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紅蓮の契約  作者: ZEN
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第18話「親愛なる裏切り者へ」【中編】

【シーン:廃工場・静寂】


崩れかけたコンクリートの壁。

割れたガラス。

誰もいない空間に、

ヨンジュンとドフンの息遣いだけが響いていた。


沈黙の中で、

二人の過去が重くよみがえる。


**


【シーン:友情の日々】


かつて。


孤児院の片隅で、

肩を並べて空を見上げたあの日。


誰にも頼れず、

互いだけが”家族”だった。


**


「お前がいるから、

 俺は一人じゃない。」


「ドフン、お前がいたから、

 俺は生きてこれた。」


**


ヨンジュンは、

拳をゆっくりと解いた。


**


【シーン:ドフンの絶望】


ドフンは、

顔を伏せたまま言った。


**


「……俺は、取り返しのつかないことをした。」


「お前を……」


「裏切った。」


**


声は、かすれ、

涙で途切れた。


だが、それでも。


ドフンは、絞り出すように続けた。


**


「許されるなんて、思ってない。」


「ただ――」


「一発、殴ってくれ。」


「それで、全部終わりにしてくれ。」


**


【シーン:ヨンジュンの選択】


ヨンジュンは、

ゆっくりとドフンの前に立った。


拳を握りしめたまま、

じっと彼を見下ろす。


**


ドフンの肩が、微かに震える。


次の瞬間――


ヨンジュンは、

その拳を、ドフンの胸に打ち付けた。


**


ドフンは、

地面に崩れ落ちた。


だが、

そこに憎しみはなかった。


**


【シーン:赦し】


ヨンジュンは、

かすかに声を震わせながら言った。


**


「……これで、終わりだ。」


「お前を、許す。」


**


「だが――」


「許すのは俺だ。」


「お前自身が、自分を許すかどうかは、

 これからの生き方で決めろ。」


**


ドフンは、

その場に倒れたまま、

静かに泣いた。


**


【シーン:壊れた絆、しかし残った絆】


友情は、壊れた。


だが、

完全に消えたわけじゃなかった。


痛みの中で、

かすかに残った”信頼”のかけら。


それが、二人をかろうじて繋ぎ止めていた。



(続く・後編へ)

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