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紅蓮の契約  作者: ZEN
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第7話「冷たい契約」【中編】

【シーン:迎賓館・再び】


早朝。


ヨンジュンとセリナは、再び迎賓館へと戻った。


表向きは「療養続行」という名目。


だが、その裏では、

すべてがギョンシクたちの掌の上で動いていた。


**


セリナは、まだ何も知らない。


微笑みながら、ヨンジュンに小さな声で言った。


「……ありがとう。

 あなたがいてくれて、本当に良かった。」


その純粋な瞳。


その無防備な笑顔。


ヨンジュンは、胸が引き裂かれそうだった。


**


【シーン:契約の打ち合わせ】


迎賓館の会議室。


ヨンジュンは、ギョンシクと向かい合っていた。


机の上には、新たな【雇用契約書】。


名目は「ハン・セリナ個人秘書兼教育監督」。


だが実態は、

セリナを財閥に従属させるための“監視者”の役割だった。


**


ギョンシクは冷たく笑った。


「サインしろ。

 これで、君は正式に“セリナ嬢の管理者”だ。」


ヨンジュンは無言でペンを取った。


サイン欄が滲んで見える。


(守るために、壊す。)


それが、今の彼にできる、唯一の選択だった。


**


インクが乾ききらないサイン。

契約は、成立した。


**


【シーン:セリナの気づき】


廊下の陰から、

セリナはふと、ヨンジュンとギョンシクの会話を見ていた。


直感で、感じ取ってしまう。


(……何か、おかしい。)


信じたい。

信じていたい。


でも、

胸の奥に小さな不安が芽生えてしまった。


**


【シーン:ヨンジュンの心の叫び】


契約書を手に、

ヨンジュンは独りきりの廊下を歩いた。


手が震える。


(違うんだ。セリナ。)


(俺は……君を裏切るためにサインしたんじゃない。)


(君を守るために、俺自身を捨てたんだ。)


**


それでも、

言葉にはできなかった。


この想いを、

絶対に、

彼女に知られちゃいけないと思ったから。


**


廊下の先。

セリナが、そっとこちらを見ていた。


二人の視線が、一瞬交差する。


けれど、ヨンジュンは

何も言わずに、背を向けた。


**


(すれ違うしか、ない。)


――愛するために、

――守るために、

彼は彼女を、裏切るしかなかった。



(続く・後編へ)

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