おまけ:(架空の)ゲーム設定
本編で全く言及されなかった、主人公が転生した先の世界の元となったゲームの設定です。
作者は設定厨なので「気持ち悪いなこいつ」と思われた方は見るのをおすすめしません。
19世紀後半の英国を舞台とした恋愛シミュレーションゲーム「恋する☆ペナントレース」。
主人公は領地査察官(実際にそんな役職はない)として攻略可能キャラクター達と知り合う。一方で社交界では、子供達の間で人気のあった近代野球の原型とも言われている球技「ラウンダーズ」がなぜかブームとなり、所領対抗選手権を開催する流れとなる。主人公はラウンダーズを通して、各キャラクター達と親交を深めていく。
領地経営、野球、育成を併せた恋愛シミュレーションゲームとして匿名掲示板でも「恋ペナとかいう乙女ゲームwww」などと話題になり、
「世界観が崩壊してるンゴwww」
「逆パワポケ」
「属性詰め込みすぎィ!」
「ラウンダーズの特徴を残しつつ現代人にも分かりやすいようにベースボールの要素も取り入れ、更にヴィクトリア朝後期の歴史や文化もシナリオ中にエッセンスとして組み込まれている良ゲー。まあ俺はプレイしてないけど」
と反応は様々。タイトルにもある「ペナントレース」という単語がそもそも試合形式と合わない上、登場人物の名前がどう見てもプロ野球の各球団名をもじっているなど、要所要所でネタに走っている事も物議を醸す要因に。
更に攻略可能キャラクターに女性も一人混じっており、公式は名言していないが『お友達』では済まされないガチっぽいルートが存在しているため「この開発は分かってる」など、一部のコアなファンからの支持も受ける。
シナリオは社交シーズン終盤に各キャラクターと知り合う共通ルート、オフシーズンに所領にて領地経営とチーム運営・練習に携わる個別ルート、所領対抗選手権の出場を経てエンディングへと至る。
主人公は領地経営を補佐してチームの運営資金を調達する傍ら、マネージャー、コーチ、ルートによっては監督や選手としてチームに関わり、キャラクターを攻略していく。時代背景に関わらず主人公が有能すぎるのはお約束。
経営破綻や攻略可能キャラクターの故障を起こすと即ゲームオーバー。公式試合で負けた時点でバッドエンド、優勝しても攻略中のキャラクターの好感度が低ければノーマルルートという、雑な設定と美麗なイラストに見合わず高い難易度となっている。ちなみにボイスはなし。
シリーズは二作目まで出ており、1がセントラルリーグ、2がパシフィックリーグをモチーフとしている。更に追加コンテンツとして1では対アイルランド戦、2では1の登場人物達との対戦シナリオがある。
○恋する☆ペナントレース(無印)
ロンドンを中心としたイングランドが舞台となっている。要するにセントラル・リーグ。
社交シーズン終盤の7月に各キャラクターと出会い、イベントによって彼らの境遇や人となりを知るまでが共通ルート。
9月に個別ルートに入ってからは、一日の午前は領地経営パート、午後は練習パートとなる。週の始めに一週間分のスケジュールを決め、イベントが起こればその都度対処する。キャラクターによってはどちらのパートに注力するかで好感度の増減度が変わる。
○恋する☆ペナントレース2
ウェールズとスコットランドが舞台となっている。要するにパシフィック・リーグ。
基本ルールは前作と一緒だが、特定のルート以外で運営か選手かを選択できるようになった。この仕様のおかげでチームの弱点をプレイヤーの頑張りで補える事になり、ゴリラと化した査察官が続出。
また指名打者制が導入され代打選手を育成できるようになり、難易度が若干上がった。
主人公は前作と設定は同じだが別人。1と時系列を同じくしており、追加コンテンツで頂上決戦シナリオがある。
前作をプレイしていた場合、優勝時(もしくは対アイルランド戦)のセーブデータがあればそれを引き継ぎ、頂上決戦シナリオとして前作で自分が育てたチームとの対戦が可能となる。
この仕様のおかげで前作の周回が捗った模様。2の頂上決戦を想定して弱く育てると、1の所領対抗選手権で勝てない。1の所領対抗選手権を余裕で突破するレベルまで育てた場合、2の頂上決戦で負けるという二律背反に陥ったプレイヤーは数知れず。
前作のデータがない場合は、1の登場人物達の連合チームとの対戦となる。このモードは前作のデータの有無に関わらず選択できる。各キャラクターのパラメーターは最大だが、追加の台詞などもあるため前作プレイヤーにも人気だったらしい。
○経営パート
ミニゲームやイベントで資金を調達し、その資金を領地経営とチーム運営に当てていく。イベントに対処した結果や社会奉仕の有無で収入が増減する。決算と資金の割り振りは月頭に行われるが、それ以外に臨時で収支が発生する。
