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追放された令嬢は鑑定士となる  作者: えだまめのさや
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メイド達は変わり果てたクラリスを前に泣き崩

 メイド達は変わり果てたクラリスを前に泣き崩れ、中には気を失ってしまう者もいた。

 クラリスとメイド達が救い出された次の日の朝。

 クラリスは山賊に捕まっていた洞窟の中で無残な姿で発見された。首から上は魔物に食べられたのか跡形もなく、発見した時は血に染まった髪と無事だった左手には金の指輪が入った箱が握りしめられていた。

 

 「——間違いない、です。クラリスお嬢様の、御髪ですっ……」

 

 遺体はフィーネたちによって回収され、出来る限り清められていた。なくなった頭部は隠され、ボロボロだったドレスは出来る限り綺麗にされていた。それでも、欠損した死体を見るメイド達にとっては刺激が強かった。

 

 「魔物に食べられたことで、アンデッドになる危険があります。彼女はこのまま、火葬いたします」

 

 マーレの言葉に「そんな!」と悲鳴がメイド達の中から上がる。ドラゴニア帝国では土葬が基本だ。土に還ることで死者が安らかに眠れるという意味合いがある。

 

 「辛いお気持ちは分かります。しかし彼女の魂をこれ以上傷つけないために、アンデッドになる前に処理する必要があります」

 

 アンデッドになる詳細な条件は分かっていない。

 ただ魔物に食べられた遺体は高確率でアンデッド化されることが報告されており、また死ぬ直前に強い思いを抱いていた者も、魂が女神リーサの元に旅立てず、アンデッドになりやすいという。

 メイド達による葬送が終わると、クラリスの遺体は速やかに荼毘だびに付された。

 悲しみに暮れるメイド達。

 皆が覇気を失い、一週間が過ぎようとした時だ。

 ようやく彼女たちを迎えに来た馬車が中継都市アーライに到着する。

 馬車はクラリスを迎える事前提で編成されたために、今度こそ万が一があってはいけないと多くの傭兵と豪華な馬車で編成されていたが、ギルドからの報告を受けて、責任者として赴いた壮年の執事長は膝から崩れ落ちた。

 結局、馬車はメイドとクラリスの遺髪、そして金の指輪一組を載せて早々にアーライを発った。

 これは今のご時世、どこの町でも起こりえる事。

 メイド達にとってはショッキングな出来事だったかもしれないが数ある悲劇の一つに過ぎないと、ギルドではすっかり日常モードだ。

 マーレとネルも数日は落ち込んでいたが、上手く切り替えられたのだろう。今日もしっかり受付嬢としての仕事を笑顔でこなしている。

 

 「お二人さん」

 「——フィーネさん」

 

 そんな姉妹の前に現れたのは、ギルドに久々に顔を出したフィーネだ。

 

 「お久しぶりです。そういえばクラリスさんの事は、バルさんは知っていられるんですか?」

 「……ええ、辛いけど、知らなければいけない事だから」

 

 そうですか、と二人が頷く。

 冒険者は出会いと別れの職業である。それは二度と会えない事という隠語。

 それでもお金や名声を求めて、大勢の冒険者が今日も命を落としていく。それが日常。

 

 「——ところで二人とも、今日の夜、時間はあるかしら?」

 

 

 * * *

 

 「うそ……夢じゃないわよ、ね?」

 「ええと、お世話になっております。クラリス・アルマークです」

 

 夜。

 『緑の刃』が借りている家を訪ねた姉妹は、出迎えてくれたクラリスを見て目を丸くした。

 思わず手が伸び、ペタペタをクラリスに触れていく。

 頭、頬、肩、む——

 

 「ちょっとちょっと!うちのクラリスちゃんになにセクハラしようとしてるか!たとえクラリスちゃんが許してもこのエル様の目が黒いうちはそんな事絶対にさせんぞっ」

 

 マーレの腕を掴み、エルが割ってはいる。

 

 「はいはい、いつまでも玄関でいちゃいちゃしてないで。まずは状況の説明が必要だと思うから、上がって頂戴。クラリスはお茶をお願いできるかしら」

 「はい、美味しい紅茶を淹れますね」

 

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