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我が人生  作者: 下水管
11/24

オグロ

短いかな?

外壁の近くには、長蛇の人の列ができており、その先では門兵が荷物検査を行っているようだ。


俺は列の最後尾に並び、自分の番が来るのを待つ。


時間を掛けながら、少しずつ列は進んでいく。先の方で貴族がどうのとか一悶着あったようだが、特に此方には問題は無かった。


俺の1つ前の馬車が門を通過したのを見て、俺も門兵の前に出る。


「子供か。危険な物は……持っていないな。よし、ステータスを見せて貰うから、身分証明手帳をだせ。」


「身分証明手帳?……あぁ、身分証明手帳ですね。すみません、無くしてしまいました。」


「あ?無くした?仕様がねえな、こっちに来い。」


門の横の簡素な部屋に連れ込まれる。

そこにはこれまた簡素な机があり、水晶が置かれていた。


「この水晶に手を置け。ステータスを見る。」


へえ、でもその前に確認だけしないとね。


横にいる門兵と水晶のステータスを覗く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

職業:衛兵

種族:人間

性別:男

名前:アベル

年齢:28歳


LV:6

HP:200/200

MP:50/50


筋力:150

物理耐久:100

魔法耐久:100

敏捷:110

体力 :130

魔力出力:15


スキル

「槍術lv2」

「体術lv1」


[称号]

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

鑑定の水晶:《鑑定》の力が込められた水晶。触れることにより対象のステータスを表示する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あ、ヤバイ。

まだ7才の俺のステータスが異常だということがわかった。


俺は急いで《ステータス偽装》を使い、自分のステータスを改竄する。


「おい、早く水晶に手を置け。後ろが詰まってるんだ。」


「は、はい。すみません。」


水晶に込められている《鑑定》の力に戦々恐々としながら怖々と水晶に手を置く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

種族:人間

性別:男

名前:オグロ

年齢:7歳


LV:1

HP:50/50

MP:30/30


筋力:50

物理耐久:30

魔法耐久:30

敏捷:50

体力 :30

魔力出力:5


スキル

なし


[称号]

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

水晶に浮かび上がるように俺のステータス(偽)が表示される。

適当に決めた名前だが、これからは「オグロ」と名乗ろう。



「称号欄に犯罪系の称号はないな。よしよし。…………ふむ。結構強いじゃないか。成長して訓練したら王都の騎士隊にでも入れるかもな。……んじゃ、この紙をギルドにもっていけ。ギルドは真っ直ぐ大通りの商店街を抜けてすぐだ。」


門兵が紙に紹介状を書いて判子を押してくれる。



俺は門を通り、両側に露店の並ぶ大通りを人混みを掻き分け進む。まだ身長が低いので先が見えない。早く抜けねば。




苦労してへとへとになって進んでいくと、広場に出た。真ん中には3階建ての立派な建物が建っており、近くには酒場や武器が並んだ店があり、冒険者だろうか、武装した人間たちがたむろしている。


どうやらこの建物がギルドのようだ。

大きな扉を開け、中に入る。


扉に付けられたベルが音をたてる。

俺が入った瞬間、強面の男達の鋭い視線が集まる。

中には女の冒険者もいるが、男に比べて数は少ない。まあ、その数少ない女冒険者も此方に鋭い視線を送ってきたのだが。


「(受付に出せば良いのか?)」


ギルドに入って真っ直ぐのところにあるカウンターにいる何人かの受付嬢の元へ、左右にある椅子に座る冒険者達の視線を浴びながら向かう。大方、大人ばかりのこの場所に、俺のような子供がいるのが珍しいのだろう。


「すみません、これお願いします。」

門兵のアベなんとかさんから貰った紹介状を茶色のロングヘアで綺麗というよりは可愛い受付嬢に渡す。

「はい、身分証明手帳の発行ですね、承りました。再発行には銀貨1枚が必要となりますが…………」

「すみません、貨幣の価値について教えてもらって良いですか?」

「は、はい?貨幣の価値ですか?ええと、賤貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨という風に100枚ずつ価値が上がっていきます。因みにそれぞれの硬貨には、10枚毎に区切った大硬貨というのが御座います。」

「成る程。」


よし、貨幣の価値について知ることができた。これで計算ができる。


「それで、銀貨3枚の方は………」

「あぁ、すみません。今は手持ちがないんです。」

「では、親御さんの方はどちらにいらっしゃいますか?」


あ〜……。どうしよう。正直に答えた方がいいよな。


「すみません。居ないんです。」

「そ、そうですか。住居は有りますか?」

「いえ特に有りません。」


悲しそうな顔をして此方を見てくる受付嬢。悲しむべき所は特に無い。少なくとも俺には。いやほんと、気づいたら森の中に居ただけなんです。


「少しお待ちください。」

受付嬢が席を立ち上がり、少し待っていると、カウンターの奥から筋肉質な壮年の男が歩いてきた。


「おう、親がいねえってのはお前か?坊主。」

「はい、そうです。」


その男は、カウンターの端の出入り口からから出て此方に歩いて来た。

「お前、名前は何て言うんだ?」

「オグロです。」

「そうか。俺の名前はジルバだ。オグロ、ちょっとこっちに来い。お前を良い場所に連れていってやる」

「はい?良い場所?」

「孤児院だ」



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