領地とチーム、どちらか一方でも経営破綻を起こすとその時点でゲームオーバーとなる。
○練習パート
マネージャーかコーチどちらかの役職を選べる。マネージャーではチーム連携度が、コーチでは各パラメーターが上がりやすくなる。
週ごとにチームメイトひとりひとりの練習メニューを設定する。個人練習では選手のパラメーターが、バッテリー練習と守備練習ではチーム連携度が増減する。
パラメーターはコントロールや球速、打率などに影響する。チーム連携度はバッテリーや守備の判断力、エラーの有無などに影響する。
初期チームメイトは基本的に攻略可能キャラクターの関係者だが、身体能力の高い領民をスカウトするイベントもある。また、キャラクターによってはイベントで練習から離脱する期間があり、その間は育成が出来ないため注意。
攻略可能キャラクターは基本的にエースとなり、全体的にパラメーターが高めに設定されている。しかし、試合には必ず出場させなければいけない。
○試合
練習試合と公式試合(所領対抗選手権)がある。
勝つと全員のパラメーターとチーム連携度が大幅アップ。引き分けでは変化なしだが、負けるとパラメーターに一定期間マイナススキルが付くか、チーム連携度の低下がランダムで起こる。なお公式試合は引き分けがなく、一度でも負けるとバッドエンドとなる。
試合中に操作できるのは攻略可能キャラクターだけ、それ以外は指示を出すのみなので各選手のパラメーターとチーム連携度、どちらが欠けても成り立たない仕様。
またチーム運営に費やす資金の額で設備レベルや選手の成長率が左右されるため、経営パートも疎かに出来ない。
○疲労度
過度の練習、試合での消耗度合い(投球数や運動量など)、に応じて蓄積され、一定レベルに達すると故障となる。攻略中のキャラクターが故障に陥ると即ゲームオーバーとなる。
体力の少ない選手ほど増えやすく、回復しづらくなる。疲労度は休息、アイテムの使用、稀にイベントによって回復する。
○シナリオの流れ
5月にゲーム開始、共通ルートから始まる。各キャラクターと知り合う。一人ずつイベントがあり、好感度も増減する。
8月から個別ルート。ルートは好感度に関わらず任意で選択でき、選択したキャラクターの領地へ向かう。ここから経営パートと練習パートに分かれる。
4月に所領対抗選手権が開催される。試合はトーナメント方式。
○エンディングの種類
領地とチームのどちらか一方でも経営破綻する、攻略可能キャラクターが故障するとゲームオーバー。クレジットは流れず、セーブデータからやり直し。
所領対抗選手権で負けるとバッドエンド。
優勝したが攻略中キャラクターの好感度が一定レベルに達していなければノーマルエンド。
好感度が高い状態で優勝すればハッピーエンド。優勝すると賞金を獲得でき、総資金のみ持ち越して2週目、いわゆる強いままニューゲームを始められる。
追加コンテンツでは勝つとトゥルーエンド。負けるとゲームオーバー。いずれの場合も賞金はなし。
2のリリース後に、実は1と2のシナリオは同時系列だった事が判明。追加コンテンツである対アイルランド戦は、2の追加コンテンツ後のシナリオである。
○パラメーター
ポイント毎にA〜Gのレベルが設定される。
G(1〜19)→F(20〜29)→E(30〜39)→D(40〜49)→C(50〜59)→B(60〜69)→A(70〜79)→S(80)の順に上がり、Sが上限となる。
またGからFに上がるまでの必要ポイント数のみ他のレベルより高くなっており、初期値がGの選手は育成が困難である。初期パラメーターは各レベルの最低値となっている。
パラメーターの種類は以下の通り。
・共通
体力:投球数上限(投手)、守備の可動域(守備)
打力:ボールの飛距離と打球速度
肩力:送球速度や投球距離
走力:足の速さ
選球眼:投球・打撃位置の見極め、打撃の積極性(打者が自動操作の場合)
反射神経:走行・牽制・捕球・送球などの瞬発力
以下のパラメーターは全選手共通だが、経営・練習パート問わずイベントやミニゲームの成果によって増減する。また、自分自身だけでなくチーム全体に影響を及ぼす。
カリスマ:パラメーター・チーム連携度の上昇率が少し上がる
運:試合時のチーム連携度・打率・故障など、臨時収入やミニゲーム・イベントの成功率などがランダムで増減する
・投手
球速:投球速度
制球:投球コントロール
球威:初速の持続性
軌道:軌道の変化量
・守備、捕手
守備力:捕球位置や送球先の判断力
捕球:捕球精度やエラーの増減
