第12話「消された過去」【前編】
【シーン:森の中・夜明け前】
セリナは、
濡れた森の中を必死に走っていた。
ドフンに助けられ、
かろうじてその場から逃げ出したものの、
行くあてもない。
ただ、ヨンジュンのもとへ帰るために――
それだけを胸に走り続けていた。
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(生きろ。)
(生きるんだ、セリナ。)
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ヨンジュンの言葉が、
心の奥深くで繰り返される。
それだけが、彼女を支えていた。
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【シーン:ヨンジュンの追跡】
一方、
ヨンジュンはバンを捨て、
単身で森の中へ走っていた。
セリナを取り戻すため。
たとえ罠でも、
たとえ全てを失っても。
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(もう、誰も……)
(俺の大切なものを、奪わせない。)
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【シーン:封印された過去】
そのころ。
遠く離れたハン家本邸では、
ギョンシクが一枚の古びた資料を広げていた。
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そこに記されていたのは――
ジン・ヨンジュンの本当の出自。
そして、
ハン・セリナに隠されていた、
忌まわしい真実。
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(これを明るみに出せば、
二人は二度と手を取り合えない。)
ギョンシクは、にやりと笑った。
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【シーン:ジュンソクの動き】
さらに、
ジュンソクもまた、動き始めていた。
彼の手には、
【秘密のUSBメモリ】が握られている。
そこには――
セリナの”出生の秘密”が、
克明に記録されていた。
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「さあ、見せてやろう。」
「お前たちが、
本当に許されない存在だってことを。」
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【シーン:セリナの記憶の断片】
森の中を走るセリナの脳裏に、
不意にフラッシュバックする映像。
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暗い部屋。
誰かの泣き声。
赤ん坊の、かすかな産声。
――そして、
鋭い怒声。
『この子は、必要ない。』
『始末しろ。』
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セリナは足を止め、
その場に崩れ落ちた。
息ができない。
(何……?)
(今のは――何?)
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彼女自身が知らなかった、
“自分の生まれた瞬間”の記憶。
それが、
じわじわと目を覚まし始めていた。
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(続く・中編へ)




