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第一幕 第九場 オリンピックホテル レストラン

 午後十時。

 休憩中も電気を点けず、六本の蝋燭の明かりだけで過ごしていた。似鳥と遥はトイレに行き、洋子は自分の告白内容を考えるために離れたところで思案していた。その代わりに犬飼は子供の様子を見にレストランを出た。猪俣は何度か厨房へ行ったり来たりしていた。馬渡はソファ席で足を投げ出して横になり、遠藤はテーブルの上のフルーツをつまんで時間を潰した。そして牛久と優子が時間通りに客室から帰ってきて、所定の位置に腰を下ろしたタイミングで、『犯罪の告白』が再開された。九人が席に着いた時には、厨房やフロントの明かりも消してあるので、明るいのはテーブルの周りだけだった。

「すいません」

 牛久が謝る

「彼女、いつもこうなんですよ。一緒に映画を観に行っても、すぐに号泣しちゃって、周りの人に迷惑を掛けることがよくあるんです。感情移入しやすいっていうのかな? とにかく入り込んでしまうんですね」

「感受性が豊かなんですよ」

 遠藤がフォローした。

 続けて犬飼もフォローする。

「年を取ると涙もろくなるって言いますからね」

 優子がふくれる。

「人をオバサン扱いしないで」

「あぁ、すいません。そんなつもりは」

 犬飼が恐縮する姿を見て、他の者が小さく笑うのだった。

 遠藤が仕切り直す。

「それでは再開しましょうか。残りは五名ですね」

「ちょっと待って」

 進行をさえぎって、優子が蝋燭の火を吹き消した。

「はい、これで私の番は終わりね。だいぶ暗くなったけど、やっと雰囲気が出てきたわね」

「確かにそうだけど、あんまり期待されると困るな」

 牛久が困惑した様子だ。

「せっかくなんだから、リラックスして、もっと楽しみましょうよ」

 遠藤が陽気に振る舞う。

 その様子に遥が笑う。

「ふふっ。馬渡君がトリを引き受けてから、遠藤さん随分と気が楽になったみたい。さっきまでフルーツをパクパク食べてたし」

 遥の言葉に一同が笑った。

「いやだな、すっかりネタにされる存在になっちゃいましたね」

 遠藤が頭をかいた。

 優子が笑みを浮かべる。

「それは、みんなあなたに好意を持ってるからですよ」

 牛久が同意する。

「そうです。遠藤さんがいなかったら、我々九人が一緒に食事をすることもなかったでしょう。僕と馬渡君は険悪なままお別れしていただろうし、犬飼さんはホテルマンのままだった。余興もなければ、下手したら似鳥さんとは顔を合わせることもなかったかもしれない。こういう人と人との巡り合わせっていうのは、遠藤さんみたいな人が、一人いるかいないかで大きく変わるもんなんだよな。本当にあなたには感謝していますよ」

 遠藤は感無量といった感じだ。

「そう言っていだだけるだけで、今日、この日に泊まりにきてよかったと思えますね。これで終わってもいいくらいだ」

「それは駄目ですよ」

 遥がそれを許さない。

「隙あらば逃げようとする」

 優子も追い打ちをかけた。

 そのやりとりに一同が笑い合うのだった。

「それじゃあ」

 牛久が居住まいを正す。

「遠藤さんが逃げないように始めちゃおうかな。いや、どうも休憩を挟んだせいか、緊張がぶり返しちゃったな。まぁ、気楽に聞いて下さい」

 そこで一旦、ワインで口の中を潤した。

 その場が一気に休憩前の雰囲気に戻る。

「何を話そうか、すごく迷ったけど、前の四人が、とても真剣に、ふざけることなく話していたから、俺も覚悟を決めて、真剣に話しますよ。『犯罪の告白』を考えたのは遠藤さんだけど、ヘンな方向に話を持っていったのは僕の責任でもあるしね。そう、馬渡君とちょっとした言い合いになって、それから、どうしてこんな余興をやることになったかは、もう憶えていません。それでも、みなさんを巻き込んでしまったわけだから、僕だけつまらない話をするわけにもいかないでしょう。

