第4話 特別編「偽りの温もり」
【シーン:セリナの夢の中】
柔らかな光。
どこかで、小さな鈴の音がしている。
セリナは、白い空間の中で立ち尽くしていた。
誰もいない。
何もない。
ただ、自分だけが、ひとりぼっち。
(……怖い。)
足元が崩れそうになる。
そのとき――
ふわりと、あたたかな手が、彼女の肩に触れた。
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(誰……?)
振り向いても、顔は見えない。
けれど、その手のぬくもりだけは、確かだった。
――あなたなら、大丈夫。
そんな声が、胸の奥に響いた気がした。
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【シーン:ヨンジュンの回想】
夜。
迎賓館の別室。
ヨンジュンはベランダから、静かに月を眺めていた。
ふと、ポケットから取り出す。
古びた懐中時計。
あの夜、父から託された唯一の形見。
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子供の頃、
孤児院の小さなベッドで、
ヨンジュンも同じ孤独を感じていた。
誰も助けてくれない。
誰も信じてはいけない。
あたたかさなんて、幻想だと、ずっと思っていた。
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それでも。
あのとき、
ひとりぼっちだった少年に、父が残してくれた言葉がある。
『生きろ、ヨンジュン。』
たったそれだけ。
けれど、
それだけが、彼を生かし続けた。
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【シーン:現在・セリナの部屋】
静かな寝息。
ヨンジュンは、
セリナが安心して眠る姿を見つめていた。
(……誰かの手を、必要とする気持ち。)
(俺は、知っている。)
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だから。
たとえ偽りでも、
たとえ復讐のためでも、
――今だけは、彼女に背を向けたくなかった。
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夜が深まる中、
ヨンジュンはそっと、
セリナの枕元に、小さなメモを置いた。
『焦らなくていい。
君は、君のままでいい。』
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セリナは、眠ったまま、
その紙片を胸に抱きしめた。
何も知らないまま。
けれど、その心だけが、
確かにあたたかさを覚えていた。
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【特別編・完】




