フェルト・オーガの秘密
「俺の名前はもう知ってるよね?」
俺はロゼに聞く。
「ええ、もちろん!フェルト・オーガ。」
「うん。正解、歳は17歳、ここの近くにある学校に通って剣を習っている。腕は人並みにはあるつもりだよ。」
俺は自己紹介を続ける。神のスキルを話すことにもう躊躇いはないが、自然と汗ばんでくる。
「やっぱりね。どうりで太刀筋がいいと思った。」
「ありがとう。でさ、ここからが本題なんだけど.....。」
そう言って俺は一つ深呼吸する。ロゼも何かを察したのか、息を呑み次の言葉を待つ。
「ロゼは最初に会った時のこと覚えてる?」
「ええ、覚えてるわ。でも変な質問ね。最初に会ったのは昨日のことよ。」
そう言ってロゼがクスリと笑う。
しまった。何言ってんだ俺.....でも、ロゼの笑顔で空気が少しだけ和んだしまぁ、良しとしよう。
「あ、そうだった。ごめんごめん。
その時にさ、俺が使ったスキル覚えてる?」
「ええ。でも、あんなスキル初めて見た.....」
まぁ、そうだろう。なんせ神のスキルだからな。
「で、あのスキルは何なの??」
不思議そうな顔をしてロゼが俺を見つめる。言うなら、このタイミングだ。
俺はふぅーっと息をつき、ロゼの顔をしっかり見据えながら話しを続ける。
「驚かないで聞いてほしい。そして、信じて欲しい。」
「オーガの言うことならなんでも信じるよ。」
「ありがとう。.....実はあれ。神様から貰った神のスキルなんだ。」
.....やばい。ロゼの顔をちゃんと見れない。ロゼは今どんな表情をしているんだろう。
「.....まぁ、そんなとこだろうと思ってたわ。」
「.....え?」
あれ.....?反応が以外と薄い。もしかして信じてない?
「私が見たことないスキル。そして、自分の周囲の時間を操る強すぎる能力。それだけヒントがあれば誰だって想像つくわよ。」
「そうなのか.....まぁ、信じてもらえて良かった.....。」
「言ったでしょ?私はオーガが言うことならなんでも信じるわ。」
「あぁ、ありがとう。」
そして俺は全部話した。闇の属性のこと。その特徴も話した。そしてロゼはその事を全部信じてくれたようだ。
「なるほどね.....他にスキルはあるの?」
「あぁ、あと一つだけ。」
確かあったはずだ。名前は.....闇玉。
「でも、それがどんなスキルなのか、詳しくは自分でも分からないんでしょ?」
「.....はい。全く分かりません。」
「ふふっ。だと思った。じゃあ、後で広くて人の少ない場所に行って、発動させてみましょう。」
確かに自分のスキルがどんなものか分からないのは不便だ。知るためには発動させるのが1番だろう。だから俺はその意見に賛成した。
「あぁ、ありがとう。後でやってみよう。」
「ええ。でも今は、もう少し話していたいから...」
「ん?何か言った?」
「な、何でもない!!」
.....最近聞き間違いが多い気がする。もしかしてもう老化がはじまっているのか!?
「じゃあ、オーガに一つ質問なんだけど.....」
ん?質問?なんだろう.....?
「オーガは《加護》って知ってる?」
加護.....なんじゃそりゃ!?
「.....分かりません。」
「えぇ!?知らないの!?」
「.....はい。」
「でも、授業で習うはずよ。.....あっ、まさか!」
これはまずい。話を逸らさなきゃ!.....剣の訓練の時間以外寝てたとか知られたら殺される.....。
「そ、それよりここのミルクティーは美味しいな.....」
「オーガ。話を逸らしてもムダよ.....?」
そのニコッとした表情が恐い!!やめて!!
「ごめんなさい。命だけは勘弁を.....」
「.....はぁ、まぁいいわ。教えてあげる。」
.....何とか許してくれたようだ。流石ロゼ様!!
「あぁ、助かるよ。ありがとう。」
「まぁ、冒険家の先輩ですから!」
そう言ってロゼが、ふふんと胸を張る。ここはありがたく話を聞こう。
「まず、加護と言うのは、特別な力の事。その力は加護によって異なるわ。生まれた瞬間に加護を持っていたり、スキル解放の時に得たり、加護の手に入れかたは色々あるわ。」
「ほ、ほぇぇー」
「でも、殆どの人は加護を持つことすらないと言われているわ。」
「加護って言うのはそんなに希少なのか.....」
「ええ。ところでオーガ。」
「んん?なんだ!?」
いきなり名前を呼ばれてビックリしたが、平然を保つ。そう!それでこそ冒険家!!
「オーガは何か加護を持ってないの?」
「んー、分からないな。なんせ加護の存在さえ今知ったところだし。」
「だよね。目を閉じて集中してみて。そしたら見れるから。」
スキルを見る時みたいな感じでいいのだろうか?
.....まぁ、やってみよう。
「わ、分かった。やってみるよ。」
そういって俺は目を閉じ、神経を集中させる。
「.......」
「.....見えた。えっと加護は...2つ、だな。」
「ええ!?2つも!?因みに何の加護?」
「少し待ってくれ。」
そう言って俺は再び目を閉じ、集中する。
「.........」
すると、文字が脳裏に浮かび上がる。
「.....自動反撃の加護、セシリアの加護の3つだな。」
「へぇー、じゃあ自動反撃の加護は生まれた時から付いてて、セシリアの加護は神のスキルを得た時に付いたって事かな?」
「多分そうなるかな。」
「自動反撃の加護は聞いたことある。確か.....攻撃を受けた際にそれと同じ力で反撃するんだよね。」
確かにそう書かれている。セシリアの加護はどんなんだろう。確認すると.....
「?なんだこれ?」
うーん、良く分からないな。
「なになに?どうしたの?」
「セシリアの加護の能力は.....
武器や体に闇属性投与が可能、らしい。」
「それってつまり!?」
ん?ロゼには何か分かったのか?
「.....どゆこと?」
ですよね〜
「いや、俺にも分からない。まぁ、これもまた後でやってみよう。
ちなみにロゼは加護を持っているのか?」
「ええ、一つだけだけど。」
やっぱり持ってるのか。どんな加護だろう?
「どんな加護なんだ?」
「魔力無効の加護よ。これによって私には魔力を使った攻撃が一切効かないの。」
へぇー、ってそれ強すぎないか?
「でも、この前みたいに魔力を使わない魔物の群れに襲われたらアウトだけどね。」
なるほど。でもまぁ、強いことには変わりないが。
そんな事を考えていると、ロゼが提案する。
「そろそろ行きましょうか。オーガが持っているスキルと加護を確かめなくっちゃ!」
「あぁ、そうだな。行こう!」
俺もそれに賛成し、俺達は喫茶店を後にした。
だいぶ遅くなりましたが、最後まで読んでくれた方ありがとうございます!初めての作品ですので、アドバイスなどをくれると嬉しいです!!