第11話「裏切りの予感」【中編】
【シーン:逃走】
ヨンジュンとセリナは、
廃倉庫を後にして、再び夜明け前の街を駆けた。
古びたバンに乗り込む。
エンジン音だけが、
冷たい空気を切り裂く。
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セリナは助手席で、
不安そうに周囲を見渡していた。
「……どこに行くの?」
ヨンジュンは前を見据えたまま答える。
「安全な場所へ。」
だが、自分自身、
“安全な場所”がどこにあるかなど分かっていなかった。
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【シーン:心の葛藤】
運転しながら、
ヨンジュンの胸は激しく軋んでいた。
(ドフンを信じるべきか。)
(それとも、また裏切られるのか。)
彼は一度、
ドフンの裏切りで地獄を見た。
あの痛みを、
二度と味わうわけにはいかない。
――特に、今は。
隣に、守るべき彼女がいる。
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【シーン:追跡者】
その時。
バックミラーに、
黒塗りの車が映った。
ぴたりと、バンの後をつけてくる。
加速すれば、加速する。
減速すれば、減速する。
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ヨンジュンは、
ハンドルを強く握り締めた。
(バレた――!)
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「セリナ、伏せろ!」
叫びながら、ヨンジュンは急ハンドルを切った。
バンが横滑りしながら、細い路地に飛び込む。
後ろの車も猛スピードで追いかけてくる。
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【シーン:銃撃】
パン――!
乾いた銃声。
バンのリアウィンドウが砕けた。
セリナは叫び声を上げながら、必死にヨンジュンにしがみつく。
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ヨンジュンは冷静に、
裏道から裏道へと走り続けた。
(このままじゃ、追いつかれる。)
(どこかで、切り離すしかない。)
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【シーン:決断】
そして――
ヨンジュンは、ある”賭け”に出た。
一瞬だけ、目を閉じて、
心を決める。
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「セリナ……
信じてくれ。」
セリナは、怯えながらも、
強く頷いた。
どこまでも、
ヨンジュンを信じると決めたから。
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だがこの時、
セリナはまだ知らなかった。
ヨンジュンが、
“ある重大な決断”をすでに下していることを。
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(続く・後編へ)




