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紅蓮の契約  作者: ZEN
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第8話「哀しみの誕生日」【前編】

【シーン:迎賓館・朝】


薄い雲に覆われた空。


重く、湿った空気の中、

セリナは一人、ベッドの上で目を覚ました。


カレンダーの小さな数字に、丸い印がついている。


今日――

彼女の、誕生日。


けれど、それは何の喜びも運んでこなかった。


**


(こんなにも……空しいんだ。)


誰からも祝福されることなく、

誰からも心から抱きしめられることなく。


自分は、ただここに存在しているだけ。


**


【シーン:ヨンジュンの葛藤】


別室。


ヨンジュンは、

セリナのために密かに準備した小さなプレゼントを見つめていた。


白いリボンがかかった、小さな箱。


中には――

小さな、シルバーのペンダント。


「守りたい」という願いだけを込めた、

ただ、それだけの贈り物。


**


だが、

ヨンジュンの手は震えていた。


(こんなもの、渡していい資格が俺にあるのか。)


(俺は、彼女に嘘をついている。

 彼女を裏切っている。)


心の叫びが、耳鳴りのように響く。


**


【シーン:偽りのパーティー】


昼過ぎ。


ハン・ギョンシクが主催する「バースデーパーティー」が、

迎賓館の大ホールで開かれることになった。


表向きは、

セリナの回復を祝うため。


だが、ヨンジュンは知っている。


これは、

セリナを「財閥の後継者」として”公に宣言する”ための儀式。


彼女の意思も、未来も、無視して。


**


セリナは知らずに、

ドレスに着替えさせられていた。


鏡の中の自分を見つめながら、

小さく呟く。


「……私、これからどこへ行くんだろう。」


**


【シーン:ヨンジュンの決意】


控え室のドアの前で立ち尽くすヨンジュン。


彼の手には、

まだ渡せていない、小さな箱。


(今日、すべてを壊す。)


それが、

ジン・ヨンジュンの覚悟だった。


**


扉の向こうで、

セリナはひとり、震えていた。


**


運命は、確実に。

二人を引き裂こうとしていた。



(続く・中編へ)

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