ気づいていないようだ。

近付くときに気付かれなかったのは僥倖だろう。

このゴブリンは木に登って遠くを見るように頭をつきだして目を細めている。

ステータスを見る限りでは、戦えばいい勝負をしてしまうだろう。

それにスキルから見てもここでおそらく見張りをしていることから、この先に複数のゴブリンがいる可能性は高い。現に、遠くから声も聞こえている。


取り敢えず、側に落ちていた拳大の大きさの石をさらに合計二つ見つけ、《アイテムボックス》に入れておく。


動いて音を出す訳にもいかず、また対処も思い浮かばず、緊張した時間が過ぎていく。


本では最弱モンスター等と言われているゴブリンだが、今の俺には、命を掛けるべき強敵だ。

だが、このままじっとしている訳にもいかない。ゆっくりと目の前の木に足を掛け、手を掛け登って行く。

だが、流石に自分のいる木に走る微妙な振動に気付いたのだろうか。

ゴブリンが振り返った。

俺とゴブリンの間で交差する視線。


「ギッ!?ギイィィ!!」

ゴブリンが突如金切り声を上げた。

「(まずっ!?)」

俺は思いっきり飛び掛かり、手に持った石で思いっきりゴブリンの頭を殴り付けた。


頭から血を流しながら枝から落下するゴブリンだが、その際咄嗟に俺の腕を掴む。

後先考えず飛び掛かった俺の足場は非常に悪く、そのままゴブリンと錐揉みしながら後を追うように4m位の高さから落下する。


俺とゴブリンは地面に 叩き付けられたが、下が土だったお陰で背中を強かに打ち付けるだけで済んだ。


俺は急いで跳ね起きたが、頭を俺に石で殴られたゴブリンは、ふらふらしながら起き上がる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ランク1

種族:「ゴブリン」

性別:オス

名前:なし



LV:3

HP:35/50

MP:0/0


筋力:20

物理耐久:15

魔法耐久 :5

敏捷:15

体力 :20

魔力出力:0


スキル

「遠視lv1」


[称号]

なし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



HPは削ったが、まだまだ生きている。

一気に倒すべく、落ちたときに落としてしまった石を拾って、未だにふらつくゴブリンに向けて石を叩き付ける。


1度、2度、3度、4度。

ぶつける度に頭が陥没し、4回目を叩き付けたときには名も無きゴブリンは血の海へと沈んでいた。


《レベルが上昇しました》


「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ………。」

静寂を取り戻した森に俺の息遣いがやけに響く。

頭に響いた「管理人」の無機質な声を聞きながら、呼吸を落ち着けた俺は、休もうとその場に座り込み…………そして異常に気付いた。


「(静かすぎる………)」

ふと悪寒を感じて後ろを振り向くと、そこには3匹のゴブリンがいた。




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