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紅蓮の契約  作者: ZEN
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第5話「すれ違う運命」【後編】

【シーン:迎賓館・夜】


夜。


冷たい月光が、部屋の中に差し込んでいた。


セリナは窓辺に立ち、

小さな肩を震わせていた。


誰もいない。

誰も、手を伸ばしてくれない。


**


ヨンジュンは、廊下の向こうにいた。


扉一枚隔てた場所で、

セリナの寂しさに、気づいていながら、踏み出せずにいた。


(これでいい。

 ……これでいいはずだ。)


自分に言い聞かせる。


だが、

胸の奥では、激しい痛みが暴れていた。


**


【シーン:セリナの涙】


セリナは、そっと呟いた。


「……どうして……」


声にならない声。


ただ、溢れる涙だけが、

彼女の本心を語っていた。


あの優しい手を、

あのあたたかな声を、

心が必死に求めている。


だが、

手を伸ばしても、届かない。


**


【シーン:ヨンジュンの葛藤】


扉の外。


ヨンジュンは、拳を握りしめた。


開けたい。

駆け寄りたい。


けれど、それは自分の使命を裏切ること。


(復讐のために、ここまで来たんだろう。)


(……それでも。)


**


――ドアノブに、手を伸ばしかけた、そのとき。


遠くから、小さな物音がした。


**


【シーン:不穏な影】


迎賓館の敷地外。

黒い影が、フェンスの外を静かに這う。


暗闇に紛れた、複数の侵入者。


そして、その中心に立つ男――


カン・ジュンソク。


ヨンジュンと瓜二つの顔。


だが、その目には冷たい狂気が宿っていた。


**


ジュンソクは低く呟いた。


「やっと……見つけたよ、セリナ。」


**


【シーン:ヨンジュンの直感】


不意に、ヨンジュンの胸に走る寒気。


(何かが、来る――)


瞬間、彼は迷わなかった。


ドアを開け、

セリナのもとへ駆け寄る。


驚くセリナを抱きしめながら、

ヨンジュンは心に誓った。


(たとえ、どれだけすれ違っても。

 ……この命に代えても、君だけは守る。)


**


夜が深く沈み、

運命の歯車がさらに狂い始める音が、

静かに鳴り響いていた。



【第5話 完】

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