 そういうことで、僕は実際に犯した罪について告白します。みなさんと違って、正真正銘、一つの嘘もない話です。僕が正直に話すからといって、僕の後に話す人まで同じことをする必要はありませんよ。これは僕なりの責任の取り方なんですから。後の人は従来通り、作り物の話をしてくれれば、それで結構です。

 こうして話せるのも、あれから十五年以上も時間が経ってしまったからということもあるでしょうね。それでも記憶が色あせたことは一度もありません。その人の死んだ顔は、今でも鮮明に覚えていますよ。忘れることなんて、できるはずがないですよね。その人は、僕が生まれて初めて愛した女性なんですから。初恋というのは、その人とは別にありました。でも、初恋の人を愛した女性なんて呼ばないでしょう? 成就することがあれば、また違うんでしょうけど、小学生や中学生の時の片思いの相手は、やっぱり愛した女性なんて呼べないな。

 僕とその人の恋を一言で表すと、人でなしの恋です。でも自分ではそんな風には思いません。それを受け入れては愛した人に失礼だ。それでも他人からどのように思われるかは分かっているつもりです。どんなに軽蔑されようが、人としての神経を疑われようが、そんなもので愛する気持ちが打ち消されることはありません。非難されることで断ち切れるなら、断ち切ってほしいくらいだ。蔑まれることで彼女への感情が消えるなら、消して欲しかったですよ」

 牛久がワインを飲んで、話を続ける。

「僕を産んですぐに母は亡くなったので、ずっと父親と二人暮しでした。その父親も仕事が忙しく、残業が当たり前だったので顔を合わせる日がないのも珍しくありません。中学校に上がるまでは転勤も多かったですし、両親ともに、親子の思い出というものがない子供でした。

 彼女と出会ったのは、高校二年生の時です。父親が身体を壊して入院することになり、そこで見舞いに訪れた病院で紹介されました。彼女は和美かずみさんといって、父親が夕飯に利用する弁当屋で働いているパートさんでした。年齢は四十過ぎで父とそれほど変わらなかった。でも年齢を聞いて驚いたので、三十過ぎくらいに感じていたんでしょうね。それまでの父は女っ気がなく、仕事をするだけの人だと思っていたので、紹介された時はびっくりしましたよ。でも、聞いてみると、付き合いが長いわけじゃなかった。知り合って四年だけど、世間話をするようになったのは半年前ということでした。それで入院する話から、実際にお見舞いに来てくれたみたいで、その時は継母になるとは考えてもいなかったな。

 和美さんは離婚して、その時は独身でした。子供がいなくても、生活に困っている、というか将来に不安があることに変わりはないんですよね。うちは特に浪費するようなことがなかったので、経済的に困るようなことは一度もなかった。それで父親が全快したのを契機に、一緒に住むことになったんです。親子とはいえ、父の恋愛感情までは分からないので、和美さんをどこまで本気で好きになっていたかは分からない。ただ、男女の肉体関係があったという事実から、それを察することしかできませんでした。

 母親の記憶がないので、父親の再婚には抵抗がなかった。同居することになっても、いきなり一緒に住むわけではなく、最初は父と僕のために夕飯を作りに来るだけだったので、いつの間にか一緒に暮らすようになったという曖昧な感覚しかありません。ただ、和美さんが家にいる時は、自分の方がお客さんになったような、不思議な錯覚があったような気がするな。トイレに行くにも、風呂に入るにも、やけに丁寧に使って、最初はかなり気を遣っていたんじゃないかな」

