第6話「告げられた真実」【中編】
【シーン:黒い車・車内】
エンジンの低い唸りだけが、車内に響く。
隣に座るセリナは、
不安そうにヨンジュンを見つめていた。
けれど、彼の横顔は、いつも以上に無表情だった。
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「……どこへ向かっているの?」
ようやく、セリナが尋ねた。
ヨンジュンは前を向いたまま、低く答える。
「安全な場所へ。」
それだけ。
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【シーン:ヨンジュンの心中】
(……本当に、それだけか?)
心の中で自分に問いかける。
セリナに”真実”を見せること。
それは同時に、
自分の計画にも、大きなリスクを生む行為だった。
だが――もう、止まれなかった。
(知ってしまった以上、あいつは、もう戻れない。)
(俺も、だ。)
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【シーン:到着・秘密のアジト】
車は郊外の古びた洋館の前で止まった。
かつて、ジン・ヨンジュンの父が秘密裏に所有していた別荘跡地。
今は誰にも知られていない、孤独な場所。
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「降りてください。」
ヨンジュンはセリナにドアを開けた。
二人で歩く、ひび割れた石畳。
かすかな草の匂い。
セリナの胸に、
なぜか懐かしい痛みがこみ上げた。
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【シーン:洋館・秘密の部屋】
ヨンジュンは、埃まみれの書棚を押し、
隠された地下への階段を開く。
セリナは驚き、戸惑いながらも、
彼のあとを追った。
薄暗い地下室。
その中央に置かれた、大きな金庫。
ヨンジュンは無言でナンバーを入力し、
ゆっくりと扉を開いた。
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中には、
黄ばんだ書類の束。
数枚の古い写真。
そして──
一冊の手帳。
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ヨンジュンは、それを取り出し、
セリナに手渡した。
「……これを、読んでください。」
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セリナは震える指で、
手帳の表紙を撫でた。
そこには、
こう書かれていた。
【ジン・ドヒョン 私的記録】
彼女には、まだ分からない。
これが、
世界のすべてを変える“真実”であることを。
⸻
(続く・後編へ)




