ぼうけんしゃ☆とうろく
「ここがはじまりの街ルグルアンです」
なんというか凄くテンプレだ。
小説投稿サイト等でよく見る中世ヨーロッパ風と言われる建築物が多く並んでおり、道には何台もの馬車が走っている。実際には木や石で建てられた家があるだけで中世ヨーロッパには程遠いのだが。
「それでは私達はここで」
「ああ、世話になったな」
ここまで送ってくれた商人に礼を言う。
さて、意外と立派な街なんだ。
ここはテンプレ通りに冒険者ギルドを探そう。
◇
「こちら冒険者ギルド受付」
歩いて数分でこの看板を見つけることができた。
重苦しい扉を開けて中に入る。
中にはギルドの受付のお姉さん達と冒険者の格好をした男が数人いた。
思ったよりも少ないな。
ギルドのお姉さんと目が合う。
「こちら冒険者ギルド受付となります。ご依頼でしょうかそれとも冒険者登録でしょうか」
慣れた口調で話しかけてくる。
「新しく冒険者登録をおねがいしたいのですが」
「わかりました。では、この水晶玉に手をかざしてください」
そう言ってお姉さんは無色透明の高価そうな水晶玉を差し出した。
俺は吸い寄せられるように水晶玉に手をかざした。
「この水晶玉は『魔法水晶』と言い、触れた者の体力量、魔力量、腕力、耐久力、魔法攻撃力、魔法防御力、幸運度、その他諸々の力の高さによって色が変化する魔法道具です」
色は 白→青→紫→赤→銀→金の順にランクが上がり、銀や金色は王国騎士団長、白は生まれたての赤ん坊レベルらしい。王国騎士団長とやらがどれだけ凄いかは知らないが、白色がものすごく低いことはわかった。
おっ、この水晶玉、スキルを持っているじゃないか。 えっーと、
魔法水晶
スキル
鑑定スキル
おー、俺の欲しかったスキルの1つだ。結構需要があると思っていたのに、街で見かけた人達は誰も持っていなかったからな。この世界にはないのかと少し心配したぞ。
俺は水晶玉のスキルをコピーする。物にも発動するのか。なんでもありだな。
コピーの仕方自体は簡単だ。発動したスキルを目にしたらそのスキルの名前を念じるだけでコピーが完了する。
水晶玉のスキルは俺が手をかざした瞬間に発動していた。
水晶玉の色が白から青、青から紫に変化していく。
「なかなか素質がありますね」
ギルドのお姉さんが俺に言う。ずいぶん上からだな。
5分後ーー
俺はテンプレ通りにギルド長の部屋に呼ばれていた。
どうやら異常な結果が出てしまったようだ。
俺、まだLv.2なのに。
俺の水晶玉の色は黒色。400年前にこの国を救った勇者さまと同じ色らしい。それに気付いた受付のお姉さんは泡を吹いて倒れてしまった。
変わりに別のお姉さんに連れられて行く。
そのお姉さんも俺と話す度に気絶しそうになっている。大丈夫か?このギルドは。
「こ、ここがギルド長様のお部屋です。で、では私はこれでーー」
お姉さんが怯えながら去って行った。
俺の目の前には中に巨人でもいるのかと思う位の大きさの扉がある。
「遅かったな。取り敢えず入るのじゃ」
なぜ俺が居ることが分かったか知らないが中からくぐもった声が聞こえた。言われた通り扉を開け中に入る。もちろんノックはした。
「ふむ。この扉は私と同程度のレベルが無いと開けられないのじゃが、話は本当だった様じゃな」
そこにはジジくさい言葉を喋る幼女がいた。
前の話と同じ様なおわり方になってしまいました。