第9話「秘密の肖像」【中編】
【シーン:モーテル・夜】
暗い部屋の中。
セリナは、まだ小さな手で肖像画を抱えていた。
その目には、
こらえきれない涙が溢れていた。
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(私は……誰なの?)
(ずっと、誰かの人形だったの?)
知らなかった過去。
奪われた未来。
すべてが、心に深い穴を穿っていく。
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【シーン:ヨンジュンの覚悟】
ヨンジュンは、窓の外を警戒しながら、
静かに拳を握り締めた。
(時間がない。)
(ここを見つかったら、もう逃げ場はない。)
だが、それでも。
セリナをひとりにはできない。
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「セリナ。」
呼びかけると、
セリナは、涙に濡れた瞳で彼を見た。
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ヨンジュンは、そっと膝をつき、
彼女と同じ目線に合わせた。
そして――
「君が誰であろうと、
俺にとっては、君だ。」
それだけを、
ありったけの真実で伝えた。
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【シーン:突入】
その瞬間だった。
モーテルの扉が、
激しい音とともに破られた。
黒服たち。
銃を手にした追っ手たち。
――ハン家の手先。
そしてその中には、
ギョンシクが手配した刺客だけでなく、
ジュンソクの影も、混じっていた。
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「セリナ嬢、こちらへ。」
誰かが冷たく命令する。
セリナは恐怖に震えた。
ヨンジュンはすぐに、
セリナを背後に庇った。
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(絶対に、渡さない。)
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【シーン:銃撃戦】
銃声。
閃光。
ヨンジュンは、身を挺してセリナを守りながら、
隙を突いて非常口へと駆け出した。
後ろから飛んでくる弾丸。
肩をかすめる痛み。
だが、止まらない。
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(俺は、生きて君を守るって、決めたんだ。)
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【シーン:脱出】
非常階段を駆け下りる。
錆びた鉄のきしみ音。
追っ手たちの怒声が、すぐそこまで迫っている。
だが、ヨンジュンは絶対にセリナの手を離さなかった。
たとえ、この命に代えても。
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【シーン:逃走】
裏通りに停めてあったバイクに飛び乗り、
セリナを抱きかかえるようにして乗せる。
エンジンが咆哮を上げ、
夜の闇へと飛び込んだ。
背後には、追跡車両。
銃声。
怒号。
だが、前を見る。
ただ――前だけを見る。
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たとえ、何があろうと。
必ず、
セリナを未来へ連れて行く。
⸻
(続く・後編へ)




