『紅蓮の契約』特別編 「それぞれの夜、それぞれの誓い」
【シーン1:ヨンジュンの夜】
病院を離れた後。
静かな夜の闇の中で、ヨンジュンはひとり車窓を眺めていた。
**
(守りたかった。)
(必死で、命懸けで。)
(でも……それでも、怖かった。)
**
ヨンジュンは、
握った拳をそっと緩めた。
守るために選んだ道。
それでも、自分に本当に守りきれるのか、まだ自信はなかった。
**
(それでも……)
(それでも、もう一度信じたい。)
(俺は、生きて、彼女を守るんだ。)
**
かつて復讐のためだけに握り締めた拳。
今は、誰かを包み込むために使いたい。
ヨンジュンは、
静かに目を閉じた。
そして、心の奥で誓った。
**
(次こそ――絶対に、後悔しない。)
⸻
【シーン2:セリナの夜】
別の車で移動していたセリナは、
窓の外に流れる街の灯りを見つめていた。
震える指先を、そっと握りしめながら。
**
(ヨンジュンさん……)
(あなたは、私を守ろうとしてくれた。)
(今度は、私が――)
**
セリナは、そっと胸に手を当てた。
か細くてもいい。
弱くてもいい。
今度は、自分が”守る側”になりたいと思った。
**
(彼の痛みも、孤独も――)
(私が、全部、受け止める。)
**
涙で滲んだ視界の中、
夜空に瞬く一番星を見つめながら、
セリナはそっと微笑んだ。
**
(どんな運命でも、一緒に乗り越える。)
⸻
【シーン3:ジュンソクの夜】
人気のないビルの屋上で、ジュンソクはひとり、
ソウルの夜景を見下ろしていた。
手には、ボロボロになった兄弟の写真。
**
(俺は……。)
(お前に、あんなことばかりしてきたくせに。)
(それでも、最後に選んだのは――)
**
ジュンソクは、ぐっと目を閉じた。
弟を守る。
かつての罪を、少しでも償うために。
**
(俺の命なんか、
お前たちの未来のためなら惜しくない。)
**
風が吹き抜ける中、
ジュンソクは、かすかに笑った。
**
(次は……絶対に、失わない。)
(家族を。)
⸻
【エピローグ:三つの誓い】
ソウルの空に、
新たな夜が静かに広がっていく。
それぞれが、
それぞれの場所で、
それぞれの誓いを胸に抱いた夜だった。
バラバラだった心が、
今、確かにひとつに結びつこうとしていた。
未来のために――
守るために。
⸻
【特別編 完】




