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紅蓮の契約  作者: ZEN
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第8話「哀しみの誕生日」【中編】

【シーン:パーティー会場・開宴】


きらびやかなシャンデリアの下、

上流階級の面々が次々と集まる。


祝福の言葉。

偽りの笑顔。

甘い毒のようなシャンパンの香り。


セリナは、孤独な花のように、

ただ静かに立っていた。


**


ハン・ギョンシクが壇上に上がる。


誇らしげな顔で宣言した。


「本日をもって、

 ハン・セリナ嬢が、ハンギョングループ次期後継者となることを、ここに発表します!」


拍手喝采。


だが、

セリナの胸には、何一つ、実感も歓喜もなかった。


**


(私は……)


(私は……誰のために生きているの?)


**


【シーン:ヨンジュンの暴走】


そのときだった。


壇上近く。

ヨンジュンは、

隠し持っていた【秘密保持契約書】のコピーを手に立ち上がった。


**


ギョンシクが鋭く目を光らせる。


ヨンジュンは、迷わなかった。


マイクに向かって、低く言った。


「ハン・セリナ嬢は、

 自らの意思でこの地位を望んだわけではありません。」


「すべては、ハン家の“操作”と“策略”によるものです。」


**


騒然とする会場。


ギョンシクが即座に指示を飛ばす。


「止めろッ!!」


黒服たちがヨンジュンに向かって動く。


**


だが。


ヨンジュンは一瞬の隙を突き、

壇上へと駆け上がった。


そして、

戸惑うセリナの手を、

強く、強く、握った。


**


「ここから逃げるぞ。」


そう囁いたその声は、

あの日、

彼女の無意識が覚えていた、あたたかな声と、同じだった。


**


【シーン:セリナの選択】


騒然とする中、

セリナは震えながら、ヨンジュンの手を見つめた。


怖かった。


でも、それ以上に――


彼だけは、

信じたかった。


**


小さく、でも確かに頷くセリナ。


二人は、会場を飛び出した。


追いすがる黒服たち。

怒号。

閃光。


**


誕生日。


祝福のはずだったその日は――


セリナにとって、

「すべてを失う日」になった。



(続く・後編へ)

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