~勇者への1段目~
「貴方に神のスキルを与えましょう。」
いきなり現れた女性にそう告げられ、俺ーーーーフェルト・オーガはポカンとなった。
えっと...此処は何処?
貴方は誰?
そして何この状況?
「えっと...質問は一つずつお願いします...」
先程話しかけてきた女性が困っている。よく見るととてつもなく美人!
「じゃあまず、此処は何処ですか?」
「神々の領域です。」
とんでもない所にきちまった...
あれ?でも俺さっきまで家に居たような...
「ニートなのですか?」
「違いますよ!あと、ナチュラルに人の心読まないで下さい!」
そう、俺はニートでは無い。学校に通っている。此処に呼び出されたのは学校に行く準備をしている最中
美人な女性が続ける。
「神のスキルが1番相応しい者として、貴方はこの世界から指名されました。」
指名?世界から?どう言う事だ...?
「とにかくっ!貴方は神のスキルを得たんです!それを悪に使おうが、はたまた善に使おうが貴方の自由です。」
神のスキルか...普通の人なら手に入れられない代物なんだろうな...何かラッキー♪
「ふふっ将来有望ですねっ!」
笑った顔もとても綺麗だ。ちょっと照れる...
「紹介が遅れました。私は、セシリアと申します。貴方達で言う女神ですね。」
め、女神ぃぃ!?
「そして此処は、私が生み出した空間です。そっちの世界では、時は進んでいないのでご安心を。」
「でも、何で俺なんかが...選ばれたんだ?」
自慢じゃないが、俺はある有名な貴族の...とかじゃなくて、普通の家に生まれてきた凡人だぞ?
「それは私からも何とも...。そして一つ忠告です。このスキルの使い道は貴方の自由ですが、使い方次第では世界を滅ぼす可能性もありますので、気をつけて。」
「そろそろ時間の様です。準備は宜しいですか?」
「待って、まだ聞きたいことが...」
俺は戸惑いっぱなしだ。
「質問はまた会うとき受け付けますよ~。それでは、頑張って下さいね♪」
女神の声にノイズがかかる。同時に意識がーーーー薄れていく。
ーーーー気がつくと、俺は家に居た。
普通に家に居る。さっきの事がまるで嘘の様だ。
...本当に神のスキルを得たのか?まぁ、有り得ないか。漫画の世界じゃあるまいし。
でもまぁ、美人な女神に出会えたし、いい夢だったなと思いながら、俺は学校へ行くための支度を進めた。