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57、アルルレッドキャップ育成3

つおい


「よし、大体覚えたな」


「ねぇねぇねぇ、こんなに早く進むなら私の方がエマより先に教えてもらった方がよかったじゃない?」


「その狼の毛皮は低階層とはいえ超高難易度ダンジョンの魔物だ、流石に俺じゃ前は張れないからな、そしてまだなんの実績も上げていない新米が他の仕事をしているギルメンに頼み事するのはやめた方がいい……となると生徒を育てた後に頼んだ方が楽だ」


「なるほど〜」


「ーーーーというのは理由の一つ」


「ーーーへ?、それは一体どういうこと?」


「そうだな、説明するより見てもらった方が早そうだーーー入ってきてくれ」


「はい、エクス先生」


「なんでなんでなんで、エマがここに来たの?」


「それは俺から説明させてもらう………強力な魔物になってくると大体が俺たち並みの知性を持っている、つまりほぼ対人戦と変わらない、しかし冒険者は基本的に動物的思考しかしない魔物を相手するのが多くなってしまうので対人戦対策がおざなりになってしまう…………そこで、教え子同士で対人戦の練習をしてもらうと………そういうことだ」


「な、なるほど〜〜〜、だから先にエマから教えていたんですね?」


「まぁ、そういうことだな…………」


「お喋りはそのくらいにして始めましょう………」


「おおお?、ちょーーーと、調子に乗りすぎじゃない?、私も結構強くなったんだぜ!!」


『………まさか『神狼殺し(フェンリルヴォルフ)』と手合わせできるとは………巌流島での敗戦も捨てたものでもないらしい………』


『………それはこっちの台詞だよ……燕すら斬り堕とす異形の長刀使い………『佐々木小次郎』と戦えるなんてね………速攻倒れないでよ!!!!』


主人と守護霊が対戦前の前哨戦を始める。


刹那ーーー、硬質なもの同士がぶつかり合い、耳障りなノイズを辺りに撒き散らす………。


「ひゅ〜これを払い落とすなんてやるね」


「そっちこそ私が知ってる貴方とは段違いの動き」


狼の毛皮を纏ったアルルは手に持つ武器から鉄の塊を乱射する、音を超える速度で空気を貫きながらエマに迫る。


対するエマは汗ひとつ浮かべず、全ての攻撃を見切る。


柳に風、風に乗った木の葉のように、ヒラリヒラリと紙一重でかわし続ける。


「見切った!!!」


アルルはエマが少しジャンプして躱した後、着地点に攻撃のタイミングを合わせて弾を放つ。


「ーーー残念」


エマが一言呟くと弾が勝手に逸れて、明後日の方向へすっ飛んでいく………一瞬彼女の長刀が微かに動いた気がする………状況的に考えて、長刀で弾道を逸らしたのだろう。


(………見たところ、相手は典型的な近中距離型………泣きどころはーーーー接近戦!!)


エマは弾を躱し続け、アルルのリロードする、一瞬の隙を逃さず距離を詰め、長刀を腰ダメに構え、居合斬りの構えをしながら彼女の前に躍り出る。


「ーーーそうくるのを、首を長くして待ってたよ!!!」


「ッッッーーー!!?」


アルルはエマが接近してきた瞬間にリロードしていた武器を彼女に投げつける、まさか武器を投げつけてくるとは予想していなかったのか、居合斬りの目標をアルルから急遽変更、銃を斬り飛ばす。


「ーーーチェンジ、『ソードルプス』!!!」


アルルが叫ぶとさっきと違う狼の毛皮を光と共に身に纏い、手に持つ斬るというよりは叩き潰すことを目的とした棍棒剣でエマに殴りかかる。


「ーーーッッッ」


自身から近づきすぎたエマは仕方無く長刀で防ぎ、鍔迫り合いへと移行する。



(………さっきのは悪手だったな、エマ)


…………彼女はどちらかというとカウンタータイプの剣士だ、確かに遠距離偏重相手に戯れるのはわかるが、突っ込むのならば相手の返し手もちゃんと見越した上で攻め込まなければならない。


そして佐々木小次郎の弱点も極近距離だ、その証拠にアルルに押し切られそうになっている。


「クソッーー」


「一気に行かせてもらうよ!!」


なんとかアルルを外に追い出そうとするも、狼の俊敏さと力強さを発揮して中々上手くいかない。



「貰った!!!」


「ーーーー贋流、『風流し』」


「ッッッーーー!!?」


アルルの猛攻に態勢を崩してしまうエマ、好機とアルルは勝負をかけにいくが、エマが呟いたと思ったら刀を逆手に構え、アルルの棍棒剣を柄で受け止め、絶妙な力強さで彼女の攻撃を受け流し、自身の動きに武器ごとアルルの体を巻き込む、逆に相手の体勢を崩させたエマ。



「ーーーー贋流、『風上』」


「ッッッーーー!!?!」


流れるように無駄のない動きで逆手に構えた長刀の峰をアルルの頭、上段へと叩き込む、アルルにかわす手段は存在せず、その一撃が彼女の意識を奪った。


(………………もうちょいやれるかと思ったけど………人間相手だと『赤頭巾』の狼特攻のスキルはほぼ無意味だからな…………流石に最強クラスの剣士相手は荷が重かったか……………だが、勝てない相手との対戦は勉強になる、敵がわざわざこっちに合わせて戦ってくれることはないしな…………………………帰りにまたアイスでも買ってあげようか………)

つおい

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