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五章

今週のは少し少なくなってしまいました。来週戦闘パートです。

稚拙な文章ですがお付き合いください。

「で、ただの自主練でどうして喧嘩が起きてんだ?」

今永斗の前には怒り狂った先輩が二人。

そして永斗の後ろには喧嘩腰の文美と、それをいさめようとする幸也。そしておどおどとしている椎名といった形である。

「しょうがないでしょ!あの先輩がいきなり喧嘩ふっ掛けてきたんだから!」

文美は頭に血が上りきってるのか、全く説明になっていない。

「と、文美は言ってるんだけど先輩の意見は?」

「私は、ただちょっとそこの子を指導してあげようとしただけだし!」

先輩が指差したのは椎名だ。

椎名はそれにビクッと反応する。

「あ…あの能力の練習してたらいきなり話しかけてきて……」

「はあ!?いきなりって何よ!私がせっかくアドバイスしてあげようとしてんのに!!」

「何言ってんのよ!能力発動中に集中乱すようなことするとか、邪魔以外の何物でもないじゃない!」

「あんたは関係ないでしょ。さっきからうっさいんだけど」

「うっさいってなによ!椎名は私の友達よ!馬鹿にされたら怒るに決まってるじゃない!!」

「馬鹿にされたって何だ?」

文美の言葉に永斗が反応する。いままで喧嘩の原因に、馬鹿にされたなどという言葉は出てこなかったからだ。

「この先輩が、椎名の力を弱いとかしょぼいとか、使えない能力だとか馬鹿にしたのよ!」

「先輩、それは本当か?」

「んなわけないでしょ。現状を的確に言ったら、ちょっと馬鹿にしたような言い回しになっちゃっただけよ!」

「よく言うわ。明らかにニヤニヤしながら子馬鹿にしてたじゃない!」

「は~!?被害妄想でかってなこと言わないでくれる!」

二人の口げんかは一向に収まる気配が無い。そこで、今度は先ほどからずっと黙って女の先輩の後ろにいる、もう一人の男の先輩に質問してみることにした。

「で、あんたはどう思ってるんだ?さっきから黙ってるけど、先に手出したのはあんただろ?」

永斗が能育科の生徒の喧嘩にまで口をはさんだのは、ここに理由がある。

最初はただの口げんかだったのだが、それは次第にヒートアップし、騒ぎは護衛科の自主練していた永斗たちの元まで聞こえてきていた。

何事かと騒ぎの方に目を向けると、文美が椎名をかばいながら女性の先輩と口げんかをしているではないか。口げんかには、椎名も少なからず参加しているように見えた。

それを見た永斗と幸也は様子を見に、能育科の元に向かった。

その間にも、喧嘩はヒートアップしていく一方だったが、突然先輩の方が振り返り、誰かを呼んだのだ。それが、この黙っている男の先輩である。

見た目がかなりチャライ先輩だが、実力はあるようで、永斗にはそれが動作の節々から分かった。

「どうでもいいし。オレはさやかがやれって言ったからやっただけだしよ。パートナーの支持に従うのはガーディアンとしては常識っしょ」

「そりゃ無いだろ。あんたが手出さなきゃこんな騒ぎにはならなかったんだ。パートナーならこんな無駄なこと止めるぐらいしろよ」

永斗は我関せずといったチャラ男先輩の言葉にイラッとした。

「てかさっきからお前はなんなの?いきなり人の喧嘩の間に入ってきたりして。お前こそ何様だよ」

「俺はそこの椎名のパートナーだよ。まだ正式にはなって無いけどな」

「ふ~ん、そこのしょぼい子のパートナーなんだ。ならあんたもかなりしょぼいってことね」

そこで文美と口論をしていた先輩(さやか)が割って入ってきた。その口調は文美が言った通り明らかに椎名と永斗を馬鹿にしていた。

その言葉を聞いた時点で、永斗にはどちらが原因か納得がいった。

「しょぼいってあんたは言うが、あんたはどうなんだ?」

「なに?あんた私たちのこと知らないの?よくそれで防衛学校にいられるわね」

永斗の言葉に先輩(さやか)は笑いだす。

「?…」

