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紅蓮の契約  作者: ZEN
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第11話「裏切りの予感」【中編】

【シーン:逃走】


ヨンジュンとセリナは、

廃倉庫を後にして、再び夜明け前の街を駆けた。


古びたバンに乗り込む。


エンジン音だけが、

冷たい空気を切り裂く。


**


セリナは助手席で、

不安そうに周囲を見渡していた。


「……どこに行くの?」


ヨンジュンは前を見据えたまま答える。


「安全な場所へ。」


だが、自分自身、

“安全な場所”がどこにあるかなど分かっていなかった。


**


【シーン:心の葛藤】


運転しながら、

ヨンジュンの胸は激しく軋んでいた。


(ドフンを信じるべきか。)


(それとも、また裏切られるのか。)


彼は一度、

ドフンの裏切りで地獄を見た。


あの痛みを、

二度と味わうわけにはいかない。


――特に、今は。

隣に、守るべき彼女がいる。


**


【シーン:追跡者】


その時。


バックミラーに、

黒塗りの車が映った。


ぴたりと、バンの後をつけてくる。


加速すれば、加速する。


減速すれば、減速する。


**


ヨンジュンは、

ハンドルを強く握り締めた。


(バレた――!)


**


「セリナ、伏せろ!」


叫びながら、ヨンジュンは急ハンドルを切った。


バンが横滑りしながら、細い路地に飛び込む。


後ろの車も猛スピードで追いかけてくる。


**


【シーン:銃撃】


パン――!


乾いた銃声。


バンのリアウィンドウが砕けた。


セリナは叫び声を上げながら、必死にヨンジュンにしがみつく。


**


ヨンジュンは冷静に、

裏道から裏道へと走り続けた。


(このままじゃ、追いつかれる。)


(どこかで、切り離すしかない。)


**


【シーン:決断】


そして――

ヨンジュンは、ある”賭け”に出た。


一瞬だけ、目を閉じて、

心を決める。


**


「セリナ……

 信じてくれ。」


セリナは、怯えながらも、

強く頷いた。


どこまでも、

ヨンジュンを信じると決めたから。


**


だがこの時、

セリナはまだ知らなかった。


ヨンジュンが、

“ある重大な決断”をすでに下していることを。



(続く・後編へ)

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