第7話「冷たい契約」【中編】
【シーン:迎賓館・再び】
早朝。
ヨンジュンとセリナは、再び迎賓館へと戻った。
表向きは「療養続行」という名目。
だが、その裏では、
すべてがギョンシクたちの掌の上で動いていた。
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セリナは、まだ何も知らない。
微笑みながら、ヨンジュンに小さな声で言った。
「……ありがとう。
あなたがいてくれて、本当に良かった。」
その純粋な瞳。
その無防備な笑顔。
ヨンジュンは、胸が引き裂かれそうだった。
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【シーン:契約の打ち合わせ】
迎賓館の会議室。
ヨンジュンは、ギョンシクと向かい合っていた。
机の上には、新たな【雇用契約書】。
名目は「ハン・セリナ個人秘書兼教育監督」。
だが実態は、
セリナを財閥に従属させるための“監視者”の役割だった。
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ギョンシクは冷たく笑った。
「サインしろ。
これで、君は正式に“セリナ嬢の管理者”だ。」
ヨンジュンは無言でペンを取った。
サイン欄が滲んで見える。
(守るために、壊す。)
それが、今の彼にできる、唯一の選択だった。
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インクが乾ききらないサイン。
契約は、成立した。
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【シーン:セリナの気づき】
廊下の陰から、
セリナはふと、ヨンジュンとギョンシクの会話を見ていた。
直感で、感じ取ってしまう。
(……何か、おかしい。)
信じたい。
信じていたい。
でも、
胸の奥に小さな不安が芽生えてしまった。
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【シーン:ヨンジュンの心の叫び】
契約書を手に、
ヨンジュンは独りきりの廊下を歩いた。
手が震える。
(違うんだ。セリナ。)
(俺は……君を裏切るためにサインしたんじゃない。)
(君を守るために、俺自身を捨てたんだ。)
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それでも、
言葉にはできなかった。
この想いを、
絶対に、
彼女に知られちゃいけないと思ったから。
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廊下の先。
セリナが、そっとこちらを見ていた。
二人の視線が、一瞬交差する。
けれど、ヨンジュンは
何も言わずに、背を向けた。
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(すれ違うしか、ない。)
――愛するために、
――守るために、
彼は彼女を、裏切るしかなかった。
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(続く・後編へ)