永斗はその意味が分からず思わず顔をしかめた。その答えを幸也が言う。

「永斗君。先輩たちは前に話してた三期生トップ成績の能育科のさやか先輩と護衛科の須郷先輩だよ」

それを聞いて、永斗は二人の顔になんとなく見覚えがあるのを思い出した。

「ああ、あのレベルの低い円舞やってたやつらか」

「はあ!?あんたなめてんの!?」

「てめぇ、調子こいてんじゃねぇぞ!」

永斗の言葉に先輩二人は一気に怒りを増した。

須郷が掴みかかってきたのを永斗は難なく受け流し、逆に突き飛ばす。

「うおっ!?」

思わぬ反撃を受けた須郷は、たたらを踏みながら数歩下がった。

永斗の後ろでは文美と幸也が「やっちゃった~」と言わんばかりに顔を抑えている。どうやら文美も少しは頭が冷えて来たらしい。

「何やってんのよ。あんなしょぼい子のパートナーなんだから、こいつもしょぼいに決まってるでしょうが。三期生トップってのがどれだけ凄いか教えてあげなよ」

「そんなことありません!」

そこに今までおどおどしていた椎名が大声を上げた。

「私はいくらしょぼいとかへぼいとか言われてもかまいません。だけど永斗君を馬鹿にするのは許せません!」

その声には断固とした意思が込められている。喧嘩を見守っていたギャラリーが、一瞬にして静まりかえる。文美や幸也も椎名を止めに入ることはできなかった。

「永斗君は誰よりも強いです!あなた達なんかに負けません!!」

その言葉には永斗もギョッとした。椎名が永斗の強さに憧れの様なものを持っているのは知っていたが、これだけ王勢の前で誰よりも強いなどと言われると、流石に焦る。

「ねえちょっと椎名。それは流石に言いすぎじゃ……」

「そんなことありません!」

文美のやんわりとした忠告も、今の椎名には無意味。むしろ火に油を注ぐ形となってしまった。

そしてその言葉を聞いた先輩(さやか)がにた~っと笑った。

「なら私のパートナーとあんたのパートナー、永斗とか言ったっけ、その二人で模擬戦してもらいましょうよ」

「そりゃいいな!ちょうど運動したいと思ってたんだ」

その意見にすかさず須郷も乗る。

二年生のギャラリーとしては「そんな無茶な」と言った感じだ。

二年生の授業を今日から受け始めた者と、三期生のトップでは明らかに結果は見えている。

しかし、二年生では三年生の先輩を止めることはできない。止めれるであろう三年生の他の先輩は、二年生との模擬戦を面白そうだと思い静観していた。

「あれだけパートナーに期待されてんだ。嫌だとは言えねえよなぁ!」

須郷は永斗に向かって言葉を吐く。

永斗はそれを無視して椎名に向かってしゃべりかけた。

「椎名。あとで説教だからな」

声は低く、かなりのドスが聞いていた。

「ふぇっ!?」

その声にビクッと反応した椎名は我に帰る。

そして永斗は須郷に向き直る。

「いいですよ先輩。模擬戦しましょう」

「いい度胸だ。その度胸に免じて指導的模擬戦をしてやるよ」

「先輩にその余裕があれば良いですけどね」

永斗はあえて須郷を挑発した。

「ガキが。土下座してもゆるさねぇ。地べた這い蹲らせてやる」

須郷は額に青筋を浮かべながら永斗をにらみつける。それを永斗は軽く受け流しながら、須郷をにらみ返した。

「じゃあ僕が審判を務めようか」

突然の声に一同がその声の方向に振り向くと、一人の男子生徒がいた。

「そうだな。新島たのむわ。てめぇも文句ねえよな?」

「ああ。ないぜ」

「じゃあ準備もあるだろうから、今から二十分後にここで。それまでの私闘は禁止だよ」

「わかってる」

「ああ。問題無い」

須郷の同級生で、同じように二年生たちを指導していた新島が審判に付き、模擬戦が行われることが決定した。



模擬戦はグラウンドの中央で行われることになった。

二人はすでに中央で武器を持ち、五メートルほど挟んでお互いに向かい合っている。

喧嘩を大多数の生徒が見ていたこともあり、かなり注目されてしまったようで、二人を囲むように大きな人垣が出来上がっている。

永斗の後ろには椎名、文美、幸也の三人がおり、声援を飛ばす。

