第21話「走るダンプ、叫ぶ名」【前編】
【シーン:ソウル・夕暮れ】
赤く染まった街並み。
ビル群の間を、冷たい風が吹き抜ける。
ヨンジュンとセリナは、
小さなカフェで静かにコーヒーを飲んでいた。
互いの存在を、ただ隣に感じながら。
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【シーン:穏やかな時間】
二人の間に、
ようやく訪れた小さな平穏。
セリナは、そっと笑った。
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「こうしてるだけで、
夢みたいだね。」
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ヨンジュンも、かすかに微笑んだ。
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「……これが、普通の幸せってやつか。」
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互いに目を合わせ、
小さな、でも確かな喜びを噛みしめる。
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【シーン:不穏な気配】
だが。
その平穏は、
音もなく破られる。
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カフェの外――
一台の黒いバンが、
不自然なスピードで交差点に現れた。
かつて、あの日――
ヨンジュンの父を奪った、あの悪夢のように。
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【シーン:走るダンプ】
さらにその背後から、
猛スピードで突っ込んでくる大型ダンプカー。
運転席には誰もいない。
完全な”事故”ではない。
明らかに仕組まれた、“殺意”。
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【シーン:ヨンジュンの本能】
瞬間、ヨンジュンの身体が反応した。
セリナを、無意識に庇いながら立ち上がる。
外へ――
あのダンプが向かってきている。
誰も気づいていない。
だが、彼だけは、
はっきりと見ていた。
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【シーン:胸に蘇る記憶】
脳裏をよぎる、あの夜。
父の叫び。
砕けるガラス。
止まった時間。
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(同じことは――絶対に繰り返さない!)
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ヨンジュンは、
セリナの手を強く掴んだ。
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「走れ!!」
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叫びと共に、
彼女を引き寄せ、走り出す。
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(続く・中編へ)




