第六話 未来への贈り物
今回初投稿です!
楽しんでいただけると幸いです。
基地を衝撃が襲う。その"敵"が撃った砲弾が落着した音だ。敵は宇宙から大気圏を突き進み、今この基地の上空にいる。
この基地は地下にあるが、周りには対空兵装が大量に配置されている。上空から見れば、"ここに本部がありますよ!"と言っているようなものだ。
そして今、"敵"から発射された音速の25倍にもなる砲弾が、基地を覆う土を対空砲ごと剥ぎ取ろうとしている。
「もはやここまでかっ…」
国井が悔しそうにつぶやいた。司令室にいる全ての人が暗い顔をして下を向いていた。
司令室の正面にあるスクリーンには次々と消えていく味方基地、部隊の反応と、次々と増えていく敵の反応が映し出されていた。
その光景を見て、皆逃げ出そうとしていた。恐怖。死への恐怖が、その場を支配していた。
「もう私たちに出来ることはありません…」
山本が静かに告げる。
基地をもう一度大きな衝撃が襲う。ついに敵はこの場所を見つけたようだ。
「電源喪失。非常用電源に切り替わります」
基地を一瞬の暗闇が包んだ後、暗い赤色の光が基地を包みこむ。
「いや、山本。まだ我々には仕事が残っているよ」
国井の目にはまだ希望の火が灯っていた。そして司令室にいる全ての人に言った。
「私たちは死ぬ。誰もこの運命から逃れることはできない。今から逃げたとしても、そこに待っているのは砲弾の雨だけだ」
「そこで君たちにお願いしたいことがある!」
国井は少しの沈黙の後、芯の通った声で告げた。
「このままでは私たちは死ぬ!そして君たちの家族、恋人、大切な人々も皆死ぬ!」
「私にはそれは耐えられない…」
「だから!だから!!!君たちの命を!次の世代へと贈ってやってほしい!!!!」
「………………………」
「…………………」
オペレーターたちはその言葉を静かに聞いていた。少しの沈黙の後、国井は口を開く。
「オペレーション「ノア」を実行する」
「そのためには、私1人の力では足りない。君たちの力が必要だ!だから…………」
「ここで死んではくれないだろうか」
国井は頭を下げた。司令官というものは本来隊員の命を預かるもの。「死んでくれ」という言葉は言ってはならないものだ。だからそこにいる人には、拒否権があった。それに対して国井は頭を下げることしかできなかった。
「仕方ないですね!」
1人のオペレーターがそう声を上げ、所定の位置につく。
「そこまで言うなら…」
先ほどまで腰を抜かしていたオペレーターが席に着く。
「こうなりゃヤケクソです!」
「やったりましょう!」
「俺たちの最後の仕事だ!」
オペレーターたちは次々に声を上げ、自分の席へと戻っていく。
「国井司令。顔を上げてください」
山本が国井の方を向き、顔を上げさせる。そして敬礼し、大きな声で告げる。
「日本国防衛軍本部所属、山本防衛将、及びオペレーター部隊総員、離反なし!」
国井は目を丸くした。少なくとも10人ほどは離反者が出るだろうと思っていたためだ。しかしそこには誰も離反する者などいなかった。国井の目には涙が溢れた。しかし泣いてる場合ではない。その涙を押し戻し、命令した。
「そうか…みんな、ありがとう。これが最後の命令になる。しっかりと完遂してくれ」
基地をまた衝撃が包む。天井の厚さ40メートルのコンクリートの壁が土煙を吹き出す。
「オペレーション「ノア」を実行せよ!」
天井が振動しだす。
「オペレーション完了時刻は16:00、現在より1時間後とする!」
天井にヒビが入る。
国井の命令を聞き、オペレーターたちはまだ生き残っている基地、部隊、そして民間の無線に、命令を送る。時間が許す限り、情報と、命令を届ける。
天井が崩れだす。
国井は最後に広域無線にこう呼びかけた。
「私の命をあなたに贈るわ。生まれてきてくれてありがとう」
柔らかな声で彼女は言った。
皆さん初めまして、ブルングです。今回初投稿ですので、もしかしたら読みにくかったりするかもしれません。
誤字脱字等ありましたら、コメントで指摘していただくと嬉しいです。(他にも、ここが読みにくい などのコメントもお待ちしています)
読んでくれてありがとう!!!




