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我が人生  作者: 下水管
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プロローグ3

どうも、創世神です。


いや、神になっているとは思わなかった。


前世で読んだお気に入りのライトノベルを参考に、自分のステータスを見てみたら予想の真上を行ってしまった。


流石に自分が神になってるとかは考えていなかった。


だって神だぜ?しかも主神で創世神。


あとスキル「全て」って何だよ。何ストさんですか。万能なんですか。唯一なんですか。


あとは、この常軌を逸したステータス。表示しきれないって何だよ。基準がよくわからないけど、ほぼ無限じゃないか。


はあ・・・・・・。

何か疲れてきた。


ステータスをみたあと、色々やってみたのだ。


手から火の玉出したり、魔力を纏わせた手刀で空間を切って次元の裂け目を作って、さらにそれを魔力で縫合して元に戻したり。


そんなこんなで、とりあえずステータスの中の単語を読みながら、頭の中で詳細を見たいと願ったりすると、その単語の詳細を見れるようになるというのがわかった。あと、物質にも有効みたい。

さっき色々な物を手元に作って意識を集中させたら、その詳細を見ることができた。スキルの「鑑定」とかも兼ねてるのかな?

ちなみに自分のステータスも念じるだけで見ることができるみたい。詠唱とかはいらないのね、コレ。




とりあえず、興奮して茹った頭を落ち着かせる。


「すー・・・・・はー・・・・すー・・・・はー・・・・・。」

深呼吸もしてみる。


さて、取り合えずだ。とりあえずの方針は頭で決まってきた。


世界を作る。んでそこで人間としての経験をもう一度積み直す。


自分でステータスを見たとき感じたのは、唯の驚きだけではなかった。

俺を襲った、もう一つの感覚。それは「焦燥感」だった。

何で俺は、自分が神だとわかった時に、焦ったのだろうか。

大まかな行動方針を決めてみて、その焦燥感の正体がようやくわかってきたような気がする。


俺は、前世が人間であることを忘れたくないのだ。


試行錯誤し、そのたびに俺の力によって顕現する、人智を超えた力・・・・・・神としての力。


それを使う度に湧き上がる万能感に、前世の知識で復活させた自分の人格が押し流されそうになる。


それが怖かった。


だから、もう一度人生とやらをやり直す。この身に刻むように。自分の力に振り回されないように。


「さあ、神としての初仕事を始めようじゃないか。」


まずは、世界を作る。

そんなことが出来るのか。


答えは「是」だ。


理屈はいらない。出来るというのが「わかる」から。


躊躇う必要はない。その身に余す膨大な力を、思念に乗せるだけ----------。


「(《世界創造クリエイト・ワールド》!)」


前に突き出した手のひらから、膨大な量の魔力と神力が溢れ出る。

色々な色に輝く虹色の魔力と、黄金色に輝く神力が絡み合い、何も無かった空間にシャボン玉のようなモノを構成していく。


シャボン玉のような球体のモノは、直径3メートル程迄膨らむと、取り敢えずの成長を終えた。


だが、まだこれで終わりではない。

続いてシャボン玉の中心に、恒星・・・・太陽の様なモノを創る。


太陽の様な「モノ」というのも、俺が作った太陽モドキは、ガスではなく魔力を基にしたモノで構成されており、その中心には、太陽モドキを維持し続けることのできる量の魔力を放出し続ける、神力使って創った神器が埋め込まれているのだ。だから、元の世界にあった太陽の様に、最終的に燃え尽きるなんて事が無い。


続いてイメージするは、太陽系。それを元に、これまた太陽系モドキを創り上げた。


「ふう・・・・。取り敢えず下準備は終わったな。」

次は、地球モドキの地表に、生物やら何やらをセットしなければいけない。いけないのだが・・・・。


「め、面倒くさい・・・・・・。」

そう、文字通り、面倒くさい。

昆虫だけでも元の世界では150万種類位はいるのだ。

そんな面倒なことはやってられない。

なので・・・・・・。


「(《管理者創造クリエイト・アドミニストレータ》!)」

この世界の管理者を作る。

そもそも、自分の目的は人間しての生活・・・・・人生をやり直すことなのだ。

世界をわざわざ作ったのもそのため。

人間として人生をやり直せる場所を作ったら、そこに自分の人間としての体を送り込み、そちらに意識を憑依させるのだ。

だからその間世界を見守る者が居なければ困る。


果たして、手のひらをかざした先に出来たのは、綺麗な八面体をしたクリスタルだった。

そのクリスタルに肉声で呼びかけながら、手で直接触れて魔力と神力を材料として渡す。


「おい、俺の代わりに世界の設定を行ってくれ。そうだな・・・・別段前世の地球に似せる必要は無い。材料は必要なだけ渡すから思う存分やってくれ。」


するとそれに答えるかのようにクリスタルが明滅し、大量の魔力と神力を放出しながら俺がやるはずだった作業を肩代わりし始めた。


地球モドキの表面に海が出来たり大陸が出来たりするのを見ながら、それに・・・と思う。


「(地球モドキの設定を俺が隅々まで知っていたら、面白くないじゃないか)」

そう、面白くない。最初から全部知っているなんて、面白くないのだ。

そもそも前世の俺だって、地球の物全てを知っているなんてことは無かった筈だ。

未知への燃え上がる様な探究心は、いつだって、知らないという無知性こそが燃料なのだ。


そうしてボー・・・・っとしながら待っていると、ふと魔力と神力の放出が止まった。


どうやら世界の構成が終わった様だ。

俺はクリスタルの管理人に腕をまわしながら馴れ馴れしく話し掛ける。


「さてさて・・・・・・。クリスタルのクリちゃんよ。早速今から地球モドキ上に精神を送り込むから、受け皿となる肉体を用意してくれ。」


適当にあだ名をつけたらなんだか卑猥なあだ名になってしまった。しょうがないよね。君がクリスタルなのが悪い。


「種族はどうしますか?ご主人様。能力値やスキルはランダムですか?」


ついついビクッとなってしまう。


「・・・・・・口利けたのかよお前。」


「はい。勿論でございます、ご主人様。あなた様が直接御作りになったこの卑猥な名前の管理人が、口を利けぬ程低スペックなどとはありえません。」


中性的で、無機質な声ながらも若干皮肉っぽい声で発言してくる。

いや、名前のことは悪かったって。


「んじゃ、種族は勿論人間。能力値やスキルはランダムで。転送は陸地であればどこでもいいのでランダムで。」


こいつの言うことを聞く限り、どうやら人間以外の種族もいるらしい。

ああ・・・・人間以外の種族がいることを知るという楽しみが一つ減ってしまった・・・・。


「了解いたしました。それでは、素体の転送を開始します。・・・・・3、2、1・・・・・・・。転送が完了しました。」


よし、んじゃいくとしようか。


「んじゃ、行って来るよ、クリちゃん。」


「・・・・・・・・・・行ってらっしゃいませ。」


なんだかちょっと不機嫌そうな声に見送られるように、俺は精神体を地球モドキの地上にいる俺の受け皿へと送り込んだ。

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