『流星刑』
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る・せい・けい【流星刑】
人口増加、環境問題の末に人類の生み出した最悪の一手。罪状。
地球に代わる新たな星を見つけてきてほしいという願いから特別な人類や犯罪者に通信機器を持たせ宇宙に飛ばすという残忍な行為。
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地球は限界だった。
それはもう、何百年としか存在を保てないぐらいまで命を削られていた。
この事態に結束しなければならないはずの人類は、この事態に気がつきながらも目を背けている。
どうしようもなかった。だからこそ、奇跡は起きた。少数の人間が、突然不思議な力に目覚め、有するようになっていったのだ。それはまさに神からの贈り物。この力で世界を救えと言わんばかりの奇跡だった。
……だがその奇跡すら人間は自分の力で押しつぶす。自分で築いた地位を落とされることに恐怖した人類はそれ故に新たな法律を定め、異能を使う人種を迫害してしまった。
それが流星刑。異能の力を持つものを隔離する、恐怖から生まれた新たな地球を探すなんていう綺麗事の皮を被った独善的な法。
奇跡すら捨てた人類には、希望を願う存在など当に無い。あるのは漠然とした自身「誰かどうにかするだろう」という集団心理。
天からの蜘蛛の糸にすら縋らず、それでも自分たちの力で登るわけでもない。愚者たる行いで、地獄のような泥沼を人類は歩くことになってしまった。終着点は破滅の泥沼を。
……もう、人も地球も終わりの時が来たのかもしれない。
これはそんな世界で、流星刑と異能を通じて重なる四つのお話。
ある人は、犯罪者から受け継いだ希望を繋いで、前を向き続けた。
ある人は、家族の死を乗り越えて、いつかもう一度会うために歩き続けた。
ある人は、自分と好きになった人の忘れた笑顔を取り戻すために奮闘した。
ある人は、どんなに辛くても大切なものを守り抜く英雄になることを誓った。
どんなに辛くて、残酷なこの世界でも、与えられた不幸な運命にも負けずに生き切る四つの物語。
決して世界を救うなんて大層な物語ではない。彼らがほんの少しだけ、大人になっていく物語だ。