第18話「親愛なる裏切り者へ」【中編】
【シーン:廃工場・静寂】
崩れかけたコンクリートの壁。
割れたガラス。
誰もいない空間に、
ヨンジュンとドフンの息遣いだけが響いていた。
沈黙の中で、
二人の過去が重くよみがえる。
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【シーン:友情の日々】
かつて。
孤児院の片隅で、
肩を並べて空を見上げたあの日。
誰にも頼れず、
互いだけが”家族”だった。
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「お前がいるから、
俺は一人じゃない。」
「ドフン、お前がいたから、
俺は生きてこれた。」
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ヨンジュンは、
拳をゆっくりと解いた。
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【シーン:ドフンの絶望】
ドフンは、
顔を伏せたまま言った。
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「……俺は、取り返しのつかないことをした。」
「お前を……」
「裏切った。」
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声は、かすれ、
涙で途切れた。
だが、それでも。
ドフンは、絞り出すように続けた。
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「許されるなんて、思ってない。」
「ただ――」
「一発、殴ってくれ。」
「それで、全部終わりにしてくれ。」
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【シーン:ヨンジュンの選択】
ヨンジュンは、
ゆっくりとドフンの前に立った。
拳を握りしめたまま、
じっと彼を見下ろす。
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ドフンの肩が、微かに震える。
次の瞬間――
ヨンジュンは、
その拳を、ドフンの胸に打ち付けた。
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ドフンは、
地面に崩れ落ちた。
だが、
そこに憎しみはなかった。
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【シーン:赦し】
ヨンジュンは、
かすかに声を震わせながら言った。
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「……これで、終わりだ。」
「お前を、許す。」
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「だが――」
「許すのは俺だ。」
「お前自身が、自分を許すかどうかは、
これからの生き方で決めろ。」
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ドフンは、
その場に倒れたまま、
静かに泣いた。
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【シーン:壊れた絆、しかし残った絆】
友情は、壊れた。
だが、
完全に消えたわけじゃなかった。
痛みの中で、
かすかに残った”信頼”のかけら。
それが、二人をかろうじて繋ぎ止めていた。
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(続く・後編へ)




