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第五話  急襲

 今回初投稿です!


 楽しんでいただけると幸いです。


 



 通信を終え部隊がそれぞれの任務に着いた頃。国井は司令官用の椅子に腰掛け、静かに目を瞑っていた。


   「国井司令。やはり息子さんが心配ですか?」


 山本がその筋肉だるまな体を傾け、コーヒーを手渡す。


       「あぁ、ありがとう」


 国井はそのコーヒーを受け取ると、静かに、しかし素早くそれを飲み干した。そしてふぅっと息を吐き、山本の質問に答える。


        「あぁ、心配だ」


 遠くを見つめ言ったその一言は司令官としてのものなのか。それとも母としてのものなのか。はたまたその両方か。今はそれすら知ることができない。


 「あの子は、いつも私の言うことを聞いてくれなかった」


          国井が口を開く。


 「私が外で遊ばないようにと言った時は真っ先に外に飛び出していった」


 「今思えば、あの子と正面から向き合ったことはなかったかもしれない」


   国井はそう言ってポケットから何かを取り出す。


         「お守り…ですか?」


 国井が取り出したのは古びたお守りだった。お世辞にも綺麗とは言い難いそれを、国井は指の原で愛おしそうに撫でた。


 「これはあの子が小学二年生の時にくれたものだ。もう18年前になる」


「18年前と言いますと、石油戦争ですか」




 石油戦争。2072年、世界は脱石油に向けて歩みを進めていたが、それは資金がない中小国家にはあまりにもきつい時代の流れであった。そのしわ寄せはそれらの国民に及び、これが火種となった。


 石油輸出規制を撤廃させるべく、彼らは戦争を開始したのだった。この動きを受けて国連はこの世界の防衛を掲げ、攻撃を開始。その戦争は約1年続いた。




 「私は陸軍所属だったからな。その戦争では最前線に立たされることになった」


 「戦争に行く前日、あの子は習ったばかりの裁縫で、このお守りを作ってくれた。何度も何度も指を刺しながら」


 「これがあると…不思議と勇気が湧いてきた。あの子のために、何が何でも生き延びるのだと」





    「だが…今やあの子が前線にいる……」




       国井は悲しそうに呟いた。



 

   「あの子は言うことをいつも聞いてくれない」




       母は悲しそうに呟いた。



 

   「あんなに逃げるようにと伝えたのに……」




      司令官は悲しそうに呟いた。



 


 山本は国井のそのいつもと違う姿を見て、言葉を発する。


 「そのために我々がいるのです。いち早く作戦を立案し、彼らを勝利に導くことが私たちの仕事なのです」


          山本は続ける。


 「それに…あいつはあなたによく似ている。きっとしぶとく生き残るでしょう」


 

 国井はその言葉を聞くと、フッと少し笑い、せかせかと入ってきた情報作戦部の人間を見つめる。


        「作戦を立案しました」



 その言葉を聞き、国井と山本は自らの職務へと戻っていく。




          その時だった。




 司令室に設置された巨大モニターにおびただしい数の点が映る。司令室は一瞬の静寂の後、怒号と嘆きの声に包まれた。


     「これは…一体なんなんだ……」


 ひとりのオペレーターが呟く。絶望が滲み出ていた。そして別のオペレーターが報告する。


 「大型の飛行物体が飛来…総数、1万を超えています!」


 これが一体なんなのか。核か、爆撃機か、はたまた別の何かか。それは誰にも分からなかった。しかしこの飛行物体を迎撃できなければ悲惨な結果となる。そのことは誰の目にも明らかだった。


     「全部隊に迎撃命令を出せ!!!」


 国井の額には冷や汗が滲み出ていた。迎撃できなければみんな死ぬ。そう彼女の40年の経験が告げていた。


    「了解。全部隊に迎撃命令を出します。」


 司令部はてんやわんやになりながらも各部隊に指令を届ける。

 

   「こんな時に2IACSが動かないとは…!」


 山本が苛立ちを含んだ声でぼやく。彼が言う2IACSトゥーアイアクスとは司令部、そして各基地に配備されているAI司令システムであり、本来はこのAIが作戦遂行に最適な部隊を選定し、自動で指令を送信するのだ。


 「これがもし他の国だったらすべてAI任せだ。まだマシと言えるだろう。」


        国井はさらに続けた。


 「石油戦争の時、現地司令部には司令官と副司令官の2人しかいなかった。それは限りなく効率化された戦争を形容したように私には思えた。」


 「だが、それは所詮AIの戦争だ。そのやり方ではこの戦いには勝てん」


 国井は目の奥を熱くして語る。そこには彼女の信念とも言えるものが宿っているようだった。


    「飛行物体、間もなく本土に到達します!」


 迎撃できたのは5分の1ほど、それが限界だった。


 「飛行物体が本土上空に飛来!…これは…分裂しているようです!」


「1つの飛行物体から約10機の小型物体が分裂しています!」


 1つの飛行物体から10機の小型物体が出てくる。これはすなわち敵数が10倍になったことを意味していた。それは、それがどんな兵器であろうと、日本にいる人々を皆ごろしにするには十分であった。


     

       「…迎撃はどうなった?…」



 国井が震えた声で問う。オペレーターはそれに静かに答える。


 「敵数1万のうち、迎撃確実は2132機。残りの7868機は分裂しました。迎撃は困難です。」


   「各地方の近距離防空システムはどうした?」

 

    「最初の攻撃で破壊されました…」


 それはもうどうすることもできないことを意味していた。





 皆さん初めまして、ブルングです。今回初投稿ですので、もしかしたら読みにくかったりするかもしれません。


 誤字脱字等ありましたら、コメントで指摘していただくと嬉しいです。(他にも、ここが読みにくい などのコメントもお待ちしています)


 読んでくれてありがとう!!!

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