須郷の後ろにはさやか先輩と他にも数名の先輩が見ていた。

先輩の視線は、永斗を試すように眺めるものや、目立つ二年生をうっとうしく思う視線が混じっている。

「じゃあ二人ともルールを確認するよ。

まず原則として、相手を殺すことは禁止。これは当たり前だね。次に、刃物の付いた武器だけど、お互いが了承してるみたいだから許可するよ。でもちゃんとトドメは寸止めにするように」

「おいおい、二年生にそんなこと出来るのか?」

須郷が眉をしかめて新島に問う。

その問いに新島は笑いながら答えた。

「須郷は二年生に寸止めが必要な状態に追い込まれるのかな?」

その目は楽しそうに笑っている。

「あるわけねえだろう!」

小さく舌打ちし、永斗をにらむ。

「そりゃそうだよね。なら問題なしだ。永斗君もそれでいいね?」

「ああ、問題無い」

「よし。じゃあ説明を続けるよ」

そう言って須郷に中断された説明を続ける。

「決着の方法は、相手が降参するか、僕が止めるか、相手の武器を弾き飛ばした場合だ。

最後の場合は完全に無防備になった時点で負けとする。まだ近くに武器があって対処ができるようだったり、隠して武器を持ってる場合は含まれない。

まあ武器を飛ばしても簡単に油断しないことだね

説明は以上だ。お互いに何か質問はある?」

「制限時間はあるか?」

聞いたのは永斗だ。

「そうだね、あんまり長引くようだと困るし、十分もあれば良いでしょ。十分たった時点でどっちが優勢かで勝負を決めようか。ちなみに決めるのはここにいる人全員だ。せっかく観客がいるんだから少しは参加してもらわないとね」

「わかった」

「そんなに時間かかんねぇよ。一分ありゃ十分だ」

うなずく永斗に、須郷が挑発を入れる。

それに観戦していた先輩たちが何人か笑う。

「永斗もなんか言ってやりなさいよ!せっかく先輩と真っ向から戦えるんだから!」

先輩たちの挑発に影響された文美が永斗に言う。それを聞いて、永斗はなぜお前が挑発されると呆れた。

だが、確かに真っ向から先輩を挑発出来る時は少ないと思い、文美の意見に賛成することにした。

「そうだな。じゃあ俺は最初一分を防御だけしてるかな」

永斗の発言に二年生三年生どちらもが騒然とした。

一分間何もしないと言うことは、先ほどの須郷の言葉を真っ向から否定する言葉だ。

そんなことを言えば、須郷が激怒するのは目に見えている。

「クソガキが……」

須郷は額に青筋を浮かべながら永斗をにらみつける。

ここで叫ばないのは開始と同時に、怒りを全て初撃に込めるつもりなのだと永斗は考えた。

「じゃあ互いに挑発も終わったところでそろそろ始めようか」

「いつでもいいぜ!」

須郷が大剣を両手で前に構えた。

「こっちもいい」

永斗は剣を両手で持ち、刃を右後ろに流すように横で構える。

「では―――――――始め!!!」


稚拙な文章のせいで永斗たちの学校の昇級制度が分かりにくくなっていると感じたので、ここで補足させていただきます。


護衛科では一年生、二年生と入った年から一般と同じように学年は上がっていきます。それは最大で五年生まで存在します。

三年生までに普通科高校で習う一般教科は終了し、四年生以降では大学の希望留年制度と同じような状態だとお考えください。


そしてそれとは別に一期生、二期生、三期生というものが存在します。

これはイフィムの討伐依頼を受けるための学生用の目安です。



入学すると同時に、全ての生徒は一期生とされ、二期生や三期生に上がるには基準をクリアする必要があります。


二期生の場合は一定のイフィム討伐実績と教師一名以上の推薦。


三期生に上がるには一般教科の課程修了と討伐実績、教師一名以上の推薦が必要になります。



そしてガーディアンとして正式に登録するには、三期生で防衛学校を卒業することが必要という形になっています。

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