 牛久は咳をして、ワインを口に含み、話を続ける。

「知り合ったばかりの女性がいる前で、こんな話をしていいものか迷いますけど、最後まで話をさせて下さい。和美さんとは二回り以上も年が離れ、しかも父親の再婚相手。そのような人に対し、一人の女として見てしまうことに、嫌悪感を抱く人もいるでしょう。理解できないのはもちろん、不快で気持ち悪いと思われても仕方ありません。でも僕は、和美さんに女を感じてしまいました。それも、そんなに時間が掛からなかった。

 きっかけは洗濯物ですね。僕は自分の洗濯物は自分で洗っていたんですが、洗うのが手間で十日分くらい溜めちゃうんです。それで同居して二週目くらいに洗濯をしたんですが、そこに和美さんの洗濯物もあって、その中から彼女のブラジャーを手に取ってしまいました。それで、そのブラジャーの裏地の匂いを嗅いだ時、とてもいい匂いがして、その、つまり、すぐに興奮してしまいました。

 あぁ、これは性犯罪の告白ではありませんよ。下着泥棒なんてしたことありませんし、知らない人の衣服には興味がないんです。いや、そんな趣味を語っても時間の無駄ですね。とにかく、それが性の目覚めと言ってもいいかもしれない。もちろん十八なので、エロ本は持っていましたけど、匂いが感じられなければ、ただの紙って、そんな風に思ってしまったんですね。それで密かに匂いを嗅ぐ行為を、大学に入るまで続けてしまいました。

 でも和美さんは、僕のしている行為を全部分かってたんだ。そりゃ父が洗濯籠を触れることはありませんし、少しでも位置が変わっていれば、女の人なら気がつくでしょう? 僕の方も気づかれても構わないって思ってたんです。高校を卒業してからは、わざと誰かが触っているって思わせるようにしました。それが僕なりのサインだったんです。どうにかして、自分の性欲に気がついて欲しかったんですよね。

 それでも僕も和美さんもいけない事だって分かっていたので、家の中だろうと外だろうと、母親と子供の関係を壊さなかった。僕が受験生だったということもあり、彼女は相当気を遣ってくれていたんだろうな。でも、そんな偽りの気持ちが長く抑えられるわけがないんですよ。僕は大学に合格したことを利用して、その喜びを伝える時に和美さんを抱きしめたんだ。生まれて初めて、全身で女性を感じることができた。鼻腔が刺激されたせいか、すぐに興奮してしまい、彼女の身体に当たっていると分かっていたけど、離れたくなかった。嬉しいことに、和美さんも離れようとしなかった。それから僕のモノに触れて、握ってから、口に含んでくれました。正直、大学に合格した時よりも嬉しかったな。終わった後は、ブラジャーに触っていたことを怒られましたけどね。

 それからすぐに一線を越えてしまった。性行為というのは、男性器が女性に包まれることなんだということが、生まれて初めて分かりました。それ以上に幸せを感じることは他にありませんね。『幸せとは何気ない日常の中にある』って言うけど、それがいまいちピンとこないのは、女性に包まれる幸せを知ってるからなんだろうな。女の人には悪いけど、男と女、どちらが幸せかっていったら、包まれる幸せを経験できる男なんだ。これは間違いないと思います。

 母親を知らない人間が、すべて僕のような感情を持つとは思いません。事実は、僕は大勢の中の一人ということにすぎないんですから。そんな僕が、たまたま子供を持たない継母と出会っただけなんですよ。十八年間、一度も甘えたことがなかったので、思う存分、彼女に甘えてしまいました。お風呂で身体を洗ってもらったり、赤ちゃんのようにおっぱいを吸ったり、幼稚なことを、すべて受け入れてくれたんですよね。それが代償行為だということは分かっていたんですが、偽りのない姿だということも分かってくれたんです。

