やる時やればいいでしょ
プロローグ
曲が始まる。
適度に洒落たカッティングギターから始まり、4小節ほど後から小気味好いドラムが入ってくる。ギターとドラム。最悪、といっても本当に最悪の場合の話だがここにボーカルが入ればバンドとして成り立ってしまう。しかし厚みのないスカスカなアンサンブルになる。
ここで俺、ベースの登場である。
オーバードライブのペダルを力強く踏み、痺れるような歪みをかける。当然ドンシャリ、ツーフィンガー。と言ってもそこまで難しいフレーズはまだ作れない。ほとんど8分、苦し紛れに16分。しかしこれでいい。難しいフレーズである必要などないのだから。でもやっぱり見えないぐらいの運指をしてみたい。
そんなことを考えながら弾き続ける。
俺自身演奏中はかなり体を動かすタイプだから不安要素が多い。課題は山積みである。
もう一度オーバードライブを踏み、歪みを切る。ドラムは8ビートに音を少し加えたフレーズ、ギターは歌いながらなのでパワーコードをかき鳴らす。ベースはギターをなぞる。
演奏中は自然と笑顔になる。3人で子供みたいに笑いあって演奏する。
ラストの大サビも終わり、イントロのフレーズを少しだけ変えたフレーズを弾く。最後の音を鳴らす。そしてドヤ顔をしながらのグリッサンド。
…決まった!
手汗をズボンで拭きつつ、ストラップを肩にかけたまま自然と3人で部室の真ん中に集まる。椅子は欠かさない。アンプは付けっ放し、エフェクターも入れっぱなし、シールドも抜かない。しかし演奏もしない。先ほどまでの演奏の反省すら4秒で終わらせる。
では何をするか。
雑談である。
男子高校生3人集まったらくだらん話しかしない。だがそれが心地よい。バンドも楽しければ、雑談も楽しい。
この部室は校内1のゆるさを誇る。
少なくともこのバンド、
「Loose Boys」
の、練習時間においては。
個人的なノリで書いてみたくなったので書きました。軽音部の男三人組3ピースバンドのだらだらした日常の話です。
暇つぶし程度に読んで鼻で笑ってやってください。