第5話「すれ違う運命」【後編】
【シーン:迎賓館・夜】
夜。
冷たい月光が、部屋の中に差し込んでいた。
セリナは窓辺に立ち、
小さな肩を震わせていた。
誰もいない。
誰も、手を伸ばしてくれない。
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ヨンジュンは、廊下の向こうにいた。
扉一枚隔てた場所で、
セリナの寂しさに、気づいていながら、踏み出せずにいた。
(これでいい。
……これでいいはずだ。)
自分に言い聞かせる。
だが、
胸の奥では、激しい痛みが暴れていた。
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【シーン:セリナの涙】
セリナは、そっと呟いた。
「……どうして……」
声にならない声。
ただ、溢れる涙だけが、
彼女の本心を語っていた。
あの優しい手を、
あのあたたかな声を、
心が必死に求めている。
だが、
手を伸ばしても、届かない。
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【シーン:ヨンジュンの葛藤】
扉の外。
ヨンジュンは、拳を握りしめた。
開けたい。
駆け寄りたい。
けれど、それは自分の使命を裏切ること。
(復讐のために、ここまで来たんだろう。)
(……それでも。)
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――ドアノブに、手を伸ばしかけた、そのとき。
遠くから、小さな物音がした。
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【シーン:不穏な影】
迎賓館の敷地外。
黒い影が、フェンスの外を静かに這う。
暗闇に紛れた、複数の侵入者。
そして、その中心に立つ男――
カン・ジュンソク。
ヨンジュンと瓜二つの顔。
だが、その目には冷たい狂気が宿っていた。
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ジュンソクは低く呟いた。
「やっと……見つけたよ、セリナ。」
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【シーン:ヨンジュンの直感】
不意に、ヨンジュンの胸に走る寒気。
(何かが、来る――)
瞬間、彼は迷わなかった。
ドアを開け、
セリナのもとへ駆け寄る。
驚くセリナを抱きしめながら、
ヨンジュンは心に誓った。
(たとえ、どれだけすれ違っても。
……この命に代えても、君だけは守る。)
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夜が深く沈み、
運命の歯車がさらに狂い始める音が、
静かに鳴り響いていた。
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【第5話 完】




