表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

第10語り ひとりぼっちに見える島【島】

 浮いてません。


【てんとう虫】→【島】

 太陽は、きょうも東から西へ。

 これでもう、何周したのかもわかんないくらい。

 この惑星(ほし)をまわってる。


 はよぉ。きょうもごくろうさま♡


 でも、太陽には。

 さいきん、ずっと気になってることがあるみたい。


 むかしむかしは、おっっっっっっきぃなひとつの大陸しかなかったのに、いまはそこそこの大陸がいくつかと、ちっちゃい島がたくさん。

 大陸は、そのまわりに島をたくさんならべて、にぎやかにしてるし。

 島だって、大陸にそばにいてもらえるうえに、ほかの島ともご近所さん。

 だけど。

 ひとりぼっち、離れたところにいる島が、たまにあるの。


 太陽は、その島がさみしそうに見えちゃって。


 大陸にお願いしてみたんだ。


「ねえ、大陸。

 あの島、ひとりでさみしそうだから、もっとこっちへおいでって呼んであげて」

 でも、大陸ったら、つれない返事。

「あぁ、あの島は、ひとりでいるのが好きなんだから、この距離でいいんだよ」


 なんて、冷たいやつ! おまえなんか、北極まで流されて、氷の大陸になっちゃえ!!


 むっとした太陽は、離れた島のほうにも話してみた。

「ねえ、島。

 そんなひとりで離れてさみしくないの?

 もっと、大陸のほうに行ったらいいじゃん?

 もし、あの大陸が冷たいやつだから、いやなんだったら、ぼくが他の大陸に頼んであげてもいいし。

 べつに大陸のそばじゃなくて、ほかの島の仲間にいれてもらうんだっていい」

 でも、島ってば、そっけない返事。

「あぁ、ぼくは、ひとりでいるのが好きなんだから。この距離でいいんだよ」


 なんて、いじっぱりなやつ! おまえなんか、ひとりぼっちで、まわりの海に大渦とかぐるぐるさせてればいいさ!!


 いらついた太陽は、そんなことを海にぐちってみた。

 でも、海は。島のまわりに渦をつくっちゃうなんて、いじわるはせずに。

 のんびり、波を揺らしながら、太陽にこう言ったの。


「あの島は、ひとりぼっちに見えるでしょ?

 でも、太陽からは見えないけど。

 大陸も、島も、海のぼくのうえにぷかぷか浮いてるわけじゃなくて。

 ぼくのしたでもっっと、おおきな地面でつながってるんだ。

 あの島が、ひとりぼっちに見えても平気なのは、ちゃんと、海のぼくのしたで、みんなとつながってるから。

 それがあるから、安心して、みんなそれぞれ、自分なりの距離で大陸や島をやっていけるんだよ」


 それをきいて、太陽はびっくり。


 よそからは見えないけど、ちゃんとしたつながりをもってる関係ってあるんだね。

 あたしも、ほかのひとにはあんまりなかよしアピールしてないけど、あたし的にはすっごく大好きで♡すっごく仲良しだって、思ってるひとがいるもん。

 太陽から見たら、そんなふうには見えないけど。

 きっと、あのひとと、海の底ではちゃんとつながってたらいいなって。このとき、そう思ったんだ。


「そっか、ぼく、よけいなこと言っちゃったかもしれないな」

 太陽は、海に教えてくれてありがとうってお礼を言うと。

 東から西へ。

 また、この惑星(ほし)をまわりはじめた。


 大陸や島とちがって、だれともつながってない太陽は。

 なんだか、大陸や島をうらやましく感じちゃったんだけど。

 だれかとつながったままじゃ、この惑星(ほし)を何周もまわりつづけることなんてできない。


(孤独で、さみしいのは、あの島じゃなくて、ぼくのほうだ)

 それでも、太陽は東から西へ。

 この惑星(ほし)をひとりぼっちでまわりつづける。


 だけど、太陽。

 ちゃんときづいて。


 あなたは、ひとりぼっちで、この惑星(ほし)をまわってるかもしんないけど。

 おなじように、ひとりぼっちで、この惑星(ほし)をまわってるお月さまがいる。

 いっしょにまわってはあげられないけど、ずっと見守ってくれてる、海と空がいる。

 あたしだって、太陽のこと、ちゃんと見てるんだからね。


 よそから見て、ひとりぼっちに見えたって。

 じぶんには、ちゃんとつながりがあるってわかるように。


 じぶんではひとりぼっちだって、思いこんじゃっても。

 よそからみたら、そんなことはなかったりもする。


 だけど、ひとりぼっちじゃないことに、ちゃんときづいて。いつも、ありがとうってしたり。

 ひとりぼっちにさせたりしないから、だいじょうぶだよって声をかけてあげる。

 そうやって、あたしたちは生きていけたらなって。


 いがいと、さみしがりやのあたしは、そう思ったんだ。



挿絵(By みてみん)

 

 私のキャラじゃない(笑)


 つぎは「ま」?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第4語りの小説版】
九死で一生
― 新着の感想 ―
[一言] ハートフルなお話に、心がほっこりしました。まさにしりとり童話ですね。 海の底で繋がっている存在がいるから、自分達の心地良い距離を保っていられるのかも知れません。 太陽がいつか、自分もひとりぼ…
[一言]  むしろ『らしい』かと。  思ってもいないところから、見守ってくれていたりしますよね。  きっと太陽のことも、海は色々と気付いてくれているのでしょうね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