第11話「裏切りの予感」【後編】
【シーン:市街地・カーチェイス】
バンは、
幹線道路を外れ、さらに細い裏路地へ滑り込んだ。
黒塗りの追跡車は、なおも距離を詰めてくる。
逃げ場は、もうない。
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ヨンジュンは、一瞬、セリナを見た。
怯える彼女。
それでも、信じようとする、必死な瞳。
(もう――迷わない。)
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ヨンジュンはハンドルを切り、
バンを急停止させた。
タイヤが悲鳴を上げ、
煙が舞う。
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【シーン:ヨンジュンの決断】
「ここで別れる。」
静かに、でも絶対的な声で言った。
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「は……?」
セリナは、絶句する。
ヨンジュンは、
彼女の肩をぎゅっと掴み、
目をまっすぐに見つめた。
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「奴らの標的は俺だ。」
「俺が囮になる。」
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「お前は、この先のバス停まで走れ。」
「そこに、ドフンが待ってる。」
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セリナは、首を振った。
「いや……いや……一緒に……!」
必死にすがる声。
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だがヨンジュンは、
苦しそうに笑った。
「お前は生きろ、セリナ。」
「俺のためじゃない。
お前自身のために。」
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【シーン:強制的な別れ】
ヨンジュンは、
セリナを強引に車外へ押し出した。
ドアが閉まる。
バンは、再び猛スピードで走り出す。
セリナの涙で滲む視界の中、
バンが小さくなっていく。
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【シーン:ドフンとの再会】
必死でバス停へ走ったセリナを、
待っていたのは――
パク・ドフンだった。
ドフンは、小さな声で言った。
「……遅かったな。」
その手には、銃。
セリナの心臓が、凍りついた。
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【シーン:裏切り】
ドフンは、
無表情でセリナに銃口を向けた。
「ごめん、セリナ嬢。」
「これが……俺に与えられた任務だ。」
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全ては、
最初から仕組まれていた。
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ヨンジュンの囮作戦すら、
ハン家の掌の上だった。
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【シーン:ヨンジュンの異変】
そのころ。
走り続けるバンの中で、
ヨンジュンも異変に気づいていた。
(おかしい……)
(追っ手が、来ない。)
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その瞬間、背筋を冷たいものが走る。
――これは、罠だ。
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「セリナ!!」
ヨンジュンは、絶叫した。
だが、その声は、
彼女には届かない。
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【シーン:闇に沈む】
銃口を向けられたまま、
セリナは、目を閉じた。
(ヨンジュン……)
(私……信じてるから。)
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小さく、かすかに、
微笑んで。
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【第11話 完】
ここから物語は、さらに加速する。
セリナは、絶体絶命の危機。
ヨンジュンは、すべてを理解したうえで、
彼女を救いに動き出す。
次回、第12話「消された過去」で、
いよいよ”隠された真実”が暴かれ、
過去の罪が二人に牙を剥く。