跳躍力:ダイビングキャッチやスライディングキャッチの発生・成功率
○スキル
各パラメーターが一定レベルに達する事で取得可能。取得の成否はランダムで、取得数は一人の選手につき3つまで。
・共通
安打:安打が出やすくなる。打力、走力に影響される
強打:ホームランが出やすくなる。打力、肩力に影響される
バント職人:バントの発生・出塁率が高くなる。走力、選球眼に影響される
盗塁:盗塁が成功しやすくなる。走力、反射神経、跳躍力に影響される
魔物:逆転チャンスの発生率が上がる。運に影響される
代打:代打での打撃確率が上がる。打力、カリスマに影響される(2のみ)
・投手
※下手投げでしか投げられないので、下手投げ時の挙動として説明する
シュート:投手の利き手方向に曲がる直球に近い、やや速い球。サイドスピン。球速、肩力に影響される。
シンカー:スクリューのように浮き上がってから落ちる遅い球。トップスピン。制球、軌道に影響される
スライダー:浮き上がりながら真っすぐ飛ぶ減速しにくい球。ジャイロ回転。球威、肩力に影響される。会得しやすい
カーブ:大きく落ちるやや遅い球。サイドスピン(利き手と逆)。緩急をつけた投げ方が可能。制球、球威、走力(下半身)に影響される
・捕手
采配:投手との連携度が上がる。選球眼とチーム連携度に影響される
洞察力:盗塁を見逃さなくなる。反射神経と守備力に影響される
・守備
内野適正:内野での守備力が上がる。捕球とチーム連携度に影響される
外野適正:外野での守備力が上がる。肩力と跳躍力に影響される
遠投:遠投時のコントロールが安定しやすくなる。体力と肩力に影響される
守備職人:守備の確実性が増す。体力、走力、反射神経、守備力、捕球、跳躍力に影響される。レアスキル
○チーム連携度
打線の繋がりやすさ、バッテリー・守備の連携、エラー発生率などに影響する。チーム全体に作用し、イベントの成否に繋がる事もある。
バッテリーでの投球練習、守備練習、稀にイベントで増減する。
○マイナスステータス
試合に負けるとランダムで付与される。一定の期間が経つと消える。付かない選手もおり、運が高いほど回避する傾向にある(絶対ではない)。全選手に共通。
暴投:コントロールが悪くなる
失墜:球速が遅くなる
鈍足:足が遅くなる
油断:エラーが起こりやすくなる
不振:打率が下がる
○ルール
基本的には野球のルールを踏襲しているが、ラウンダーズ独自の要素が採用されている。()内は実際のラウンダーズのルール。
・投法は下手投げのみ。
(下から放る動作のみ。投げる動作は禁止。)
・内野は本塁の他に1〜4塁が設置された五角形であり、走者は本塁とは別の4塁に到達する事で得点される。
・1〜4塁には1mのポールが立てられる。走者が塁に達した時は、ポールに触れなければならない。
(本塁にもポールが立てられ、打者はポールに体が接していなければならない。)
・ボールの位置が打者の脛から頭頂部までが「良球」、いわゆるストライクゾーン。良球の範囲外・バッターの身体・バッターボックス外に投げられると「悪球」、いわゆるボール。それ以外は「棄球」、ボークとなる。
(ストライクゾーンがgood、ボールやデッドボールがbad、ボークがno-ballとなる)
・投手は打者一人につき一度は必ず良球を投げなければならず、良球が出るまで何度でも投げる必要がある。
・良球の場合、バッターは必ずバットを振り、打撃の成否に関わらず走る。
・悪球と棄球は打って走塁しても良いが、打たなくてもアウトにはならないので必要性はない。
(no-ballを打った場合は1塁へ移動、打たずに走っても良いが、到達前に1塁にボールが送られればアウト。)
・ボールを保持した守備がポールに触れている塁に到達した走者はアウト。
(走者がポールに振れる前に、守備の投げたボールに当たるとアウト。)
・走者が2塁に達した時点で半点(0.5点)が得られる。半点を得た走者が4塁を踏むと1点となり、合計で1点半(1.5点)とはならない。イニング終了時点で得た半点はそのまま追加される。
・3アウトで攻撃と守備が交代し、9回で引き分けの場合は15回まで延長。
(9アウトで攻守交代し、2回で終了。)
ルールに関しては、あとは野球と同じとします。
ポジションという概念がほとんどなかったり、得点やアウトの基準だとか、本当はもっと違いがあるんですが架空のゲーム設定なのでこの辺で。
そもそも参考にしたグレートブリテン版ルールの正式策定が20世紀なので、ゲーム中の設定では非公式ルールです。アイルランド版はよりややこしい。
次は本編で全く言及されなかった、ゲーム内でのキャラクター設定です。