 まぁ、でも、そんな幸せも長くは続きませんよね。そりゃそうです。他人から見れば親子なんですから。自分でも罪悪感でいっぱいでしたし、それが他人の行いなら、僕だって擁護なんてしません。そういう罪の意識があったからこそ、死を選ばざるを得なかったんだ。いっそのこと、愛には色んな形があると開き直ることができれば、彼女を死なせずに済んだのかもしれない。他人に多様な価値観を認めて欲しいとは思わないけど、そうすることで少なくともひっそりと暮らすことはできたかもしれない。すべての問題の根本は、罪悪感にあるんです。その罪悪感を抱いているのが自分だけならば、和美さんに甘え続けて生きられたかもしれない。しかし和美さんもまた、父や世間様に顔向けできないと感じてしまう人だったので、二人で死のうと話し合ってしまいました。

 別に父親から勘当されたわけじゃないんですよ? でも、和美さんは僕と関係を持ってから、父の誘いを断ったことがあって、それで彼女は父にすべてを悟られたというか、勝手に知られたと思ってしまったんです。僕の方も、父はすべて知っていて、それでも何も言わないのが、いかにも父らしいと考えました。その姿がまた、僕に罪悪感を募らせるんです。

 自殺の動機なんてものは、結局のところ、突き詰めれば当人以外に分かるはずがないんですよね。遺書を残したところで、それが本当のことなのか確かめようがないし、死んだ人に訊ねたところで、『自分でも分からないんだ』って答えられたら、『そうですね』としか言いようがない。テレビドラマで、『直前にビデオの録画予約をしているから、自殺は考えられない』と言われても、『そりゃ、あんたはそうだろうけど、他人はあんたじゃない』って、僕はどうしても反論したくなっちゃうんです。僕たちが死のうとした日には、前日には映画の前売り券を買っていましたし、大学の友人とも会う約束をして、特に遺書なんかも用意しなかった。

 でも、死に場所には悩みましたね。二人の死んだ姿を父に見せたくはなかったし、家の中で死んでしまうと、その後、父親が生活しにくくなるでしょう? 線路に飛び出したり、ビルから飛び降りたり、ホテルで首を吊るのもダメです。罪悪感を人一倍持ち合わせていると、死んだ後の迷惑まで考えてしまいますからね。それで僕たちは、父からプレゼントしてもらった車の中で死のうと考えました。それならば、スクラップにすれば終わりますからね。でも、見て分かるように、死んだのは和美さんだけです。僕は生き残ってしまった。同じだけの睡眠薬を飲んで、ガムテープで入念に密閉したのに、それにも拘わらず、どういうわけか、僕は眠りの中で車から脱出してしまった。そして彼女だけが中毒死してしまったんです。

 裁判の結果、自殺幇助で二年の懲役判決が出たけど、前科前歴がなかったので、三年の執行猶予がつきました。それよりも辛かったのは、父の方でしょうね。それだけのことを目にしながら、何事もなく僕と暮らしたわけですから。それからは、父親の死を看取ってやることが僕にできる唯一の恩返しだと思って生きました。自分の人生を犠牲にすることでしか、父や和美さんに報いることができませんでしたからね。それが罪悪感から逃れる唯一の方法でもあったし、死ぬまで父の側にいることができて、やっと本当の罪を償うことができたような気がします。判決では懲役二年ですが、それだけでは罪を償うことはできなかったでしょうね。ただ、一緒に死のうと誓った和美さんには、今も申し訳ない気持ち、うん、やはり一緒に死ねなかったことで生まれた罪悪感は、まだこの胸に残っています」

 そう言って、牛久が五本目の蝋燭を吹き消した。

「なんか、すいません、長くなっちゃって。途中で余計な話も入れちゃったからかな?」

 牛久は他の人が 口を開く前に謝った。

「いやいや」

 と遠藤が否定する。

「もっと詳しく聞きたいところですよ。こういう話は、なかなか聞くことはありませんし、また、積極的に話そうとする人もいませんよね。今ならネットの匿名で語れるんでしょうけど、面と向かって話を聞けたというのは貴重です」

