運命なんて、信じない!
くっそー、今回もテストの点数悪かったぁ。
「那須くん、手相占いやったげる」
隣の席の女の子が話しかけてきた。
「ほい」
右手を差し出す。
「両手、両手!」
「なんで?」
「左がもともとの運勢で、右が自分で切り拓いてる運勢なのよ」
「へー」
「手の中央にでっかいばってんがあったら両思い」
「ちょと待てなんの運勢見とる」
「他は知らないの」
「そーなの」
で?
「左は両思いが複数あって、右は大本命ひとすじ!」
もともとハーレム体質が、自分で一人に絞っていると?
なんてもったいない!
「俺は信じないから」
「ふーん、だ。見てあげなきゃよかった」
「悪かったな」
だいたい、俺は、運命ってやつは胡散臭くて信じられないんだ。あらかじめ何もかも決まってるとしたら、何のために生まれてきたかわからないじゃないか。もし、運命が決まってるんだとしたら、俺がこの手で変えてやる!
とりあえず、直面してる問題は成績だな。今、高校二年の一学期だから、まだまだ挽回できる!
新入生テストで学年3位だったが、一年の期末テストは300番代だった俺だ。やればできる。
「那須くん」
「何?」
「隣のクラスの女の子が那須くんのこと好きだって」
へー、物好きがいるもんだ。俺はきょとんとして相手の顔を見た。
「かくいう私も那須くん好きです!」
「は?」
ハーレム体質ここに極まれり、か?
「ごめん、俺、勉強しなきゃなんないから」
「えー」
勉強一筋なーんてね。
「那須〜、もったいないおばけが出るぞ」
「俺は将来の栄光をとる」
「はいはい」
変わり者の烙印押されたって、俺は遥か高みを目指してやる。
ふつふつとみなぎる想い。どんな運命だって変えてみせるから。