第10語り ひとりぼっちに見える島【島】
浮いてません。
【てんとう虫】→【島】
太陽は、きょうも東から西へ。
これでもう、何周したのかもわかんないくらい。
この惑星をまわってる。
はよぉ。きょうもごくろうさま♡
でも、太陽には。
さいきん、ずっと気になってることがあるみたい。
むかしむかしは、おっっっっっっきぃなひとつの大陸しかなかったのに、いまはそこそこの大陸がいくつかと、ちっちゃい島がたくさん。
大陸は、そのまわりに島をたくさんならべて、にぎやかにしてるし。
島だって、大陸にそばにいてもらえるうえに、ほかの島ともご近所さん。
だけど。
ひとりぼっち、離れたところにいる島が、たまにあるの。
太陽は、その島がさみしそうに見えちゃって。
大陸にお願いしてみたんだ。
「ねえ、大陸。
あの島、ひとりでさみしそうだから、もっとこっちへおいでって呼んであげて」
でも、大陸ったら、つれない返事。
「あぁ、あの島は、ひとりでいるのが好きなんだから、この距離でいいんだよ」
なんて、冷たいやつ! おまえなんか、北極まで流されて、氷の大陸になっちゃえ!!
むっとした太陽は、離れた島のほうにも話してみた。
「ねえ、島。
そんなひとりで離れてさみしくないの?
もっと、大陸のほうに行ったらいいじゃん?
もし、あの大陸が冷たいやつだから、いやなんだったら、ぼくが他の大陸に頼んであげてもいいし。
べつに大陸のそばじゃなくて、ほかの島の仲間にいれてもらうんだっていい」
でも、島ってば、そっけない返事。
「あぁ、ぼくは、ひとりでいるのが好きなんだから。この距離でいいんだよ」
なんて、いじっぱりなやつ! おまえなんか、ひとりぼっちで、まわりの海に大渦とかぐるぐるさせてればいいさ!!
いらついた太陽は、そんなことを海にぐちってみた。
でも、海は。島のまわりに渦をつくっちゃうなんて、いじわるはせずに。
のんびり、波を揺らしながら、太陽にこう言ったの。
「あの島は、ひとりぼっちに見えるでしょ?
でも、太陽からは見えないけど。
大陸も、島も、海のぼくのうえにぷかぷか浮いてるわけじゃなくて。
ぼくのしたでもっっと、おおきな地面でつながってるんだ。
あの島が、ひとりぼっちに見えても平気なのは、ちゃんと、海のぼくのしたで、みんなとつながってるから。
それがあるから、安心して、みんなそれぞれ、自分なりの距離で大陸や島をやっていけるんだよ」
それをきいて、太陽はびっくり。
よそからは見えないけど、ちゃんとしたつながりをもってる関係ってあるんだね。
あたしも、ほかのひとにはあんまりなかよしアピールしてないけど、あたし的にはすっごく大好きで♡すっごく仲良しだって、思ってるひとがいるもん。
太陽から見たら、そんなふうには見えないけど。
きっと、あのひとと、海の底ではちゃんとつながってたらいいなって。このとき、そう思ったんだ。
「そっか、ぼく、よけいなこと言っちゃったかもしれないな」
太陽は、海に教えてくれてありがとうってお礼を言うと。
東から西へ。
また、この惑星をまわりはじめた。
大陸や島とちがって、だれともつながってない太陽は。
なんだか、大陸や島をうらやましく感じちゃったんだけど。
だれかとつながったままじゃ、この惑星を何周もまわりつづけることなんてできない。
(孤独で、さみしいのは、あの島じゃなくて、ぼくのほうだ)
それでも、太陽は東から西へ。
この惑星をひとりぼっちでまわりつづける。
だけど、太陽。
ちゃんときづいて。
あなたは、ひとりぼっちで、この惑星をまわってるかもしんないけど。
おなじように、ひとりぼっちで、この惑星をまわってるお月さまがいる。
いっしょにまわってはあげられないけど、ずっと見守ってくれてる、海と空がいる。
あたしだって、太陽のこと、ちゃんと見てるんだからね。
よそから見て、ひとりぼっちに見えたって。
じぶんには、ちゃんとつながりがあるってわかるように。
じぶんではひとりぼっちだって、思いこんじゃっても。
よそからみたら、そんなことはなかったりもする。
だけど、ひとりぼっちじゃないことに、ちゃんときづいて。いつも、ありがとうってしたり。
ひとりぼっちにさせたりしないから、だいじょうぶだよって声をかけてあげる。
そうやって、あたしたちは生きていけたらなって。
いがいと、さみしがりやのあたしは、そう思ったんだ。
私のキャラじゃない(笑)
つぎは「ま」?




