第9話「秘密の肖像」【後編】
【シーン:逃走中のバイク】
風を切る音。
唸るエンジン。
ヨンジュンは、セリナを抱きかかえるようにして、
夜のハイウェイを走り抜けていた。
後ろからは、追撃する黒塗りの車。
銃弾が、闇を裂く。
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【シーン:ヨンジュンの覚悟】
ハンドルを操りながら、
ヨンジュンは必死に考えた。
(このままじゃ、いずれ追いつかれる。)
(どこかで振り切るしかない。)
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「セリナ!」
振り返らずに叫ぶ。
「しっかり俺に掴まってろ!」
セリナは、必死に彼の背にしがみついた。
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【シーン:決死の賭け】
ヨンジュンは、高架下に続く細い脇道にハンドルを切った。
急カーブ。
後ろの車は速度を落とせず、コントロールを失う。
衝突音。
火花。
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追っ手を撒いた瞬間、
ヨンジュンはバイクを一気に加速させた。
もう、誰にも邪魔はさせない。
たとえ、
この命が燃え尽きるとしても。
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【シーン:安全地帯】
森の奥。
小さな廃倉庫に、バイクを滑り込ませる。
エンジンが止まると、
一気に静寂が訪れた。
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セリナは、震えながらヨンジュンを見つめた。
「……あなた、どうして……こんなに……」
ヨンジュンは答えなかった。
ただ、そっと、彼女の髪を撫でた。
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【シーン:セリナの涙】
セリナは、堪えきれずに泣き出した。
声を上げることもできず、
ただ静かに、涙を流し続けた。
ヨンジュンは、そんな彼女をそっと抱き寄せた。
言葉なんて、
今は何もいらなかった。
ただ――生きて、
ここに、二人でいる。
それだけで、奇跡だった。
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【シーン:次なる兆し】
だが。
闇の中。
ジュンソクは、
遠くから二人を見下ろしていた。
笑っていた。
「……逃げても無駄だよ、ヨンジュン。」
「僕と君は、同じ血を引いているんだから。」
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夜は、さらに深まる。
けれど二人の逃避行は、
まだ、終わらない。
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【第9話 完】
セリナとヨンジュン、
互いを守りながら、ボロボロになりながらも、
“二人きり”の絆を確かめ合った。
そしてジュンソク――
影のように、着実に、二人に迫っている。




