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紅蓮の契約  作者: ZEN
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第5話「すれ違う運命」【前編】

【シーン:迎賓館・朝】


柔らかな陽光が差し込む朝。


セリナは窓辺に立ち、ぼんやりと外を眺めていた。


記憶はまだ戻らない。

だが、心のどこかに、

ひとりの男の温もりが確かに刻まれている。


――ヨンジュン。


名前だけが、確かだった。


**


「おはようございます、ハン様。」


控えめなノックとともに、

ヨンジュンが部屋に入ってきた。


完璧なスーツ姿。

無表情。

どこか遠い存在。


セリナは思わず、寂しそうに微笑んだ。


「おはよう、ヨンジュンさん。」


声をかけるセリナに、

ヨンジュンは静かに礼を返すだけだった。


**


(……遠い。)


セリナは胸が痛むのを感じた。


あの日、寄り添ってくれたあたたかさは、

今はもう、手の届かないもののようだった。


**


【シーン:ヨンジュンの心中】


(これでいい。)


ヨンジュンは心の中で呟く。


(あの夜、迷いかけた。だが違う。

 俺は復讐者だ。

 情に溺れるわけにはいかない。)


だから、あえて距離を置く。


冷徹な秘書として、

ただそれだけの存在に徹するために。


セリナの寂しげな微笑みを、

見ないふりをして。


**


【シーン:ギョンシクの密談】


その頃、別棟では──


ハン・ギョンシクが静かに笑っていた。


「そろそろ、“目覚め”が必要だな。」


彼の視線の先には、

一枚の写真。


そこに写っていたのは、

かすかに笑うセリナと、その隣で佇むヨンジュン。


「ハン家の後継者に、相応しい“記憶”を、植え付けてやらねばな。」


冷たい声が、空気を震わせた。



(続く・中編へ)

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