第8語り じょうずな握手【取っ手】
【レトルト】→【取っ手】
ねぇねぇ、あなた握手ってじょうず?
じゃあ、やってみよっか。
だめだめ! そんなぎゅっと、にぎっちゃ。
もっとやさしく。うぅん、こんどは、そっとすぎるってば。
もぉっ! へたっぴ!!
そもそも、手洗ったの? きれいな手じゃなきゃ、握手しちゃだめだよ。
ん、うるさいって? 握手なんか、じょうずじゃなくてもいいって?
じゃぁ、あたしが教えたげる。
なんで、握手がじょうずじゃなきゃ、だめなのか。
たとえばさぁ、ドアがあるでしょ?
そのドアに、ノブがあって。
ドアをあけたいあなたは、そのノブと握手しなきゃなんない。
でも、もしあなたの握手がへたっぴで、ドアが握手したくないっておもっちゃって。ノブをひっこめちゃったら、どうする?
ほらドア、あけられないじゃん。
え? ドアとじゃなくて、握手はひととするものだよって?
まあ、さいごまできいてよ。せっかちなんだから。
んで、あたしたちも、心のなかにはドアがあるの。
よく知らないひとには、そのドアから出ていかないで。
なかから、ドアごしに。ちゃんと顔を見せずにおしゃべりしてる。
だけど、ドアをあけて。あいてに出てきてもらって、ちゃんと顔を見ながらおしゃべりしたかったら。
心のドアについたノブと握手するの。
心のドアをあけるんだよ。
そのとき、ちゃんと心のドアのノブと、じょうずに握手できるように。
握手がへたっぴで、心のドアのノブをひっこめられないように。
ちゃんと手を洗って、きれいな手で。
やさしくだけど、そっとすぎないつよさで、ちゃんとにぎるんだ。
じょうずに、心のドアのノブと握手しよう。
そしたら、心のドアのむこうにいるあいてが出てきてくれて。
ちゃんと顔を見ながら、おしゃべりできるようになる。
そしたら、もっとそのひとと、なかよくなれるとおもわない?
握手がだいじだって、わかった?
じゃあ、やってみるよ。
手、ちゃんと洗ってきた?
準備は、いい?
はい。
握手♡
つぎは「て」!
コミュ障の私が、こんな話を描くとは(汗)