第8話「哀しみの誕生日」【中編】
【シーン:パーティー会場・開宴】
きらびやかなシャンデリアの下、
上流階級の面々が次々と集まる。
祝福の言葉。
偽りの笑顔。
甘い毒のようなシャンパンの香り。
セリナは、孤独な花のように、
ただ静かに立っていた。
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ハン・ギョンシクが壇上に上がる。
誇らしげな顔で宣言した。
「本日をもって、
ハン・セリナ嬢が、ハンギョングループ次期後継者となることを、ここに発表します!」
拍手喝采。
だが、
セリナの胸には、何一つ、実感も歓喜もなかった。
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(私は……)
(私は……誰のために生きているの?)
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【シーン:ヨンジュンの暴走】
そのときだった。
壇上近く。
ヨンジュンは、
隠し持っていた【秘密保持契約書】のコピーを手に立ち上がった。
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ギョンシクが鋭く目を光らせる。
ヨンジュンは、迷わなかった。
マイクに向かって、低く言った。
「ハン・セリナ嬢は、
自らの意思でこの地位を望んだわけではありません。」
「すべては、ハン家の“操作”と“策略”によるものです。」
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騒然とする会場。
ギョンシクが即座に指示を飛ばす。
「止めろッ!!」
黒服たちがヨンジュンに向かって動く。
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だが。
ヨンジュンは一瞬の隙を突き、
壇上へと駆け上がった。
そして、
戸惑うセリナの手を、
強く、強く、握った。
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「ここから逃げるぞ。」
そう囁いたその声は、
あの日、
彼女の無意識が覚えていた、あたたかな声と、同じだった。
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【シーン:セリナの選択】
騒然とする中、
セリナは震えながら、ヨンジュンの手を見つめた。
怖かった。
でも、それ以上に――
彼だけは、
信じたかった。
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小さく、でも確かに頷くセリナ。
二人は、会場を飛び出した。
追いすがる黒服たち。
怒号。
閃光。
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誕生日。
祝福のはずだったその日は――
セリナにとって、
「すべてを失う日」になった。
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(続く・後編へ)