「とりあえず、自分の番が終わったのでホッとしています」

 そう言って、牛久はグラスワインを飲み干した。

「途中、下ネタで終わるかと思って心配しましたけど、最後は言葉通りの人だと分かって安心しました」

 遥が率直に感想を伝えた。

「下の話、もうちょっと聞きたかったな」

 似鳥の方も正直な感想だ。

「そこは流石にね」

 と牛久は申し訳なさそうにする。

「初対面の女性がいる前で話していいものか、ものすごく迷いました。でも、初対面だから話せたのかもしれない。今後もお付き合いしていくわけじゃないし、そういう意味では、なるほど、すっきりしたっていうのが、よく分かりました」

「根津さんは、牛久さんの話、知ってたんですか?」

 遠藤が二人に尋ねた。

 優子がすぐに頷く。

 牛久も頷く。

「もちろん。彼女にはすべて話しています。いま話したこと以外にも、細かい部分を全部伝えてありますよ。ほら、隠し事をすると、どうしても罪悪感を持ってしまう性質たちでね。すべて知ってもらわないと気持ちが落ち着かないんだな」

「そういうの、いいですね」

 洋子が珍しく言葉を発した。

「ご主人は隠し事が多いんですか?」

 似鳥がからかうように訊ねた。

「いや、私は隠し事なんてしてませんよ」

 犬飼が慌てて弁解するが、その慌てぶりに、一同は和やかに微笑むのだった。

「ホテルマンだと、お客さんのことをペラペラ話せませんもんね」

 遠藤がさり気なくフォローした。

 話し終えた牛久が軽快に話を引き継ぐ。

「そうそう。だから次に猪俣さんが何を話すのか、すごい楽しみなんだ」

「私は、鳥を見殺しにした話をしたいと思います」

 猪俣が落ち着いたトーンで答えた。

 牛久が確認するように尋ねる。

「え? 鳥ですか? あの、動物の鳥っていうことですか?」

 猪俣が頷く。

「はい。まさしくその鳥です。ただし、翼を怪我していたので、飛べない鳥でしたがね」

「いやいや、ちょっと待って下さい」

 牛久がガッカリする。

「『犯罪の告白』で動物を殺した話はしましょうよ。そんな話なら、昆虫ですが、僕だってカブトムシを殺してしまったことがありますし、そんなのは『犯罪の告白』とはいえないでしょう?」

「殺したのではなく、見殺しにしたという話です」

 興奮している牛久に対して、猪俣は冷静だった。

 牛久が憤慨する。

「そんなのどっちだって構いませんよ。人が生き死にの話をしたというのに、こんなことなら別な話でもよかった」

「まぁまぁ」

 と遠藤がなだめる。

「話の大きさを競うものではありませんし、真実のみ語るという制約もありません。荒唐無稽な作り話をされるよりはマシじゃありませんか。他人を満足させるためではなく、一番は告白者が満足できるかどうかが大事だと思うんですね。ですから猪俣さんが熊を殺した話ではなく、鳥の話をしたいというのなら、我々は黙って耳を傾けるべきじゃないですか?」

 牛久はしばらく考えて納得する。

「確かにそうだ」

 それから反省の弁を述べる。

「また悪い癖が出たようだ。これで新たな制約ができると、途端につまらなくなっていたかもしれない。申し訳ない。少し黙っているよ」

「そんな必要はありませんが」

 と遠藤はフォローしつつ進行する。

「新たな制約を作らないというのは賛成です。残り四人ですが、盛り上げるために話を過激にする必要はありません。常に最初の告白者という意識を持てば、白けるような雰囲気にはならないでしょう。ここにきて鳥の話になるというのは、エスカレートさせないためにも、いい順番だったかもしれませんね。それに告白するような罪を犯していないことだって考えられるわけですから、どちらにせよ、強制なんかできないということですね。鳥の話? いいじゃないですか、どんな告白になるのか、却って興味が湧きますよ」

 犬飼がワクワクしている。

「同感です。猪俣さんが人前で話をするなんて、今まで見たことがないですからね。誰よりも僕が一番ドキドキしていると思います」


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