プロローグ~旅立ち~
ガドネア歴 九九八年五月二日 晴れ
明日はいよいよ出発の日。
私達の住まうガドネア大陸では、一六歳になると親元を離れ、旅に出るという風習がある。通称、一六歳修行。もちろん体力その他いろんな理由で旅に出られない人もいるけれど、一人暮らしをしたり、どこかに住み込みで働きに出るなどして、親元を離れることが多いかな。また、将来の伴侶となる人を見つけることもあったりする…と言うか、大半がそういう目的な訳だけど…。そうやって、将来を決めるきっかけにするのが、この風習の根元にあるらしい。
それで殆どの人は、冒険者登録をする。冒険者は旅の道中気になったことや、受けた依頼の内容などをメモに残す。まあ、日記? 手記? みたいなものかな。なので、私もそれにあやかって、こうして新しいノートを用意し、書き残すことにした。これがその、記念すべき第一ページ。
とりあえず、私がこの旅で目標にしているのは、伝説の聖霊剣と呼ばれる四つの剣を探すこと。伝説って事だから、もしかしたら実在していないかもしれないし、無いならそれはそれで良いと思う。
それで、将来を決める、という部分。私が将来何になるのかは、実は既に決められている。これは両親と私と話し合って了承しているし、私自身もそうなりたいと強く想っているから、覆すことはないと思う。
ちなみに私の誕生日は六月。一月前に出立するのは、明日がこの島から本土へ向かう船の最終便だから。五月を過ぎると極南海からの流氷や強力な海洋魔獣が北上してくるため、春先の一〇月から一一月前半まで航路が閉鎖されてしまうのだ。
さて、今日は早めに寝よう。明日からのことが楽しみだから、果たして寝られるかな?




