第10話「背徳のキス」【後編】
【シーン:廃倉庫・静寂のあと】
唇を離したあと。
ヨンジュンとセリナは、
互いに何も言わず、ただ見つめ合っていた。
重なった温もり。
響き合う鼓動。
それだけが、
今、二人を繋いでいた。
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【シーン:セリナの涙】
セリナの瞳から、
またひとすじ、涙が流れた。
「……怖かった。」
ぽつりと、零れる言葉。
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「誰も信じられなくて、
何も思い出せなくて……
それでも、あなたの声だけは、忘れなかった。」
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ヨンジュンは、
胸が締め付けられるような痛みを感じた。
(俺は……)
(君に、何をしてきた?)
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【シーン:ヨンジュンの告白未遂】
ヨンジュンは、
言いかけた。
――本当は、最初から君を利用するつもりだったんだ。
――でも、今は違う。
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だが、
言葉にはできなかった。
今、これを告げたら、
彼女の小さな希望を
すべて壊してしまう気がしたから。
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だから、
ヨンジュンはただ、静かにセリナを抱きしめた。
何も、言わずに。
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【シーン:ジュンソクの狂気】
そのころ、廃倉庫の外。
ジュンソクは、
不気味な笑みを浮かべながら、
手にある【古びたUSBメモリ】を弄んでいた。
そこには――
セリナとハン家に関する、
決定的な秘密が記録されていた。
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「さて……」
「君たちの”愛”、
僕が全部、
引き裂いてあげる。」
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闇の中。
ジュンソクはゆっくりと消えていった。
破滅の鐘の音を、静かに鳴らしながら。
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【シーン:新たな夜明け】
夜が明ける。
東の空が、
少しだけ、白み始めていた。
ヨンジュンとセリナは、
互いに寄り添ったまま、
静かに新しい朝を迎えた。
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だけど――
まだ、
本当の試練は、これからだった。
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【第10話 完】




