第10話「背徳のキス」【中編】
【シーン:廃倉庫・焚き火のそば】
触れた唇。
わずかな温もり。
セリナは、
ヨンジュンの手のひらをそっと掴んだ。
震える指先。
けれど、その震えは、
恐怖ではなかった。
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(――あたたかい。)
(この人だけが、
今の私の、すべて。)
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ヨンジュンもまた、
セリナを抱き寄せた。
ぎこちなく、
でも確かに、
決して離れないように。
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【シーン:許されない感情】
だが、ヨンジュンの胸には、
どうしようもない罪悪感が渦巻いていた。
(俺は……)
(君に近づいたのは、復讐のためだった。)
(それなのに――)
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セリナの涙に濡れた頬を、
そっと指でなぞる。
彼女の小さな体温が、
ヨンジュンの冷えきった心を、
じわじわと溶かしていく。
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【シーン:交わされる誓い】
セリナは、小さな声で言った。
「もう、どこにも行かないで。」
震えながら、
必死に、すがるように。
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ヨンジュンは、
その言葉に胸が締めつけられた。
けれど、彼は応えた。
「――絶対に、離さない。」
たとえ、
この先に地獄しかなかったとしても。
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【シーン:遠くからの監視】
だが――
廃倉庫の外。
闇の中に潜む黒い影。
ジュンソク。
狂気に染まった彼の目が、
二人のすべてを見ていた。
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「ふふ……」
ジュンソクは、かすかに笑った。
「ようやく、君も”僕と同じ”になったな、ヨンジュン。」
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愛と狂気。
守ることと壊すこと。
その境界線は、
すでに溶け合い始めていた。
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(続く・後編へ)




