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第四話 花言葉知っていますか?

 私は、キースの部屋であったことをエリックに全て話した。

エリックは苦笑いをしながら、私の話を熱心に聞いてくれた。


「でもサラさんすごいよ。キース様に意見する人なんて初めてじゃないかな?」

「あ、そうなんですか? 私、失礼なことしちゃったかも……」


 思わず言ってしまったことを少し後悔する。


「キース様すごく怒ってました……。明日から部屋に入れてくれなかったらどうしよう」


 せっかく仕事を見つけたばかりなのに、もうクビになるのは困る。


「ははっ、大丈夫だよ。キース様は偏食だけど悪い人じゃないから。俺が思うに、あの人偏食というより、食べず嫌いなだけだと思うんだよねぇ」


 エリックはそう言いながら笑った。


「何かあったらまた話聞くからさ。元気出して! まかないご飯、また食べさせてあげる」

「はい! ありがとうございます!」


 優しいエリックと美味しいまかないのご飯に癒されて、忙しかった1日が終わったのであった……。


           ☆


 次の日。

昼の食堂の仕事も終わりに差し掛かった頃。

片付けを始めていた私のところにカインがやってきた。


「サラ、今少しいいか?」

「あ、はい。大丈夫です」


 カインは自分の懐から封筒を取り出すと私に差し出す。


「これを城の管理部署から預かってきたんだ。アルバイト代が出るまでの生活費だそうだ」

「えっ、助かります!」


 (なんていい国なの!!!)


「それで自分の好きな物を買うといい」

「はい。片付けが終わったら少し時間があるので街まで散歩がてら行ってきます」

「俺も行ければいいんだが、まだ仕事が残っていてな。気をつけて行ってこいよ」


 カインはそう言うと、またな、と手を上げて去っていった。

初めて行く街に想いを馳せながら、私は急いで片付けを済ませるのだった。


 サザーランド王国の街は海に面している。

城の門をくぐると、真下に広がる街並みを囲むように広い海が輝いていた。


「わぁ! 綺麗!」


 城下に続く緩い坂道を下りながら、私は歓声をあげた。

遠くの海には船がのんびり航海しており、白いカモメが自由に飛び回っている。


 (癒される〜)


 つい先日まで残業に追われる生活を送っていたことが嘘のような今の自分……。

色々思うところはあるが、今はこの世界で出来ることをやろうと思う。

私は気持ちを切り替えて、大勢の人でにぎわっている街へと向かった。


「たくさん買えた〜! お店の人もみんないい人で良かったぁ」


 洋服やお菓子など、可愛いものばかりで目移りしてしまった。

両手に抱えた袋を持ちながらそろそろ帰ろうとお城に通じる道を戻っていくと、小さな花屋があるのを見つけた。


「綺麗な花! 部屋に飾ろうかな」


 そう思っているとある人の顔を思い出す。


 (キース様、花は好きかな?)

 (そうだ! 夕食の時に持っていこう)


 私がキースの部屋に飾る花を探していると、店の奥の方から男の人の声が聞こえた。


「お嬢さん、お好きな花は決まったかな?」


 そう言って笑顔で出てきた男性は、色白で儚い雰囲気の綺麗な男性だった。


「あ、まだ決まってないんです。ごめんなさい」


 私が焦って謝ると、男性はニコニコとして首を振った。


「いいんだよ。ゆっくり見ていって」

「ありがとうございます」


 男性の優しさにお礼を言っている時、あるコーナーが目に入った。


『花言葉知っていますか?』


 (花言葉?)


「おや、花言葉が気になる?」

「はい。実は、まだ知り合ってまもない人に花を贈りたいんです。花言葉で贈る花を決めようかな」

「いい考えだね。僕も協力するよ」


 男性はそう言って優雅に微笑んだ。


「どういう花言葉がいいのかな?」

「そうですね……。私はその人と少しでも仲良くなりたいなって思っています」


 私の言葉に、男性は花を見渡す。

そして一輪の黄色いバラを私に差し出した。


「黄色いバラですか?」

「黄色いバラの花言葉は『友情』だよ。早くその人と仲良くなれるといいね」

「はい! えっと、おいくらでしょうか?」


 私が料金を尋ねると、男性は首を振る。


「今日は僕から君にプレゼントさせて。またここに花を見に来てほしいから」

「嬉しいです! 絶対また来ます! あの、お名前を教えていただいても?」

「もちろん! 僕はステラ。よろしくね」

「サラです。よろしくお願いします」


 こうして私は、ステラの花屋でキースの部屋に飾る花を選ぶことにしたのだった__。


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