表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2 現代文明の課題

技術と政策は、文明を支える二本の柱です。

そこで、この二本柱から、現代文明の課題と対策を考えたいと思います。


文明とは『高度な自然・社会科学的技術をもつ生活様式』ですが、

国家制度などの社会科学的技術は、人々の協力を効率化して、

制度・政策の実現を助けるものなので、

文明とは『高度な技術と政策をもつ生活様式』であるとも言えます。


生命活動は、生きるために必要な富(財、資源)を

作って分けることで営まれますが、

それは文明活動においても変わりません。


文明活動の本体は、全ての人が営む経済・社会活動ですが、

科学・技術は富を生み出し、それを豊かにするため、

制度・政策は富を分け合い、それを健全に保つために

分業化した活動といえます。


その視点から文明課題を分類すると、次のようになります。

(図では文章的に表現しやすい〝富〟を、

より学問的な〝資源〟と表現してあります。)


挿絵(By みてみん)


① 特定の資源が不足する資源枯渇。

② ある資源の利用が他の資源を損なう環境破壊。

③ 資源の分配が不適切となる貧困・不公正。

④ 公正感覚の不足や食い違いから生じる戦争や犯罪。

これら4つの具体的課題は、6つの文明要因と同様に、

相互作用の関係にあります。


①②の解決は富を生み出す科学・技術や、

それを助ける技術的政策によるところが大きく、

③④の解決は富を分けあう制度・政策や、

それを助ける社会工学的技術によるところが大きいです。


文明発展の歴史とは、以上のような問題を、

技術と政策により解決してきた歴史であるといえます。


第一に、技術について言えば、重要なのは、

文明の発展段階を分けるような画期的技術です。


それは、全く新しい分野を(ひら)くと共に、

多くの在来技術の生産性も高めるような、

〝新規性〟と〝多能性〟をもった、

いわば文明発展上の主力技術です。


農業技術は体外物質、すなわち道具や器械の利用を通じた

食料供給や都市建設によって、文明を生み出しました。

工業技術は、体外エネルギー、すなわち動力機関の利用を通じた

(パワー)速度(スピード)の恩恵によって、文明を世界規模に拡大しました。

情報技術は、体外情報媒体、すなわち電算組織の利用を通じた

制御(コントロール)の提供、効率化によって、地球的限界への到達の衝撃を緩和しました。


しかし、人類文明はまだ、地球という空間的限界のなかで、

時間的な持続を見通せる技術をまだ十分には得ていません。


第二に、政策については、4つの課題があります。


① 科学・技術の具現化に必要な材料・エネルギー資源や、

生産施設、輸送手段、通信設備など物的資源の持続可能性。

② 制度・政策を企画・実施・活用・改善に必要な、

人々の健康や教育という人的資源の持続可能性。

③ 富の再生産と富の再分配を両立させ、

景気過熱や不況を防げる経済・社会活動の持続可能性。

④ 政策の国際化など巨大化や、民主化など分権化という、

文明の発展に応じた制度・政策の持続可能性です。


文明の発展には技術、維持には政策が不可欠です。

科学・技術が経済・社会活動を豊かにしても、

その経済・社会活動を健全に保てる制度・政策がなければ、

文明を発展させ続けることはできません。

しかし、ある文明段階において政策が利害調整を極めたら

次なる主力技術を得なければ、さらなる進歩は望めません。


現在における政策課題は、文明発展の循環(サイクル)からみて、

従来の技術の限界がもたらすものなので、

次世代技術を開発したうえで、それらを活用し、

課題を解決できる政策が求められます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